「叱る」ことを恐れる管理職の皆さまへ—効果的な叱り方で部下を育てる3つのポイント

昨今、職場での「叱る」という行為が難しくなってきたと感じる管理職の方も多いのではないでしょうか。
メンバーがミスをしたり、改善の余地が見えるとき、上司としての役割を果たしたい一方で、「パワハラ」への懸念から言葉を飲み込んでしまう場面が少なくないようです。
特に人事担当者や経営幹部の皆さまからは、「叱ることを恐れるあまり、管理職が注意を避ける傾向がある」という声も多く耳にします。

しかし、ミスの指摘や行動の改善は、組織の成長には欠かせません
効果的に叱るための方法を知り、正しく実践することで、パワハラを避けつつも、部下の成長をサポートできるのです。
今回は、管理職の方々に「効果的に叱るための3つのポイント」についてお伝えしたます。
具体的には、「事実」「影響」「感情」の3つの要素をセットにして伝えることが鍵となります。

1.事実を伝える——感情に流されず、具体的な指摘を行う

まず、「事実を伝える」ことの重要性です。
ミスを指摘するとき、感情的に叱るとどうしても部下が萎縮し、指摘の意図を十分に理解できません。
「また同じミスをしているじゃないか。いい加減気をつけたらどう?」といった表現は、部下が何に対して改善を求められているのかを分かりづらくします。
この言い方は、言われた本人も思わず反発心が湧き、自己防衛的になりかねません。
これでは改善の効果が薄れてしまいます。

ここでおすすめするのが「事実を伝える」ことです。
例えば、

「この資料、同じようなミスが3回繰り返されていますね」

といった具体的な事実を淡々と伝えることで、何が問題で、何を改善すべきかが明確になります
ここで大切なのは、「事実の指摘」に徹することです。
個人の性格や能力に言及せず、具体的な行動や出来事に焦点を当てることで、パワハラと受け取られにくくなります。
心理学では「行動指摘型フィードバック」として知られ、評価対象を「人」ではなく「行動」に絞ることにより、相手の自己防衛を防ぎつつ、行動の改善を促す効果があるとされています。

2.影響を伝える——行動がもたらす結果を理解させる

次に、「影響を伝える」ことが重要です。
人は往々にして、自分の行動が周囲にどのような影響を及ぼしているかを認識していないことが多いものです。
ミスを指摘する際には、その行動が組織やチームにどのような影響を及ぼすのかを具体的に説明することが有効です。

例えば、

「このミスによって予定よりも多くの時間がかかり、他のメンバーにも負担がかかっているんです。また、これが原因で誤解が生じるリスクもありますね」

といった形で、部下の行動がチーム全体に及ぼす影響を伝えます。
「影響」に触れることで、部下は自身の行動がどのように他者に影響しているのかを理解し、改善の動機が強まります
学術的には「因果関係の認識」と呼ばれ、自分の行動が組織全体にどのように影響するかを認識することで、責任感が生まれ、行動の変容が促されると言われています。
この指摘を受けた部下は、自分が重要な役割を担っていると感じ、改善に前向きに取り組む姿勢を持ちやすくなりますよ。

3.感情を添える——率直な感情を共有し信頼関係を築く

最後に、「感情を添える」ことも大切です。
事実と影響だけでなく、上司としての率直な感情を伝えることで、部下との距離を縮め、信頼関係を築きやすくなります
ただし、感情を伝える際には、怒りや不満だけを一方的に伝えるのではなく、「正直な気持ち」を述べるようにしましょう。
例えば、

「このようなミスが続くと、君に仕事を任せて良いかどうか、不安があるんだ」

といった形で、上司としての心情を率直に伝えるのです。
ここで「怒り」ではなく「不安」や「期待」を交えることで、部下に対しても共感が生まれ、より真剣に改善へ取り組む意欲を高められます
心理学的には、こうした感情表現によるフィードバックは「感情の共有理論」に基づくものであり、上司と部下の関係性を強化し、職場における信頼関係の深化に寄与するとされています。

日常での「叱る」ことに対する不安を解消するために

実際の職場では、部下がミスをした際に「またやったのか!」「いい加減にしてくれ!」とつい感情的に叱ってしまう場面も少なくないですよね。
しかし、「事実・影響・感情」の3点セットを意識することで、上司としてのフィードバックがより建設的かつ効果的なものに変わり、部下の行動変容も促しやすくなりますよ。

管理職層の方より、「部下に少しでも強い口調で指摘すると、すぐにパワハラだと言われるのではないかと心配になる」、「同じミスを何度も繰り返す部下に、どう言えばわかってもらえるのか」という悩みを抱えていらっしゃるとよく伺います。
この不安に当たった際も、「事実・影響・感情」をセットで伝えるという3つのポイントが、日常業務でよくある「叱ることへの不安」の解消へとつながります。

こうした具体的な手法を身につけることで、「叱る」ことが必ずしもパワハラに繋がるわけではなく、むしろ効果的な成長支援につながることを再確認していただくきっかけとなれば幸いです

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