職場にはさまざまな世代が集まります。特に新入社員とベテラン社員の間には、経験値や価値観の違いから生じる「世代間ギャップ」がしばしば課題となります。
世代間ギャップが埋まれば、組織内のコミュニケーションが円滑になり、チーム全体が一体感を持って働けるようになります。
しかし、現実にはこの世代間ギャップが育成の妨げとなっているケースも多く、ただの「経験者と新人」という関係ではギャップを埋めることが難しいケースも多いのです。そこで、新人とベテランが一緒に成長し、互いに支え合うための育成法をご紹介します。
そこで本記事では
・世代間ギャップが生まれる理由
・世代間の違いを活かす3つのポイント
・世代間ギャップを大きくするNG行動
を解説します。
新人とベテランが一緒に成長し、互いに支え合うための育成法をご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ世代間ギャップが生まれるのか?~価値観の違いを理解する~
まず、世代間ギャップの原因の一つは、価値観や経験の違いにあります。ベテラン社員は、企業の成長を支えてきた自負や、自分の経験が培ってきた信頼の中で、実績を積んできました。対して、今どきの新人は、デジタルネイティブとして多様な情報に触れながら育ち、自由な発想や新しい視点を持っています。この違いは時に対立を生むこともありますが、逆に言えば、世代間ギャップは相互に新たな発見をもたらすチャンスともいえるでしょう。
お互いの視点を尊重し、どちらか一方が主導するのではなく、対等な立場で意見を交換する機会を増やすことが、ギャップ解消の鍵となります!
アドラー心理学の「共同体感覚」に基づけば、人は仲間としてのつながりや所属感を持つことで、協力し合う意欲が高まるとされています。
共同体感覚とは
家族・地域・職場などの中で「自分はその一員だ」「つながっている」という感覚のこと。アドラーは、共同体感覚を持つと人は幸せを感じ、その感覚は意識的に養なう必要があるとしている。
この考え方を育成に取り入れれば、世代間ギャップを埋め、協力して成長する土台が整うのです。
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世代間の違いを活かすための3つの育成ポイント
世代間の違いを活かすためには、以下の3つの育成ポイントを押さえる必要があります。
- 「教える・教わる」から「学び合う」へのシフト
- 異なる視点を「否定しない」文化づくり
- コミュニケーションを「共有の場」として定期的に設ける
それぞれの育成ポイントを詳しく解説します。
1. 「教える・教わる」から「学び合う」へのシフト
従来のように「教える側」「教わる側」として分けるのではなく、「学び合う」関係を目指すことが大切です。たとえば、プロジェクトにおいてベテラン社員は経験から来る戦略的な視点を、若手社員はデジタル知識やフレキシブルな発想を提供するなど、それぞれが「自分が貢献できる部分」を意識することが求められます。
これにより、互いに「教え合う」「支え合う」関係が築かれ、自然と信頼関係が生まれるのですね。
「学び合う」場を提供することで、若手はベテランの経験から学び、ベテランは若手の新しい発想から刺激を受けられるため、双方が成長できる機会が増えていきます。
2. 異なる視点を「否定しない」文化づくり
世代間ギャップを乗り越えるためには、意見の違いを「否定しない」文化が欠かせません。ベテラン社員の「昔はこうだった」といった経験は大事ですが、新人の「なぜそうするのか?」という質問を受け入れることで、これまでの方法を見直す機会にもなります。新人からの疑問を、「知識不足」として切り捨てず、「新しい視点」として受け止める姿勢が重要です。
心理的安全性が高まることで、社員が互いに率直な意見を交換でき、チームとしての結束が強まります。社会心理学者エドモンドソンの研究では、心理的安全性が高いチームほど、失敗を共有しやすく、組織全体のパフォーマンスが向上するとされています。つまり、異なる意見を受け入れ合う環境が、世代間の違いを活かす土台になるのです。
心理的安全性:
「どんな意見を言っても罰せられない」と感じる職場環境を作ること。
参考:ResearchGate「Psychological Safety, Trust, and Learning in Organizations: A Group-level Lens」
3. コミュニケーションを「共有の場」として定期的に設ける
ベテランと新人が自然に話し合える共有の場を設けることも効果的です。週に一度、ミーティングやワークショップを行い、互いに意見交換を行う機会を持つことで、世代間の意見交換が日常化します。例えば、若手社員がデジタルツールの活用法をベテランに提案したり、ベテランが業界の背景やお客様との信頼関係をどう築くかについて若手に共有したりするなど、互いに学び合う場が育成の場ともなり得ます。
