「若手に注意をしたらパワハラといわれた。」
「若手をお礼の飲み会に誘ったが、断られた。」
このようなご相談を上司層の方からよく伺います。
Z世代から団塊世代まで、さまざまな方が一緒に働く現代の職場。
各世代間の多様な背景や価値観のギャップが時に摩擦を生み、深刻な場合にはハラスメントへと発展することがあります。
この記事では、世代間ギャップが引き起こすハラスメントの理解を深め、その対策について考えていきます。
あらかじめ世代間ギャップとハラスメントの原因と対策を知っておけば
・職場のコミュニケーションが改善され、職場環境が良くなる
・ハラスメントによる離職や休職が減る
など、嬉しい結果がのぞめますよ。
ぜひ最後までお読みください。
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世代間ギャップとハラスメントの関係
世代間ギャップとは、異なる世代間での価値観や行動の違いを指します。
世代間のギャップが深まると、コミュニケーションの行き違いや仕事に対する認識の違いが顕著になり、結果としてハラスメントの発生リスクが高まってしまうケースがあります。
世代間ギャップが職場に与える問題と、ハラスメントの定義を解説します。
世代間ギャップが職場にもたらす問題
職場にはさまざまな世代が混在しています。
団塊世代、X世代、ミレニアル世代、そしてZ世代など、それぞれが異なる時代背景で育ち、異なる価値観を持っているのは、皆さんにもご想像いただきやすいですよね。
これら世代間のギャップは、コミュニケーションや仕事に対するアプローチ、さらには職場での行動にも影響を与えるのです。
例えば、団塊世代は長時間労働や勤勉さ、忠誠心を重んじる一方で、若い世代は効率的かつ柔軟な働き方を好み、プライベートを大切にする傾向にあります。
こうした各世代の価値観の違いがメンバー間の誤解や摩擦を生じさせ、ハラスメントの温床となることがあるのです。
各世代の特徴や、世代間ギャップの背景についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
ハラスメントの定義と種類
ハラスメントとは個人の尊厳や人権を侵害する言動や行為を指し、職場での安全で健全な環境を脅かす重大な問題です。
ハラスメントには、パワーハラスメント(パワハラ)、セクシャルハラスメント(セクハラ)だけでなく、マタニティハラスメント(マタハラ)・パタニティハラスメント(パタハラ)やモラルハラスメント(モラハラ)、さらにはエイジハラスメント(エイハラ・年齢に基づくハラスメント)などがあります。
特にパワハラは労働施策総合推進法で、セクハラは男女雇用機会均等法で、事業主に予防と対策を講ずることが義務付けられています。
世代間ギャップが起こすハラスメントの原因
職場の世代間ギャップが起こすハラスメントの原因はさまざまですが、中でもよく耳にする2点を紹介します。
各世代間の価値観のギャップ
世代ごとの価値観の違いが、ハラスメントの原因となり得ることは、皆さんも容易に想像できるでしょう。
例えば、団塊世代やX世代は長時間労働や自己犠牲を厭わない一方、ミレニアル世代やZ世代は、ワークライフバランスや自己成長を重視する傾向があるといえます。
仕事に対する価値観の違いから、上司が部下に対して「やる気がない」などと指導するも、部下にそのつもりがなかった場合、ハラスメントとみなされるケースもあります。
このケースでは加害者・被害者の間に「自己犠牲は当たり前」・「自己犠牲してまで働くべきでない」と価値観の大きなギャップがあります。
そのため、世代間ギャップが背景にあるハラスメントは加害者側に悪意がないことが多く、問題が深刻化しやすいのです。
コミュニケーション不足
各世代間のコミュニケーションスタイルの違いがコミュニケーションの不足を生じさせ、ハラスメントにつながるケースがあります。
団塊世代は対面や電話でのコミュニケーションを好む傾向にある一方、ミレニアル世代やZ世代などの若い世代は、チャットやメール、SNSなどのデジタルツールを用いての迅速なコミュニケーションを好むことが多い傾向にあります。
好むコミュニケーションスタイルのギャップが職場の不満やコミュニケーションエラーにつながることは、いうまでもありません。
「部下がなんでもチャットで済ませようとする。」
という上司の不満や
「上司が電話で報告しろというから電話したのに、後から聞いてないといわれた。」
というコミュニケーションエラーがその典型例です。
この結果、ハラスメントの起きやすい職場が醸成されやすくなってしまうのです。
世代間ギャップによるコミュニケーションストレスについては、軽減方法のご提案とともにこちらの記事で詳しく解説しています。
どうぞご一読ください。
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世代間ギャップが起こすハラスメントの事例
職場で起きやすい、世代間ギャップが原因のハラスメントの具体例を紹介します。
