Both Mouth法|説得力を倍増させるプレゼン成功の隠し技

ビジネスの現場では、巧みなプレゼンテーションや交渉術が成果を左右します。
大切な提案にも関わらず、念入りに準備したプレゼンが相手の心に響かないという経験をされたことはありませんか。
実は、メッセージの伝え方にある視点が欠けているせいで、説得力を十分に発揮できていない可能性があります。
本記事ではBoth Mouth法」という、まるで二つの口を使って同時に語りかけるように異なる側面からメッセージを伝えるプレゼンの隠し技を紹介します。

Both Mouth法(ボウス・マウス法)とは?

Both Mouth法とは、聴き手の「得たいもの」と「避けたいもの」の両方に働きかけるプレゼンテーション手法です。
一方的にメリットだけを強調するのではなく、デメリットやリスクにも触れることで、聴き手の関心と共感を同時に引き出すのです。
聴き手は自分の期待と不安の両方が満たされていると感じ、提案に対して信頼感を得やすくなりますよ。
Both Mouth法を用いるとポジティブな展望(希望や利益)とネガティブな展望(懸念や損失回避)を両立させて伝えることができ、説得力が倍増するといわれています。

また、Both Mouth法を活用すれば、論理面と感情面のバランスが取れた説得が可能になります。
結果として、ビジネスシーンでの重要な意思決定の場面でも相手の合意を得やすくなるのです。

Both Mouth法の活用方法

Both Mouth法を実際のプレゼンや交渉の場で活用する具体的なステップとポイントを紹介します。
相手の目的・メリットを明確にする
聴き手が達成したい目標や得たい利益を明確に把握しましょう。
例:売上増加や業務効率化など

相手の不安・課題・デメリットを想定する
同時に、聴き手が避けたいリスクや抱える課題を考慮しましょう。
例:競争力低下やコスト増など

両面からメッセージを構築する
上記1と2のメリットとデメリットの両方を盛り込んだ伝え方を組み立て、二つの側面をセットで伝えましょう。

「このシステムを採用すれば業務の向上が見込めます。」(メリット)
「しかし競合がすでに導入しつつあるシステムですので、採用しない場合、競合に後れを取る恐れがあります。」(デメリット)

論理と感情のバランスを取る
メリット・デメリットを伝える際には、それぞれを裏付けるデータや具体例を用いましょう。
数値データで論理的に説明しつつ、適宜ストーリーや比喩を交えて感情にも訴えれば、メッセージは一層心に残りやすくなります。

「この新システムを導入することで、作業時間が平均して25%削減される見込みです。実際、同規模の事業所で試験運用した結果、月あたりの生産性が約1.3倍に向上しました。」(数値データ)
「あるチームは、従来の方法に比べて余裕ができたおかげで、新しいアイデアの検討に時間を割けるようになったそうです。メンバーのモチベーションも高まり、開発スピードが加速したと聞いています。」(ストーリー)
「まるで“生産性を生み出すスイッチ”が入ったような変化だったと、そのチームリーダーは語っていました。」(比喩)

Both Mouth法によって、聴き手に「提案を受け入れればメリットがあり、拒否すればリスクがある」という構図の理解を促し、前向きな行動意欲とリスク回避の必要性の両方を認識してもらうことができますよ。
その結果、提案への納得感が高まり、プレゼンや交渉の成功率が向上しやすくなります。
こうしたアプローチは、新規プロジェクトの承認や顧客提案などの場面で大きな威力を発揮しますよ。

学術的視点から見るBoth Mouth法の有効性

Both Mouth法の有効性は、心理学や認知科学の観点からも説明できます。
人間の行動心理には、「報酬を得ようとする動機」だけでなく、「損失を避けようとする動機」(プロスペクト理論)があることが知られています。

参考:ResearchGate「Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk

プレゼンでメリット(報酬)とデメリット(損失回避)の双方に触れることは、この二つの動機に同時に訴えることになります。

また、一方的な主張よりも両面的な情報提示の方が、聴き手が「自分で判断する材料が揃っている」と感じられるため信頼感が増すともいわれます。

参考:Hovland, C. I., Janis, I. L., & Kelley, H. H. (1953). Communication and persuasion; psychological studies of opinion change. Yale University Press.

まとめ

Both Mouth法を活用してプレゼンテーションの説得力を高めるためには以下のポイントに注意が必要です。

  • メリットとデメリットをセットで提示する
    提案の明るい未来像と潜在的なリスクの両方に触れ、聴き手の関心と危機感を同時に喚起しましょう。
  • 論理と感情を両立させる
    根拠となるデータやファクトを示しつつ、人の心に響く物語や具体例も交え、理性と感情の両面から訴えることが重要です。
  • バランスに注意する
    ネガティブな情報を伝えるときはポジティブな解決策と対にし、聴き手を不安にさせっぱなしにしないよう配慮します。
    逆に、良い話だけでは信憑性に欠けるため、適度に課題にも触れます。
  • 事前準備と練習
    事前に相手の関心事と不安要素を洗い出し、両面を織り込んだシナリオを練っておきましょう。
    プレゼン前のリハーサルで、メリットとデメリットのメッセージに一貫性があるか確認することも大切です。

これらの工夫を凝らせば、プレゼンや交渉で得られる成果は格段に向上するでしょう。
相手の心に訴えかける有効な交渉術として、ぜひBoth Mouth法を活用してみてください。
Both Mouth法をマスターし、次回のプレゼン成功に向けて大きな一歩を踏み出しましょう。

出演情報

代表 高村が、NHK『ニュースウオッチ9』に出演し、世代間ギャップの現状と世代間ギャップ研修についてコメントしました。【登場者】代表取締役 高村 幸治(たかむら こうじ)【番組名】ニュースウォッチ9【内容】世代間ギャップについて[…]

NHK出演時映像
>なぜ今、おもしろくて、楽しい学びが求められているのか?

なぜ今、おもしろくて、楽しい学びが求められているのか?

現代社会では、情報の爆発的増加と技術の急速な進化が、働く人々に絶え間ない学習と自己進化を要求しています。この変化の激しい時代において、従来の学習方法だけでは、従業員の関心を引きつけ、継続的な学習意欲を促すことが難しくなっています。

そこで、学びのプロセス自体を楽しく、従業員エンゲージメントを高める「楽学メソッド®」が重要な役割を担っています。このメソッドは、参加者が積極的に関与し、楽しみながら学ぶことで、記憶に残りやすく、実践的なスキルの習得を促します。また、楽しい学習体験は、チーム内のコミュニケーションと協力を深め、ポジティブな職場環境を作り出すことにも貢献します。

このように「楽学メソッド®」は、従業員の継続的な成長を支え、企業の競争力を高めるための効果的な手段として、今、強く求められているのです。

ご相談に費用は一切かかりませんので、まずはお問い合わせをいただければ幸いです。(お話をお伺いし、オーダーメイドで目的にあった研修プログラムを作成します)