「部下に任せるより、自分でやった方が早い。」
このように考える上司は少なくありません。
確かに、経験豊富な上司が直接手を動かした方が効率的で、ミスも少ないと感じる場面は多いでしょう。
しかし、部下に仕事を任せない選択は、結果的に組織全体の成長を阻害する可能性があるのです。
本記事では、「部下に仕事を任せる」という行動の意義について考え、リーダーシップのあり方を探ります。ぜひ最後までお読みください。
「任せられない上司」が抱える問題
任せるより自分でやった方が良いと考える上司の背景には、上司自身の能力の高さがあります。
上司はこれまで数々の成果を挙げ、ミスを最小限に抑えるスキルを培ってきたため、部下に任せることに不安を感じるのです。
しかし、上司自身も最初から完璧だったはずがありません。
多くの失敗や試行錯誤を経て培った力が、今のリーダーシップを支えているのではないでしょうか。
もし部下に仕事を任せず失敗の機会を与えなければ、部下は成長のきっかけを失い、組織全体の進化が滞ることになりかねません。
「任せる」ことの重要性
部下に仕事を任せることの意義は、心理学者アルバート・バンデューラが提唱した「自己効力感(SelfEfficacy)」の理論からも説明できます。
自己効力感:
成功体験を積み重ねることで、自分には目標を達成する能力があり、自分なら必ずできると感じる感覚のこと。
人は、成功体験を重ね、その成功を認められた際に自己効力感を得ることができるのです。
部下の自己効力感を向上させるため、部下に仕事を任せうまくいった際は、ぜひ具体的でポジティブなフィードバックを与えてください。
厚生労働省の分析でも、
自己効力感や仕事を通じた成長実感の向上といった観点からは、日常業務に対する上司から のフィードバックが実施され、その頻度が相対的に高いこと、その上で、手法としては、働く方の具体的な行動について、行動した内容の重要性や意義について説明しながら、行動し た直後に誉めることが肝要であることが示唆された
令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-|厚生労働省
とあります。
しかし、上司が「部下に任せない」という選択をし続けると、部下は成功体験を積む機会を得られず、「自分にはできない」という自己効力感の低下を招く恐れがあります。
その結果、部下は主体性を失い、受動的な姿勢で仕事に取り組むようになってしまうかもしれません。
「任せる上司」の具体的な行動
部下に任せることができる上司となるために、ぜひ「ミスを許容し、成長を支援する」姿勢を見せていきましょう。
この姿勢こそが、部下育成の真髄ともいえます。
1.部下に明確な目標を提示する
仕事を任せる際には、期待される成果や目標を明確に伝えることが大切です。
ゴールが曖昧だと、部下は何を基準に進めれば良いのか迷ってしまいます。
目標を共有することで、部下は自分の役割を理解し、自信を持って取り組むことができますよ。
2.ミスを成長の一環として捉える
部下がミスをした際は、責めるのではなく、成長の糧として活かすサポートを行いましょう。
ミスが起きたとき、ミスの原因を一緒に分析し、次にどうすれば良いかを考える機会をつくるのです。
こうしたプロセスを通じて、部下は「ミスは学びの一部である」と実感できますよ。
3.バックアップ体制を整える
部下に仕事を任せる際には、必要に応じてサポートできる体制を整えておくことが重要です。
部下が困難に直面した場合に「助けてもらえる」という安心感があることで、より積極的に挑戦できるようになります。
「失敗しても、このチームなら大丈夫。挑戦してみよう!」
まとめ
リーダーシップの本質は、「部下を成長させること」といえます。
「任せる」ことは上司にとって勇気が必要な行動かもしれませんが、「任せる」ことは部下の成長、ひいては組織全体の発展につながりますよ。
ミスを恐れるのではなく、それをチャンスとして捉え、部下に寄り添いながら成長を支援する姿勢を見せ続けていきましょう。
エナジーソースでは、部下育成や組織の成長を支援しています。
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