部下に指示が正しく伝わらない理由とは?|部下育成における認識のズレを防ぐ方法

現場のマネジメントにおいて、「指示がうまく伝わらない」という課題は、多くの管理職が直面するものです。
明確に指示を出したつもりでも、部下が意図とは異なる行動を取ることがありますよね。
原因は単に部下の能力によるものだけではなく、上司の伝え方にもあるかもしれません。

本記事では、部下に指示が正しく伝わらない理由を掘り下げ、部下育成を円滑に進めるための方法を考えていきます。

部下が意図した通りに動かないのはなぜか?

上司

「部下に指示を出しても、思ったように動いてくれない。」

管理職の皆さんより、意図した通りの結果を残せない部下のお悩みはよくいただきます。
この課題の原因の一つに、言葉の解釈の違いがあるのではないでしょうか。

組織のコミュニケーション研修などでよく行われる「山を書く」ワークを紹介します。
このワークでは、講師が

「山を書いてください。」
「書けた山を隣の人と見比べてみてください。」

と、受講者に手元の紙に「山」を書くよう促し、それを隣の席の人と見比べてもらうのです。
すると、紙に書いた「山」は、それぞれ富士山だったり、エベレストだったり、はたまた「山」という漢字だったりと、それぞれ全く違う「山」を書くのです。

当たり前の話ではあるのですが、「山」という言葉一つを取っても、受け手の経験や価値観によって認識が大きく異なります
上司が「自分にとっての普通」を基準にしてしまうと、「なぜ意図と違うことをするのか?」と感じてしまうことになりますね。
しかし、部下にとっての「普通」はまた異なるものなのです。
特に上司と部下の間では、世代の隔たりがあることが多く、価値観や認識に大きな差があることは当然のことといえます。

指示の認識のズレを防ぐためにできること

世代間ギャップのある上司と部下の間で、認識のズレを防ぐために、今すぐできる具体的な方法を2点紹介します。

指示を具体的に確認し合い、共通認識を持つ

指示を伝える際に、上司が意図した内容と部下が受け取った内容が一致しているかを、ぜひ確認しましょう。
指示を出した際に、

上司

「どんな形で進めるイメージ?」
「ツールはどうする?」

といった業務の進め方に関する具体的な問いかけを行うことで、上司の意図と部下の認識にズレがないかを確認できますよ。
さらに、指示を受けた部下が自分の言葉で説明することで、上司が部下の理解度を確認できるだけでなく、部下自身の思考整理にもつながります
「言ったから伝わっているはず。」という思い込みを排除し、「どのように理解したか」を確認する習慣をもつことは、上司と部下の間の誤解を防ぎ、スムーズな業務遂行を可能にします。

また、具体的な例や数値を交えて伝えることも効果的です。

「Aと同じ形式で進めてほしい。」
「明日の12時までに進捗を報告してほしい。」

など、具体的な手順や時間を伝えましょう。
「いつもと同じ感じで。」や「はやめに。」など、抽象的に伝えることは、避けた方が賢明です。

指示の意図や背景を確認し合う

指示の「なぜ」を共有することも重要です。

「この作業は△△のためにやってもらいたい。」
「Aと同じ形式で進めれば、▲▲の役に立つと思うんだ。」

というように、単に指示をするではなく、指示の背景や意義を伝えましょう
部下の業務への理解度が上がるだけでなく、業務の「やらされ感」の払拭につながり、モチベーションも向上しやすくなりますよ。

業務の背景を明瞭に説明し、包み隠さずしっかり伝えることは、指示のずれを最小限に抑えるだけでなく、世代間ギャップを乗り越える鍵となります。

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上司自身の「伝え方」を見直す

上司と部下の間に年齢差や経験値の違いがある場合、言葉の捉え方にギャップが生じやすく、上司が伝えたつもりでも、部下が違う解釈をすることは珍しくありません。
したがって、「一度で伝わることを期待しない」姿勢をもつことが大切です。

その上で、指示を出す際は、ぜひ指示を構造化して伝えるようにしてみてください。

①何をするのか(タスクの内容)
②なぜ行うのか(タスクの意図)
③どのように進めるのか(手順やツール)
④期待する成果は何か(ゴールや成果物)
⑤いつまでにするのか(納期)

という、いわゆる5W1Hを意識して整理すると、部下は指示を理解しやすくなりますよ。

また、部下によって情報の受け取り方が異なることを理解し、伝えるツールを工夫することも必要です。
口頭で指示を出すだけでなく、必要に応じてメールやチャットなどのテキストでも伝えることで、部下が後から確認しやすくなります。
特に、若手世代はデジタルツールを活用することに慣れているため、テキストでの補足があると理解が深まりやすくなります。

さらに、上司が一方的に指示を出すのではなく、部下が質問しやすい雰囲気を作ることも重要です。
「何かわからないことがあったら聞いて」と言うだけでは、部下は遠慮してしまうことがあります。

上司

「〇〇の部分で不明な点はある?」

と具体的に問いかけることで、より積極的に質問しやすくなります。
質問しやすい雰囲気を作ることは、職場の心理的安全性を向上させることにつながりまよ。

まとめ:部下育成に必要なのは「伝えたつもり」をなくすこと

部下が上司の意図通りに動かない背景には、「言葉の認識の違い」があります。

・部下の理解を引き出す質問をする
・指示内容を具体的に確認し合う
・「伝え方」を工夫する
・質問しやすい雰囲気を作る

ことを意識し、組織全体の円滑なコミュニケーションと人材育成につなげてくださいね。

皆さんにとっては「知っていること」や「すでにやっていること」、「当たり前のこと」も多く含まれていたことでしょう。
しかし、ここでご紹介した内容を今一度意識し直すことで、部下との関係性や業務の効率は変わってくるものです。ぜひ職場で実践してみてください。

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部下育成にお悩みの方や組織改善を目指している方は、お気軽にご相談ください。

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