

注意しただけなのにパワハラと言われた

指導すると辞めてしまいそうで、何も言えなくなってきた…
厚生労働省の「令和5(2023)年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、パワハラを経験した労働者は全体の19.3%ですが、管理職(男性24.0%・女性23.6%)は平均を上回ります。管理職は「加害者にも被害者にもなりやすい」ポジションなのです。
この記事では、管理職が直面する5つの具体的な場面を整理し、今日から実践できる解決策を解説します。
この記事を読むとわかること
・管理職が世代間ギャップで最も悩む5つの場面と根本原因
・Z世代に「伝わる」指導法
・パワハラにならない指導の具体的な境界線
・世代間ギャップ研修で管理職が変わる仕組み
管理職の心身の健康を維持できていますか?
なぜ今、管理職は世代間ギャップに苦しんでいるのか

参照:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」(2024年5月、n=8,000)
管理職が「板挟み」になる構造
歴史上初めて4〜5世代が同じ職場で働く時代になりました。管理職には「上からの成果要求」「下からの価値観の多様化」「ハラスメントリスクへの懸念」という三重の板挟みが生まれています。
厚労省調査(令和5年度)では、パワハラ経験者の行為者として「上司(役員以外)」が65.7%と最多です。管理職は最もリスクが高いポジションであり、同時に最も「変化を迫られている」存在でもあります。
「ハラスメントを恐れて何も言えない」管理職の増加
パワハラ防止法(2022年4月・全企業義務化)以降、管理職の委縮が加速しています。「優しくしたら舐められる」「厳しく言ったらパワハラ」という板挟みの中、指導を諦めてしまう管理職が増えているのです。
しかしこれは管理職個人の問題ではなく、「世代間ギャップへの理解と対応スキルが更新されていない」ことが本質的な原因です。
参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
参考:e-GOV法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
「若手に注意をしたらパワハラといわれた。」「若手をお礼の飲み会に誘ったが、断られた。」このようなご相談を上司層の方からよく伺います。Z世代から団塊世代まで、さまざまな方が一緒に働く現代の職場。各世代間の多様な背景や[…]
管理職が最も悩む世代間ギャップ5シーン

シーン1:Z世代への指導・叱責
「注意すると落ち込んで翌日来なくなる」
「何が傷つくポイントかわからない」
管理職の多くが抱える悩みです。Z世代はハラスメント教育を受けており、感情的・人格否定型の叱責は特に深刻なダメージを与えかねません。
上司世代は「姿勢・根性・やる気」を指導の対象にしがちですが、Z世代が許容するのは「行動・事実・影響」への言及です。この「指導の対象」の認識の違いが、多くの摩擦を生んでいます。
シーン2:報連相・連絡手段のギャップ
「口頭で報告してほしいのにチャットで済ませる」
「重要なことをLINEで送ってくる」
管理職世代には非常識に映る行動が、Z世代には「効率的で記録も残るベストな方法」です。どちらも合理的な理由を持っています。
「緊急→電話、通常業務→チャット、公式通知→メール」というルールを組織として決めるだけで、報連相をめぐる摩擦の大半が解消されます。「当たり前」を言語化することが鍵となるでしょう。
シーン3:仕事への姿勢・残業観の違い
「定時ダッシュが当たり前」
「残業・飲み会を断られる」
これはZ世代の「怠け」ではなく、仕事とプライベートの線引きに関する価値観の根本的な違いです。この価値観を「甘え」と捉え続けると、指導とハラスメントの境界を見誤ります。
Z世代は「意味・目的・自分への影響」が明確な仕事に対しては高い主体性を発揮します。「やれと言ったからやる」ではなく「なぜこれが大切なのか」をセットで伝えましょう。
シーン4:フィードバック・評価のタイミング
管理職世代は「年1回の人事評価が正式なフィードバックの場」という認識を持ちがちですが、Z世代は「今やっている仕事が正しい方向かをすぐに知りたい」と感じています。
週次・月次の短い1on1でのフィードバックを習慣化しましょう。「具体的・即時・ポジティブ」の三原則でZ世代の成長意欲に火がつきます。
シーン5:飲み会・社内イベントへの参加意識
「飲み会を断られる」
「歓迎会にも来ない」
Z世代が職場の人間関係を嫌っているわけではありません。「業務外の時間は自分のもの」という価値観からくる行動です。
飲み会の代わりにランチ会・1on1などの代替手段を整備することが現代の管理職に求められるスキルです。
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パワハラにならない指導の技術|SBIモデル

SBIモデルの3ステップ
ハラスメントにならない指導の実践的なツールとしてSBIモデルを紹介します。
- S(Situation:状況)
→「昨日15時の会議で〜」と具体的な場面を示す - B(Behavior:行動)
→「あなたが○○した」と行動のみに言及(人格・属性・世代を否定しない) - I(Impact:影響)
→「その結果、チームに○○という影響があった」と事実を伝える
「あなたはいつも準備が足りない」といった否定的な言葉を、以下のように変えてみましょう。
「昨日の会議で資料のページ番号が抜けていたため、クライアントが混乱した」
感情的にならず、事実のみを伝える。この違いが指導とパワハラを分けます。
一対一で・行動のみに・記録を残す
- 一対一で実施する(大勢の前での叱責はZ世代に特に深刻なダメージを与える)
- 行動・事実のみを対象にする(人格・世代・属性への言及は禁止)
- 内容を記録に残す(後の「言った・言わない」を防ぎ、逆パワハラリスクも軽減)

