
会議の場になると、発言を続けて議論をリードする人材もいれば、最後まで静かに聞き役に徹する人材もいます。
管理職や人事担当者にとって、「会議での温度差」をどう扱うかは大きな悩みのひとつではないでしょうか。
弁護士ドットコムが2023年に実施した「社内会議白書2023」という調査によると、7割の会議が1時間を超え、9割近い参加者が「無駄な時間がある」と回答しています。
無駄な時間があるとほとんどの参加者が感じてしまう会議は、単に会議の進め方の問題にとどまらず、参加者それぞれの行動特性や思考スタイルに起因する面もあるのです。
本記事では、会議における参加者の行動特性や思考スタイルを整理し、組織の成果に直結する会議運営の工夫を紹介します。ぜひ最後までお読みくださいね。
発言スタイルの根本的な違い
まず注目したいのは「発言スタイルの違い」です。
積極的に発言する人材は、主体的に行動することでエネルギーを得る傾向があります。
思いついたことを口に出すことで思考を整理し、会議全体を活性化させます。
言い換えれば「考えながら話す」スタイルであり、発言そのものが頭のなかを整理する手段なのです。
積極的に発言する人材は、プロジェクトの立ち上げ期やアイデア出しの場面で強みを発揮しやすいでしょう。
一方、会議を静かに聞いている人材は、頭のなかで複数のシナリオを検討し、論理的な整合性を確認してから発言します。
「話す前に考える」スタイルであり、情報を咀嚼し、質の高い意見を提供することに長けています。
マーケティング戦略やリスク評価など、精度が重視される場面では大きな力を発揮してくれますよ。
積極的に発言する人材も、静かに会議を聞く人材も、いずれも価値ある貢献であるにもかかわらず、互いに理解が不足すると

「なぜ発言しないのか」

「なぜ一方的に話すのか」
などの不満にすり替わりがちです。
実際には「活性化役」と「まとめ役」のように、異なる役割を担っているにすぎません。
まずは積極的に発言する人材と会議を静観する人材の違いを理解することが、会議の質を高める第一歩となります。
世代間で異なる会議への価値観
次に注目すべきは、世代間ごとの会議への考え方や価値観の違いです。
ベテラン世代の多くは「会議は熟慮の場」という意識を持ち、十分な資料準備や慎重な議論を重視します。
合意形成を重んじ、「石橋を叩いて渡る」ような姿勢を見せる傾向があります。
一方で、若手は「会議はアイデア創出の場」と考える傾向が強く、スピード感や実験的なアプローチを重視する傾向があります。
幼い頃からテクノロジーが発達し、情報が迅速に共有される社会で育ってきたZ世代などは特に、スピードを重視する場合が多いのです。
会議への考え方の違いが顕在化すると、若手は

「慎重論ばかりで前に進まない」
と不満を抱いてしまい、一方でベテランには

「若手のリスクを顧みない無鉄砲さが心配」
と映ってしまうことがあります。
両者のすれ違いは、会議が停滞する大きな要因となりますね。
しかし、多様性を経営課題の中心に据える企業が増えている今、異なる世代のスタイルは「対立する価値観」ではなく「補完し合える視点」と捉えるべきなのではないでしょうか。
ベテランの慎重さと若手の行動力を組み合わせることで、会議の内容はより立体的になり、実効性も高まりますよ。
世代間ギャップとコミュニケーションについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご参考くださいね。
「近頃の若手は態度がラフすぎる。」「リモート会議は気持ちが伝わりづらい。」このようなお話を管理職層の皆様から伺うことがあります。多様な世代が共に働く現代の職場。団塊世代、X世代、ミレニアル世代(Y世代)、そしてZ世[…]
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全員が貢献できる会議運営術
異なる世代や価値観をそれぞれ活かし合うために、実際の会議では、ぜひ会議を3つのフェーズに分けて運営してみてください。
- 発散フェーズ
発言に積極的な人材に自由に意見を出してもらい、場を活性化させる。 - 整理フェーズ
会議を静観する人材に時間を与え、熟慮の結果を発言してもらう。 - 統合フェーズ
双方の意見を組み合わせ、具体的なアクションに落とし込む。
また、会議後のフォローアップも欠かさずに行いましょう。
慎重派のなかには、会議後に熟考を経て新たなアイデアを思いつく人材もいます。
24時間以内に追加意見を受け付ける仕組みを設ければ、会議が終わってからの「熟成された意見」を拾い上げることができ、議論は一層深まりますよ。
まとめ
会議で「黙る人」と「仕切る人」が生まれるのは、性格の問題ではなく、行動特性や思考スタイルの違いによるものです。
積極的に話す人材は場を活性化させ、静かに考える人材は論点を整理する。それぞれが異なる価値を提供しています。
世代間での会議観の違いも、対立ではなく多様な視点として活かすことが重要です。
・会議を3つのフェーズに分けて運営する
・会議後のフォローアップを欠かさず行う
ことで、全員が力を発揮できる会議に変えることができますよ。
人事担当者や経営幹部に求められるのは、人材の行動特性の違いや考え方・価値観の違いを「問題」ではなく「資産」として捉える視点です。
全員が価値ある貢献を行える環境を整えれば、会議は「時間の無駄」から「組織の成長を促す場」へと変わっていくでしょう。
エナジーソースでは、組織の成長を支援しています。
部下育成にお悩みの方や組織改善を目指している方は、どうぞお気軽にご相談くださいね。

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