嘘の報告をする部下。部下の心理的安全性を高めるには

「部下が嘘の報告をする」という課題は、多くの管理職が直面する悩みの一つではないでしょうか。
嘘をつかれると、上司としての信頼を損ねるだけでなく、組織全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
しかし、この問題を「問い詰める」だけで解決しようとするのは逆効果です。
むしろ、部下が正直に話せる環境を作ることが、長期的な成果につながるといえます。
すぐに実践できる具体的な方法を紹介します。ぜひ最後までお読みください。

上司の「失敗談」が部下の心を開く

嘘の報告に対処するには、部下の「自ら心を開く」環境を整えることが重要です。
心理学的な視点からも、これは理にかなっています。
たとえば、アドラー心理学では「共同体感覚」を重視し、信頼や共感が築かれた環境こそが個人の行動を改善すると指摘しています。
この理論に基づくと、上司がまず自らの失敗をさらけ出すことが、部下にとっての安心感や共感を生む出発点となるのです。
具体例として、ある上司が過去の自身の失敗談を部下に語る場面を考えてみてください。

上司

「昔、私も上司に報告しなかったことで大きなトラブルを招いたことがあるんだ。そのときは周りにも迷惑をかけて、本当に反省した。でも、その失敗をきっかけに成長できたと思っている。」

このように、上司が自分の弱さや失敗をオープンに語ることで、部下は

部下

「この人には正直に話しても大丈夫だ。」

と感じられるようになります。
結果として、部下が「実は…」と本音や失敗を話し始める可能性が高まりますよ。

部下の心理的安全性を確保する

「嘘をつく部下を問い詰めて真実を引き出す」という手法は、短期的には効果があるように見えるかもしれません。
しかし、この手法には大きなリスクがあります。
問い詰められることによるストレスや恐怖感は、部下の自己防衛本能を強化し、ますます本音を隠そうとする傾向を生むのです。

心理的安全性(PsychologicalSafety)という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。
心理的安全性とは、「どんな意見を言っても罰せられない」と感じる職場環境を作ることを指し、心理的安全性の高いチームは生産性や創造性が高いといわれています。
部下の心理的安全性を確保するには、上司が威圧的な態度を改め、誠実に耳を傾ける姿勢を示す必要があります。

部下の心理的安全性を高めるための具体的なアプローチ

では、具体的にどのようなアクションが心理的安全性を高め、信頼関係構築につながるのでしょうか?
上司が日常業務で取り組める3つのポイントを詳しく解説します。

日常的なコミュニケーションを強化する

部下との信頼関係を築くには、報告の場だけでなく、日常的な会話の積み重ねが不可欠です。
業務の進捗確認だけではなく、プライベートな話題や趣味、最近の出来事など、仕事以外の話も含めた柔らかなコミュニケーションを心がけましょう。
また、部下の表情や態度の変化に敏感になり、普段と違う様子があればすぐに声をかけると、細やかな気遣いが信頼を深めるきっかけになります。

失敗を共有する文化を作る

失敗を隠そうとする背景には、「ミスを報告すると怒られる」「評価が下がる」という恐れが潜んでいます。
こうした恐れを取り除くには、失敗を共有し、それを糧にする文化をチーム全体で育むことが必要です。
定期的に「今週の失敗談」を共有するミーティングを設けたり、失敗から得られた教訓を振り返る場を作るのも効果的です。
上司自身が率先して「自分もこんな失敗をした」とオープンに語ることで、部下に「失敗を報告しても責められない」と感じてもらうことができます。
このプロセスを繰り返すことで、ミスを恐れない安心感が徐々に組織内に浸透していきます。

感謝の意を伝える

部下がどのような報告をしてきたとしても、最初に「報告してくれてありがとう」という感謝の言葉を伝えることを習慣化しましょう。
この一言があるかないかで、部下が次に報告をする際の心理的ハードルが大きく変わります。
感謝の言葉を伝える際には具体的に何が助かったのか、何が良かったのかを付け加えるとより効果的ですよ。
たとえば、「忙しい中、報告してくれて助かったよ」「正直に教えてくれたことで、早く問題に対処できるね」など、部下が自分の行動が評価されていると実感できる表現を意識しましょう。
部下自身が報告することの価値を感じられるようになるので、おすすめです。

まとめ:上司が先に心を開くことで部下の心理的安全性を高めよう

嘘の報告を防ぐには、部下が「この上司には本音を話しても大丈夫だ」と思える環境を作ることが最も重要です。
そのためには、上司自身が失敗をさらけ出す姿勢を見せ、信頼を築くことが不可欠です。
信頼関係を築いた先に、部下の心理的安全性が確保されますよ。

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