世代間ギャップが背景にあるハラスメントは加害者に悪気がない場合も多いだけでなく、被害者が声をあげづらい現状もあり、職場のメンバー全員で注意を払うことが大切です。
もちろんハラスメントの原因はさまざまで一概に言えるものではありませんが、あらかじめハラスメントの起きやすい事例を知っておくことは、職場の環境改善に有効ですよ。
育休取得予定者への嫌味や批判
育休をとる予定の社員に対しての批判的な発言がハラスメントにつながるケースが多いのは、皆さんにもご想像いただきやすいでしょう。
とりわけ、若手の男性が育休をとる予定の場合にハラスメントが起きやすく、職場全体で気を付けていく必要があります。
「男が育休なんて、必要ないだろう。」
「育休を取るなんて、周りに迷惑をかけるだけだ。戻ってきたときにポジションがないかもね。」
「育休なんて、最近の若手は甘やかされているよね。」
「若いんだから体力あるでしょう、家のことだけじゃなくて仕事もちゃんとやりなよ。」
などの育休取得予定者のキャリアについての発言や、性別や年齢を理由に育休を否定する発言は、パワハラ、モラハラ、パタハラ、エイハラなどになり得ます。
必要以上にプライベートへ介入する言動
仕事に責任をもって欲しいという指導・教育の意識や、職場の仲間として距離を縮めたいという理由から、必要以上にプライベートに介入してしまう場合もハラスメントになり得ます。
「この仕事は超重要案件だから、夜でも電話に出られるようにしておくべきだよ。」
「仕事を引き受けてくれてありがとう、お礼にこの後二人で飲みに行かない?」
「次の休みは社内レクリエーションだから、必ず来てね。若手は絶対参加だよ。」
「〇〇さんはとても綺麗だよね、彼氏とかいるの?」
など、業務以外のプライベートな時間や個人的な内容に介入するのは、パワハラ、セクハラなどになり得ます。
年配の世代ほど仕事とプライベートの線引きが甘い傾向にある一方、若い世代はプライベートを大切にする傾向
にあり、この価値観のギャップがハラスメントの引き金になりかねないのです。
また、「お礼」「レクリエーション」「(外見が)綺麗」などの言葉は、相手との距離感や言葉の使い方、使用頻度によってはハラスメントに該当しない例も多くあります。
その結果、被害者が「嫌な気持ちになるが、嫌とは伝えづらい。」と感じ、被害がどんどん増幅してしまうケースもあり、注意が必要です。
ハラスメントを防ぐための対策
職場で日常的にコミュニケーションをとっていれば、万が一職場でハラスメントが起きてしまった場合でも、加害者自身や周りのメンバーが「この発言はまずいのではないか」と気づけることも多いものです。
しかし、コミュニケーションが不足している職場などでは特に、被害者が嫌な気持ちになっていることが誰にも伝わらず、辛い思いをし続けてしまうケースもあります。
コミュニケーションの不足は、リモートワークの推進や新しいコミュニケーションツールへの移行など、職場環境の変化やそれに対するメンバーの不慣れさが原因である場合も多く、問題は複雑です。
ハラスメントの対策として、職場で今すぐ実践できる効果的な2つの方法を紹介します。
オープンなコミュニケーションの促進
世代間ギャップによるハラスメントを防ぐためには、意識的にオープンなコミュニケーションの場を設けることが重要です。
定期的なミーティングやワークショップを通じて、メンバーに各世代が持つ価値観やコミュニケーションスタイルを理解し合い、誤解を解消する機会を提供しましょう。
チャットやテレビ電話では伝わりきらないことがあるのは、皆さんご経験されているかと思います。
オープンなコミュニケーションの場を意識して設定することで、メンバーが自由に意見を言える環境が整い、ハラスメントのリスクを減少させることができますよ。
研修を実施する
ハラスメント防止のための研修や、世代間ギャップについて学ぶ研修を実施することも有効です。
ハラスメントの研修を受けた受講者が、今まで善意で行っていたことがハラスメントになりかねない行為だったのだと気づくケースも少なくありません。
また、世代間ギャップに焦点を当てた研修では、異なる世代が互いの考え方を理解し、適切なコミュニケーション方法を学ぶことができます。
団塊世代のいわれて嬉しいメッセージや、Z世代のやる気の出る一言などを学ぶと、メンバーが職場のコミュニケーションにすぐに生かせ、職場の環境改善に役立ちますよ。
まとめ
さまざまな世代が一緒に働き、各々が異なる価値観とコミュニケーションスタイルを持っている現代の職場。
この記事では、世代間ギャップが引き起こすハラスメントについて解説しました。
・オープンなコミュニケーションを意識的に推進する
・研修と教育を強化する
ことは世代間ギャップが原因のハラスメントを減らすことにつながりますよ。
各世代が互いに理解し、尊重し合う空気を作ることで、ハラスメントのない健全な職場環境を築きましょう。
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