異なる世代が集まる現代の職場。
豊かなアイディアが生まれやすく、組織の柔軟性も向上しやすい環境といえる一方で、世代間ギャップによる問題が深刻化しやすい環境ともいえます。
上司においては、各世代の特性やコミュニケーションスタイルの違いを冷静に判断し、職場のエンゲージメントを保つ工夫が必要になってきます。
この記事では、世代間ギャップを乗り越えるためのコミュニケーションの具体的な方法と、そのメリットについて解説します。
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職場の世代間ギャップとは?
世代間ギャップとは、異なる世代の間での価値観や行動の違いを指す言葉です。
現代の職場で特に問題になりやすい世代間ギャップについて解説します。
好む働き方のギャップ
異なる世代が集まり、さまざまな価値観を持つ人々が働いている職場。
世代ごとの価値観は、その人が育った時代背景や教育、社会の影響を大きく受けています。
終身雇用が当たり前の環境で育ったベテラン世代は、仕事において安定と長期的なキャリアを重視する傾向があります。
一方、バブル崩壊後の不景気の中育ってきた若い世代は、キャリアの自由度やワークライフバランスを大切にすることが多いです。
こうした違いが職場での働き方に影響を及ぼし、世代間で認識にギャップを起こすことが少なくありません。
例えば、上司層などベテラン世代は長時間労働や自己犠牲的な働き方に価値を見出すことが多い一方で、若い世代は成果や効率を重視する傾向がある
ことは、皆さんにもご想像いただきやすいでしょう。
結果として、
「最近の若手は忙しいのに定時で帰ってしまう。」
という上司の不満や
「残業しないとやる気がないとみなされる。」
という納得のいかない気持ちにつながりやすくなってしまうのです。
働き方における世代間ギャップについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
「在宅ワークの要領が得られない。」「若手が定時で帰ることに戸惑う。」複数の世代が共に働く現代の職場。若手の求める働き方が理解できず、戸惑う上司層の方の声をよく耳にします。本記事では働き方における世代間ギャップについて、それ[…]
コミュニケーションスタイルのギャップ
世代によってコミュニケーションスタイルにも差が見られます。
例えば、ベテラン世代は対面でのコミュニケーションを重視し、直接会って話すことで信頼関係が築けると考えることが多いです。
一方、若い世代はメールやチャット、ビデオ会議などのデジタルツールを駆使してコミュニケーションを行うことが多く、これが世代間のコミュニケーションエラーを引き起こす要因の一つとなっています。
さらに、ベテラン世代は文面での礼儀や正式な表現を重んじることが多い一方、若い世代はスピード感を重視し、短いメッセージでやり取りすることを好む傾向があるため、場合によっては不快感や誤解が生じることもあります。
「部下がチャットで報告を済ませようとする。」
という上司の不満や
「上司が報告は電話か対面でしろというので、効率が悪い。」
という軋轢は、よく耳にするケースです。
世代間ギャップを乗り越えるためのコミュニケーションのポイント
敬意をもって話を聴く
世代間ギャップを乗り越えるためには、互いの意見や価値観に敬意=リスペクトをもつことが必要です。
特に異なる世代同士の対話では、相手の話を最後までしっかりと聴く「傾聴」が重要です。
相手の話の内容に共感したり、適切な質問を投げかけたりと、積極的な「傾聴」を心がけることで、コミュニケーションの質が向上しますよ。
また、当然のことではありますが、コミュニケーションでは互いに思いやりを持つことが大切です。
相手の意見が自分と違った時、ただ否定するのではなく、どういった背景からそのような考えを持っているのかを理解しようとする姿勢でいることで、コミュニケーションの場がより開かれたものになるでしょう。
明瞭で透明性のあるコミュニケーションを心がける
職場での意思決定やプロジェクトの進行状況について、透明性を保つことも世代間ギャップを縮めるために有効です。
特に、決定した方針やルールを上司層が若手に説明する際は、明瞭にわかりやすく説明することが大変重要です。
「いつもと同じだから、わかっているだろう」
いう考えは、経験の浅い若い世代にとってはわかりづらさにつながることがあるのは皆さんにもご想像いただきやすいでしょう。
この結果、無用な誤解を招いてしまうことは職場にとって大変な時間のロスとなるだけでなく、
「上司はいつも説明不足だ。」
という不信感につながってしまう場合があります。
職場の円滑なコミュニケーションを促進するためにも、不明瞭な説明は意識して避けていくべきといえます。
