新入社員を一人前に育てるという従来の「育成」から、「共に育つ=共育」へのシフトが求められる時代です。
組織の成長には、個々の社員がただ「教わる」だけではなく、先輩や上司と共に学び、お互いを高め合う必要があります。
この記事では、新人教育で欠かせない「共育」がもたらすメリットと導入上の注意点などを解説します。
共育の文化を根付かせることで、
・心理的安全性が確保できる
・社員同士の結束が強くなる
・新人の成長意欲が高まる
といったメリットが得られます。
社員全員が自らの役割を見出し、組織全体の成果を押し上げる力が得られるため、ぜひ最後までお読みください。
新人と共に学ぶ「共育」のメリットとは?
「きょういく」と言えば、多くの方が「教育」を思い浮かべます。しかし、これからの新人教育に必要なのは「共育」です。
そもそも「共育」とは何を意味するのでしょうか?
デジタル大辞泉では次のように説明されています。
共育とは
親・教師・学校など教育権を持つ主体だけでなく、多様な立場や領域の人や組織が連携して教育を担うこと、あるいは教育・養育・指導を行う側と受ける側がともに学び成長すること、などを意味する造語。
出典:小学館「デジタル大辞泉」
共育にはさまざまな利点があるため、エナジーソースでは新人と先輩が一緒に学び合う共育を重要視しているのです。
共育を取り入れると、以下のようなメリットを得られるでしょう。
組織への貢献意欲を高められる
新人は単なる「教えられる側」から「組織の一員として共に学ぶ存在」として認識されます。仲間として受け入れられることで、新人は積極的に組織に貢献しようとする意識が芽生えやすくなるでしょう。
自らも学び、周囲と支え合う場を得ることで、新人は「自己成長」だけでなく「組織貢献」も自然に意識するようになるのです。
周囲へ新たな気づきを与えてくれる
先輩や上司にとっても共育には大きなメリットがあります。
新人が持つ新鮮な視点や素朴な疑問は、日々の業務の中で「当たり前」と流しがちな物事への再考を促し、先輩や上司の成長のきっかけとなります。
これには、カナダの心理学者アルバート・バンデューラが提唱した「社会的学習理論」が関係しています。
社会的学習理論(Social Learning Theory)とは
人は実体験だけでなく、他者の行動の観察・模倣によっても学習するとした理論。モデリング理論とも呼ばれる。
参照:ResearchGate「Bandura’s Social Learning Theory & Social Cognitive Learning Theory」
共育により学び合う環境が整うと、新入社員のエンゲージメントが高まり、高いパフォーマンスを発揮できるようになります。そこから周囲の先輩や上司も刺激を受け、ハイパフォーマンスが引き出されやすくなるのです。
新人の疑問や提案は、先輩たちが見逃していた課題の発見につながる貴重な視点であり、組織全体が成長する土壌ともいえます。
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共育がもたらす心理的安全性とチームの絆
共育の文化が職場に浸透することで、自然と心理的安全性も高まります。
心理的安全性が高い職場では、新人が遠慮せずに質問や意見を出しやすくなり、先輩も安心してフィードバックができるようになります。
この安心感が、新人と先輩との信頼関係を深め、互いに学び合える環境を作り出すのです。
心理的安全性の高い職場では、チームとしての一体感も強まり、チームとしての自己効力感が育まれます。
アドラー心理学の「共同体感覚」に基づけば、社員は「チームの一員として貢献している」と感じたときに、内面的な安心感を得て成長意欲が高まります。
共同体感覚とは
家族・地域・職場などの中で「自分はその一員だ」「つながっている」という感覚のこと。アドラーは、共同体感覚を持つと人は幸せを感じ、その感覚は意識的に養なう必要があるとしている。
互いに学び、高め合う共育の環境では、失敗が糧となります。新人も先輩も互いに「自分が組織に貢献できている」と感じることができるため、組織へのエンゲージメントが自然と高まります。
心理的安全性の確保は新人教育において欠かせません。しかし、多くの企業が取り組み方を知らず、心理的安全性の向上に着手できていないのが実情です。
安心して学べる職場環境づくりに取り組みたい方はこちらの記事が参考になります。
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新人と先輩が共に成長するために必要な3つの要素
新人教育をしながら、先輩社員も共に成長できる環境を整えるのは容易ではありません。
共育を実現するためには、以下の3つの要素が必要です。
1.双方向のフィードバックを重視する
2.「教える側」も常に学び続ける姿勢を持つ
3.新人の成長を支援する実践的な場を提供する
大切なのは、新人だけでなく先輩社員も同じような気持ちで学び向上心を持つことです。組織が一丸となって成長するためにも、これから紹介する3つの要素を重視しましょう。
1.双方向のフィードバックを重視する
共育の基盤は、双方向のフィードバックです。
新人が自分の成長過程についてフィードバックを受けると同時に、先輩も新人からの意見や視点を受け入れる姿勢が大切です。