この共有の場を通じて、新人もベテランも「違いを理解し、受け入れる」体験を積むことで、互いに成長できる組織風土が形成されていきます。
ともに学び、否定せず、共有する場を作ることこそ、企業が新人のためにできる育成の基盤となるのです。
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世代間ギャップを乗り越えるために避けるべき3つのNG行動
以下の3つのNG行動をすると、新人と先輩社員との世代間ギャップが埋まるどころか大きくなりかねません。新人を大切にするためには、NG行動を知っておくことが大切です。
- 新人の意見を「軽視」すること
- 経験だけを頼りに「こうあるべきだ」と押し付けること
- コミュニケーションの「頻度が少なすぎる」こと
それぞれ解説します。
1. 新人の意見を「軽視」すること
新人の意見を軽視し、「まだ分からないのだから」と一蹴することは、世代間ギャップを広げる原因です。若手の意見が活かされる場を設けないと、新人は「どうせ聞いてもらえない」と感じてしまい、主体性が削がれるおそれがあります。新人の意見を受け止める姿勢を持つことで、互いに学び合う関係が生まれやすくなります。
2. 経験だけを頼りに「こうあるべきだ」と押し付けること
ベテランの経験は貴重ですが、時代や状況が変わっている中で「昔はこうだった」「これが常識だ」と一方的に押し付けることは、新人の発想を閉ざしてしまいます。ベテランの経験が役立つことは多いものの、時には柔軟性を持ち、若手の提案を受け入れる姿勢がギャップ解消には重要です。
3. コミュニケーションの「頻度が少なすぎる」こと
定期的な意見交換の場を設けず、限られた場面だけで話すと、誤解や意見のすれ違いが起こりやすくなります。日頃から互いに話しやすい場を持つことで、小さな疑問や意見のすれ違いも解消しやすくなり、世代間の違いを乗り越えるチームワークが生まれやすくなるでしょう。
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共に成長するための育成環境を整える
世代間の違いを乗り越え、新人とベテランが共に学び合い、成長するためには、「共育」という考え方が大切です。相互の違いを活かし、支え合いながら成長することで、組織全体が活性化され、新しい発想や行動が生まれやすくなります。
共に成長する未来を目指すには、社内全体が同じ研修や学習を通して、共通認識や意識を持つことが大切です。
エナジーソースの世代間ギャップ研修では、心理的安全性を高め、世代を超えたコミュニケーションを促進する内容を提供しています。ベテランと新人が互いに意見を尊重し合い、共に成長するための方法を学ぶこの研修を通じて、組織全体がさらに強い結束力を築けるでしょう。
また、新人が自信を持って組織に貢献できるよう、エナジーソースの新入社員研修では実践的なスキルと考え方を養うプログラムを提供しています。
この研修を通じて、新人は心理的安全性を感じながら現場での力を身につけ、チームの一員として自ら成長する力を得ることができます。
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まとめ
新人が職場で力を発揮するために、しばしば壁となる「世代間ギャップ」。今回は、新人の育成における世代間ギャップの重要性やNG行動を紹介しました。
大切なのは、新人が安心して意見を言える環境をつくることです。そのためには、新人はもちろん、先輩や上司層も新人とのコミュニーションを学ぶ必要があります。
エナジーソースの新入社員研修や世代間ギャップ研修を通じて、エナジーソースとともに世代間ギャップを弱みから強みに変えていきましょう!
エナジーソースでは、部下育成や組織の成長を支援しています。
世代間ギャップを解消したい、新人を効果的に育成したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。
「エナジーソースの世代間ギャップ研修で、若手の新しい発想を受け入れる大切さを学びました。『昔はこうだった』という固定観念を手放し、新人と対等な立場で意見交換することで、むしろ自分自身も新しい視点を得られています。恥ずかしながら、若手からデジタルツールの活用法も教わり、業務が効率化できましたよ。」
「エナジーソースの新入社員研修の学びを活かして、自信を持って質問や提案ができています。定期的なミーティングでは、先輩方の経験から業界知識や顧客との関係構築について学べる一方で、自分のデジタルスキルも活かせており、とても充実しています!」
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