メールにひそむ世代間ギャップ|上司が意識したいコミュニケーションの工夫

ビジネスの現場で主要な連絡手段として使われているメール。
頻繁に使用されるメールですが、世代が異なるとメールに対する常識や感覚にズレがあり、やりとりの中で違和感や戸惑いなどの世代間ギャップ(ジェネレーションギャップ)が起きてしまうこともあります。

上司

「返信がそっけない」
「マナーがなっていない」

若手

「メールが長すぎて読みにくい」

などのすれ違いの背景には、育ってきた時代と価値観の違い=世代間ギャップが関係しているケースがあります。
本記事では、上司の世代とZ世代などの若手の世代それぞれのメールに対する認識の違いを整理し、職場でのコミュニケーションの改善に役立つヒントを紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。

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なぜメールで世代間ギャップが起きるのか?

メールはビジネスで広く使われている基本的な連絡手段ですが、世代によって「当たり前」の感覚には違いがあります。
上司層と若手層では、メールの役割や重要度、返信のスタンスなどが微妙に異なり、それがすれ違いや誤解を生む要因となっているのです。

メールに対する“役割”のとらえ方が異なる

上司層にとってのメールは、丁寧かつフォーマルなビジネスコミュニケーションの基本ともいえる存在です。
相手に失礼のないように、正しい敬語を用い、起承転結の整った文章を送ることがメールの常識として浸透してきました。
一方で、若手、とくにZ世代にとっては、メールは連絡・通知のためのツールというとらえ方が強い傾向にあります。
LINEやチャットアプリなどで簡潔なやりとりに慣れているZ世代にとっては、メールはどちらかというと公式な連絡手段であり、内容も事務的にまとめることが自然と身についています。

メールに対するとらえ方の違いから、上司の世代が

上司

「挨拶が足りない」
「敬意が感じられない」

と感じる一方で、若手は

若手

「簡潔にまとめただけなのに」
「メールに敬意をあらわす必要あるのかな?」

と戸惑う、といったすれ違いが生じやすくなるのです。

リアクション・返信スピードへの期待の違い

メールの返信スピードについても、世代間で感覚の差が出やすいポイントのひとつです。
上司層は、即レス=誠意や信頼の証と感じる傾向があり、すぐに返さないのは失礼だという意識が強くあります。
一方で、若手はメールの内容に応じて返信のタイミングを変える、業務優先で必要なときに返す判断を重視する傾向があります。
その結果、

上司

「返事が遅い」
「そっけない」

と受け取られたり、

若手

「どうして返事を急がされる必要があるのか」

と感じてしまったりと、お互いに違和感を抱くことにつながるのです。

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メールで“あるある”の世代間ギャップ

実際のメールのやり取りの中では、意図せず世代間ギャップが表れる場面が多く見られます。
メールに関する世代間ギャップの”あるある”を挙げながら、背景や感じ方の違いを読み解いていきます。

「シンプルすぎるメール」に戸惑う上司

若手社員からのメールに対して、

上司

「ビジネスマナーがなっていない」
「軽く扱われているのでは」

と感じる上司の方の声をよく伺います。
件名が単語だけ、本文に挨拶がない、署名も簡素、といったメールが届くとびっくりしてしまう上司の方が多いようです。
しかし、若手からのシンプルなメールに、必ずしも悪意や無知があるとは限りません
短く、わかりやすく、すぐに要件が伝わるようにといった配慮の結果として、フォーマルさを省略しているケースもあります。
むしろ、若手の間では長々と書くより、端的に伝えた方が親切という認識もあるほどです。
メールにおける丁寧さの定義の違いが世代間ギャップとして現れているケースも多いのです。

「長すぎる」・「要点が見えない」メールに戸惑う若手

上司から届くメールに

若手

「長すぎて何が言いたいかわからない」

と感じる若手の声も聞かれます。
前置きが長く、文末まで読まないと要点がわからない文章は、忙しい日常業務のなかでは負担として受け取られてしまうこともあるようです。
もちろん、上司世代としては相手に失礼のないように丁寧に書きたいという思いがあるのでしょう。
しかし“タイパ”を重視するZ世代などの若手には「結果を先に知りたい」と感じる傾向があるのです。
メールで何を重視するのかの違いが世代間ギャップとして現れてしまっているのですね。