さらに、意思決定の背景や目的を共有することは、全員が納得して行動できるようにするための重要な要素です。
特に、情報量の多い動画コンテンツなど大量の量の情報に囲まれて育ったZ世代のメンバーは、意識せずとも情報の正確性の見極めを行っているケースが多いです。
隠しごとや説明不足など、不透明なコミュニケーションには不満を抱きやすい傾向にあります。
伝えたい事項の背景や目的まで明確に伝えることが、職場の円滑なコミュニケーションにつながりますよ。
頻繁なフィードバックを続ける
好むフィードバックも世代によって異なります。
若い世代は頻繁かつ迅速なフィードバックを受け取りたいと考えることが多い一方で、ベテラン世代は、フィードバックが少なくても自身のやり方で進めることを好む場合が多いです。
上司層は、定期的なフィードバック以外にも、各メンバーが好む頻度でフィードバックを提供できるよう、工夫することが必要です。
特にZ世代などの若手には1on1のミーティングなどでのフィードバックに限らず、チャットなど手軽なツールで頻繁にポジティブなフィードバックを返すだけでも、「上司はいつも見守ってくれている」と感じ、モチベーションアップにつながりやすいのでおすすめですよ。
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世代間ギャップを埋めるための具体的なコミュニケーション戦略
職場ですぐに始められる、具体的なコミュニケーション戦略を解説します。
メンターシップと逆メンターシップの活用
世代間のギャップを乗り越えるために有効な方法として、「メンターシップ」と「逆メンターシップ」があります。
メンターシップは、ベテラン世代が若い世代に対して仕事の進め方や経験を共有する方法で、皆さんの職場でもすでに実践されているかもしれません。
逆メンターシップは、その逆、つまり若い世代がベテラン世代に新しい技術やトレンドを教える方法なのです。
若手がベテランに物事を教えることは、職場では意識的に行わないとなかなかに難しいですよね。
逆メンターシップを導入することで、ベテランは柔軟に物事受容する姿勢を鍛えられ、若手は説明する力の向上やリーダーシップスキルの向上を期待できます。
それだけでなく、異なる世代が互いに学び合い、知識を補完し合う関係を築け、職場の活性化に直結させることができますよ。
このポジティブな空気が、世代間の信頼を構築し、職場全体の心理的安全性を向上させることはいうまでもありません。
コミュニケーションツールの使い分けとトレーニング
対面コミュニケーションを好む特に上司層の世代と、デジタルを好む若い世代が混在する職場では、コミュニケーションツールの使い分けも重要です。
・月一回の重要な報告会は必ず対面で行う、週次の報告会はオンライン参加も可能
・クレーム報告は必ず電話か対面で行う、日常の顧客対応報告はメールで行う。
など、なんとなくで進められていた報告や相談もあらかじめ使用するツールのルールを設定しておくことをおすすめします。
そして、それぞれのツールの利点を活かすことはもちろん、ツールの使い方を全メンバーがしっかり理解することも大変重要です。
使い慣れないツールは誰もが最初は戸惑うものですよね。
新しいツールを使うためのマニュアル整備やトレーニングを、実践していない職場は意外と多いのではないでしょうか。
特に団塊世代などは新しいツールの導入に気後れしてしまったり、導入しても使いこなすのに時間がかかってしまったりするケースが多いものです。
マニュアルを整備し、逆メンターシップなどを活用したサポート体制を整えることを意識してください。
適切にツールを使い分け、職場のメンバーの誰もが使いこなすことで、コミュニケーションの効率を高めることができますよ。
まとめ
異なる世代が共に働く現代の職場では、世代間ギャップに起因する問題が多く見受けられます。
世代間ギャップは、異なる世代どうしの理解が少ないことに因るものも多く、コミュニケーションを積極的に取り、ギャップを少しでも埋めていくことが大切です。
世代間ギャップを乗り越えるためのコミュニケーションは、職場全体の協力関係や心理の安全性を高め、チームのパフォーマンス向上にもつながります。
・傾聴の姿勢
・透明性を意識した情報共有
・頻繁なフィードバック
・逆メンターシップ制度の活用
・ツールの使い分けとトレーニング
がその鍵となりますよ。
ぜひすぐに着手できるところからはじめて見てください。
さまざまな世代が協力し合える職場環境を築くことで、組織全体の成長を促進していきましょう。
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