新人からの「こうすればもっと効率が良いのでは?」といった素朴な提案を前向きに受け止めることで、組織全体の改善にもつながります。
新人の提案があった場合は、先輩社員は素直に感謝を示しましょう。そうすることで、新人は「自分もチームに貢献している」と実感し、さらに意欲が高まります。
2.「教える側」も常に学び続ける姿勢を持つ
共育の場では、「教える側」が学び続けることが必要です。
先輩社員や上司が自己成長を止めない姿勢を示すことで、組織全体に学びの文化が広がります。
先輩の自己研鑽を怠らずに新人とともに成長する姿勢をみて、新人も成長意欲が湧くでしょう。
たとえば、指導者がBizプロ®マネジメント研修などでコミュニケーションやサポートのスキルを学び続けることで、共育の基盤がより強固になります。
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3.新人の成長を支援する実践的な場を提供する
新人が自分の成長を実感できるようにするには、実際の業務に参加し、成果を上げる経験が必要です。
エナジーソースの新入社員研修は、現場での実践と学びのバランスを大切にしており、新人が安心して挑戦できる場を提供します。
実際に業務に関わり、フィードバックを得ると、新人は成長を実感するでしょう。さらには、組織全体の成長にもつながります。
新人教育にあたって共育を進める際の注意点
新人教育と共育の実践では、焦らないことが重要です。
具体的には以下の3点に注意しましょう。
1.新人を「過剰に」頼りすぎない
2.共育の意識が「形だけ」に終わらないようにする
3.新人の成長スピードを急かさない
職場環境を整えるのは時間と手間、従業員の理解が必要です。特に、組織文化や風土に慣れていない新人の教育は丁寧に進めることをおすすめします。
1.新人を「過剰に」頼りすぎない
新人の意見を尊重するあまり、「新人が何でもできる」と過信するのは避けるべきです。
新しい視点を取り入れることは重要ですが、過度に依存すると新人がプレッシャーを感じ、チームとしての自己効力感や心理的安全性を失うおそれがあります。
共育の場においては、新人が提案しやすい環境を作る一方で、サポート役を欠かさないことが重要です。
2.共育の意識が「形だけ」に終わらないようにする
共育の環境を形だけ整えても、実際には一方向的な指導が行われているケースは少なくありません。
双方向のフィードバックが実際に行われているか、上司や先輩が自ら学び続ける姿勢を見せているかなど、共育の理念を形だけで終わらせず、実際の行動に落とし込むことが大切です。
実践を伴わない共育では、新人は「言うだけ・上辺だけ」と感じ、組織への不信感を抱きかねません。
3.新人の成長スピードを急かさない
共育には段階があります。新人育成においては、新人が自分のペースで成長できるよう見守ることが重要です。
成長を焦りすぎると、新人がプレッシャーに押しつぶされ、共育の目的が達成されなくなるでしょう。
新人が自らのペースで学びを深められる環境を提供するには、現実的に実現可能なレベルの目標を設定し、段階的に育成する必要があります。
たとえば、実践の場では少しずつ責任範囲を増やし、新人が確実に成長を感じられる段階的な指導を心がけましょう。
新人教育×共育がもたらす未来は明るい
共育を実践する組織では、新人もベテランも共に学び合い、成長を続ける関係が築かれます。その結果、組織全体の柔軟性や変化への対応力が向上し、どのような状況にも対応できる力が身につきます。
共育の考え方を通じて、新人と共に組織全体が成長し、次のステップに進むための基盤が築かれるのです。
新人と共に成長する強い組織を目指し、エナジーソースの「共育」アプローチを導入することで、組織全体が次のステージへと進むための基盤が整います。
共育の文化が根付いた職場では、チーム内の協力関係が深まり、新人も先輩も自分が成長している実感を得ながら、相乗効果で組織全体が強くなっていくでしょう。
いま、組織づくりにおいても「共育」という発想が、長期的な組織力の向上につながるのです。
この共育のアプローチで、組織の全員が共に学び、未来に向けて進化し続ける強い土台を築きましょう。
まとめ
新人と共に成長する組織づくりには、従来の「教育」から「共育」へのシフトが求められています。
共育の導入は、
・貢献意欲を高め新人のポテンシャルを引き上げられる
・新人の存在が先輩や上司へのポジティブな刺激になる
・心理的安全性が確立され組織全体が成長する
といった良い結果をもたらします。
焦らず着実に共育の文化を根付かせることで、新人も先輩も共に成長できる強い組織づくりが可能となります。
新人と企業全体が共に学び成長するため、ポイントを押さえながら焦らず丁寧に「共育」の文化を育みましょう。
エナジーソースでは、共育の考え方を取り入れた新入社員研修プログラムを提供しています。
社員全員で学び合い、成長し続ける組織づくりに、ぜひエナジーソースの研修をご活用ください。
「共育の導入で、新人が積極的に意見を出すようになり、先輩社員の意識も変わったのを実感します。一緒に成長しようという意識が根付いたので、以前よりも会話や議論が増えました!」
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