「メールでいいのになんで電話してくるの?」と不満を抱く若手

若手社員の間でよく聞かれる声に、

若手

「メールで済む内容なのに、なぜわざわざ電話してくるのか分からない」

も伺います。
上司の世代にとっては意外に思えるかもしれませんが、背景には連絡手段に対する優先順位や心理的負担の違いがあります。
上司の世代にとっては、電話は相手の意図を素早く直接確認し、すれ違いを防ぐための便利な手段と捉えられてきました。
しかし、若手にとっては

若手

「電話は時間を奪われるもの」
「突然の電話連絡はペースを乱される」

と感じるケースも多く、メールやチャットの方が気軽で効率的と考えられることが多いのです。
連絡手段への考え方の違いが世代間ギャップとして摩擦を生んでしまうケースの一つといえます。

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伝わるメールのためのコミュニケーション

メールに対する感じ方が違うからこそ、メールでは「伝える工夫」が求められます。
世代を問わず伝わりやすいメールを書くために、どのような意識や姿勢が役立つのかを紹介します。

正しさよりも「読みやすさ」や「意図の共有」を意識する

メールの形式やマナーは、組織文化や業界の慣習によって異なる部分も多くあります。
しかし、正しさばかりを重視すると、かえって形式にとらわれて本質的なやりとりがしにくくなることもありますね。
メールでは、「どちらが正しいか」よりも、「どうすればお互いに伝わるか」を考える視点を大切にしていくことをおすすめします。

若手がメールで省略した表現を使ったとき、「それは間違っている」と正すのではなく、

上司

「この言い方だと相手にどう伝わると思う?」

と問いかけてみましょう。同時にメールを訂正する際は、

・なぜこの書き方が好ましいのか
・なぜこの書き方がが必要とされてきたのか
・この書き方だとどうして伝わりやすいのか

などを共有することで、若手にとって納得感のある学びになりますよ。

「丁寧」と「回りくどい」は紙一重です。
お互いの感じ方を尊重しつつ、バランスのとれた表現を探っていく歩み寄りが大切なのではないでしょうか。

返信のトーンやスタイルに配慮する

メールの文面には、言葉だけでなく関係性や距離感もにじみ出るものです。
形式ばった挨拶文ばかりでは冷たく感じられることもあれば、絵文字やカジュアルすぎる文面が軽く見られてしまうこともあるでしょう。
相手の世代や立場、状況に合わせてトーンやスタイルを調整する「ペーシング」の意識が、誤解を減らし、信頼感を育てる一助になりますよ。

ペーシングとは:
相手の気持ちや行動、話し方、話すスピードなどに合わせて、自分の言動を調整すること。

例えば

「お疲れさまです。お忙しいところ恐れ入ります。」
「急いでいませんので、お手すきの際にご確認ください。」

といった一文を加えるだけでも、受け取る側の印象はずいぶんと変わります。
一人ひとりが相手を慮る気持ちを持つことが、伝わるメールにつながっていきますよ。

上司自身も柔軟に変化していく

上司自身が「こうでなければならない」と、メールのスタイルにとらわれすぎていないか、見直してみることも有効です。
例えば、よくいわれることではありますが、

・文字数をコンパクトにしてみる
・箇条書きを取り入れて見やすくしてみる
・要件は1つに絞る

などのちょっとした工夫を試すことで、読みやすく、理解しやすい印象につながります。
若手の変化に合わせて、上司自身も少しずつ「柔らかさ」や「効率性」を取り入れていくことで、自然な信頼関係が築かれていきますよ。

Z世代との世代間ギャップを埋めるコミュニケーションのヒントについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
ぜひあわせてお読みください。

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まとめ

世代によって異なるメールの常識は、決してどちらかが正しく、どちらかが間違っているという話ではありません。
大切なのは、「どうすれば伝わるか」や「どうすれば相手に負担なく受け取ってもらえるか」の視点を持つことです。

本記事でご紹介した

・正しさよりも「読みやすさ」や「意図の共有」を意識する
・ペーシングを意識する
・自分自身も柔軟に変化していく

などを実践することで、メールを通じたすれ違いや誤解はぐっと減り、世代を超えた信頼のあるコミュニケーションが育まれていきますよ。
記事内で紹介した工夫は、他ならぬコミュニケーションの工夫です。

相手の価値観や感覚に寄り添いながらコミュニケーションをとることは、伝わるメールを書ける社員が増えるだけでなく、組織全体の情報共有力の向上にもつながるのではないでしょうか。

ぜひ、日常のコミュニケーションのひとつとして取り入れてみてくださいね。

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