SBIモデルを習慣化することで、必要な指導は行いやすくなります。「何も言えない」状態を放置することこそが管理職・組織にとってリスクです。
正当な指導をしたら『パワハラだ』と人事に訴えられた部下が業務指示を無視してSNSに悪口を書いている「逆パワハラ」とは、部下から上司への嫌がらせや、パワハラ防止法を逆手にとったハラスメントを指します。近年は「[…]
1on1で世代を超えた信頼関係を築く

1on1は「部下が話す場」として機能させる
1on1の最大の誤解は「管理職が指示・確認をする場」として使うことです。
正しくは「部下が本音を話せる場」として機能させることが目的です。
効果的な1on1の3ステップ
- 聴く(最初の10分)
「最近どうですか?」「困っていることはありますか?」と聴くことに徹することが大切です。評価・解釈せず受け取りましょう。 - 共感する(3分)
「そうなんですね」「それは大変でしたね」と事実として受け止めます。アドバイスは求められるまでしない姿勢を保ちましょう。 - フィードバック
SBIモデルで事実ベースのフィードバックを行います。次のアクションを一緒に決めると良いでしょう。

継続することで、Z世代は「この人(管理職)は自分を理解しようとしている」と感じ、信頼関係が生まれます。
各世代の特徴と効果的なアプローチ
世代間ギャップと上手に付き合っていくためには、各世代の特徴を踏まえた対応を心がける必要があります。
バブル・団塊世代との関係
「昔の常識を押しつける」ことが課題になりやすい世代ですが、豊富な経験・ネットワーク・業務知識はチームの財産です。「あなたの経験から教えてもらえますか」という形で貢献機会を作ることが、この世代の動機づけになります。
X世代・就職氷河期との関係
上と下の板挟みになりやすく、バーンアウトリスクが高い世代です。「感謝と承認」を意識的に表現することと、意思決定への参加機会を提供することが重要です。
Z世代との関係
「意味・目的・成長実感」を特に重視します。指示の際は必ず「なぜ」をセットで伝え、小さな成長・成果を積極的に承認することで主体性が生まれます。
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世代間ギャップ研修で管理職が変わる

価値観は簡単に変えられるものではなく、個人でできる世代間ギャップ対策には限界があります。エナジーソースの世代間ギャップ研修では、個人の取り組みを組織の仕組みへと転換できます。
研修プログラム概要〜組織の課題に合わせて選べる階層別プログラム〜
「世代間ギャップ研修」は、管理職だけでなく、若手社員も双方向で学ぶことで最大の効果を発揮します。
① 管理職・リーダー向け
部下の「個」を見抜き、自走させる関わり方を学ぶ
- アンコンシャス・バイアスの排除
- 部下の「認識スタイル」を推測する観察眼
- 心理的安全性を高める「リフレーミング」演習
② 若手・中堅社員向け
「世代のせい」にしない、自律型フォロワーシップを学ぶ
- 上司の背景(OS)を理解し、ギャップを埋める
- 自分の「行動特性(強み)」の言語化
- 上司を動かすための「逆ホウレンソウ」術
よくある質問(FAQ)
Q. Z世代に指導すると「パワハラだ」と言われる可能性が怖くて何も言えません。
A. SBIモデル(状況→行動→影響の順で事実に基づいて伝える)を使い、一対一で・行動のみに・記録を残すという3原則を守れば、正当な指導はパワハラになりません。「何も言えない」状態こそが管理職にとってリスクです。必要な指導は行いましょう。
Q. 世代間ギャップ研修はパワハラ研修と何が違いますか?
A. パワハラ研修は「してはいけないこと」を学ぶ研修です。世代間ギャップ研修は「なぜすれ違いが起きるのか」の根本原因を理解し、「どうすれば世代を超えてうまく指導できるのか」という実践スキルを習得する研修です。「ではどう指導すればいいのか」という管理職の疑問に答えるのが世代間ギャップ研修です。
Q. 1on1を導入したいのですが、部下が話してくれません。
A. 最初は沈黙が続くことが多いですが、それは「まだ安心して話せない」というサインです。管理職自身が先に少し弱みを見せる(「自分も若い頃はこういうことで悩んでいた」)と、部下が話しやすくなります。継続すると変化が出ることがほとんどです。

世代間の違いは、うまく活用すれば組織/チームの強みとなります。管理職は、それぞれの世代の特徴を学びながら、個々に合わせた対応をすることが求められています。
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まとめ
管理職が抱える世代間ギャップの悩みは、「世代の違いへの理解」と「コミュニケーション方法のアップデート」によって解決できます。
- 管理職のパワハラ経験率は全体平均19.3%を上回る
- 管理職が悩みやすい5場面
- 世代間ギャップ研修で組織全体の理解を深めることが大切
「違う世代を理解し、活かす」。まずはお互いに理解しようと歩み寄る心・姿勢がこれからの時代に必要となるはずです。
世代間ギャップ研修で組織を活性化させよう
エナジーソースでは、管理職が悩みやすい世代間ギャップの課題や部下との付き合い方、組織全体の心理的安全性とエンゲージメントを高める「世代間ギャップ研修」を提供しています。
オーダーメイドでプログラムを作成しますので、まずはお気軽にご相談ください。ご相談は無料です。
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