

「せっかく褒めたのに部下がそっけない」
部下の成果に対して前向きな言葉をかけたにもかかわらず、反応が薄く、かえって距離を感じてしまう。
善意で行ったはずの声かけが、期待した効果を生まない場面は、決して珍しくありません。
人事担当者や経営幹部の立場であれば、評価面談や日常のコミュニケーションに難しさを感じることもあるでしょう。
本記事では、
・「褒める」と「承認する」の違い
・部下の成長と定着につなげる承認の考え方
を紹介します。
適切な承認の技術を身につけることで、部下の成功を再現可能な力へ変え、組織全体の定着率やパフォーマンス向上に近づきますよ。
ぜひ最後までお読みくださいね。
なぜ褒めても部下のやる気につながらないのか
成果を出した部下に対し、

「良かったよ」
「すごかったね」
と声をかけても、本人が素直に受け取れない場合があります。
部下が褒め言葉を素直に受け取れない背景には、

「次も同じ成果を出せるだろうか」
「期待に応え続けなければならない」
といった不安など、心理的な負担が潜んでいるケースが多いのです。
心理学では、モチベーションは価値・期待・信頼の掛け合わせで高まるとされています。
期待理論:
モチベーションは「誘意性(価値)・道具性(結果への信頼)・期待(自分の能力に対する信頼)」の掛け算であらわすことができる
褒め言葉によって期待だけが過度に高まると、かえって不安が先立ち、行動が慎重になることもあります。
日本では、謙虚さを重んじる文化や、周囲の評価を気にする傾向が強いため、褒め言葉をプレッシャーとして受け取りやすい側面もあるのです。
「承認」の本質とは
多くの管理職が誤解しやすい点として、「褒めること」と「承認すること」を同じものとして扱ってしまっている点があります。
褒める行為は、結果や行動を評価する側面が強く、上下関係を意識させやすい特徴があります。
一方で、承認とは、成果の大小に関わらず、本人の努力や工夫、存在価値を認めるコミュニケーションです。
承認が機能すると、部下は

「自分の仕事には意味がある!」
と感じやすくなり、安心して次の挑戦に向かうことができますよ。
ただし、結果だけを称賛すると、偶然の成功ではないかという疑念が残り、再現性への不安が高まってしまう場合があります。
承認では、成果に至るプロセスや工夫に焦点を当てることが重要です。
成功を再現可能にする承認の3ステップ
承認を成長につなげるために有効な3つのステップを紹介します。
STEP1:事実を具体的に伝える

「このプレゼン資料、章立てがわかりやすいですね。」
「データの整理が論理的ですね。」
といった、事実の整理をし、客観的に確認できる行動を言語化してみてください。
STEP2:Iメッセージで影響を伝える

「説明のおかげで意思決定がスムーズになりました。」
など、STEP1であげた事実が自身にとってどのようなプラスの影響があったかを示してください。
STEP3:成功要因を本人に考えてもらう

「なぜうまくいったと思いますか?」
「その方法は次回も使えそうな方法ですね!」
と話を進めていくことで、成功を偶然ではなく、再現可能な工夫として整理できます。
ポイント
・褒めるのではなく事実とその影響を伝える
・なぜうまくいったか本人に言語化させる
・繰り返せる要素を一緒に特定する
仕事の価値観に応じて承認を使い分ける
仕事における価値観には個性があり、仕事への承認の「響くポイント」は、人材によって異なります。
3つの大きな傾向を紹介します。
影響力や責任を重視する傾向
組織や判断への影響を認める言葉が動機づけにつながりやすいタイプです。

「あなたの判断で部門の方向性が決まりました。」
と影響を与えていることを伝えるとやる気が高まりやすい傾向にあります。
関係性や仲間意識を重視する傾向
チームへの貢献や周囲からの信頼を伝える言葉が力になりやすいタイプです。

「君の気配りがチームの雰囲気をいい方向に導いてくれています。」
「●●さんがあなたのことを褒めていました。」
など、他の人材とのつながりを意識できる言葉を伝えてみてください。
成果や目標達成を重視する傾向
具体的な成果との結びつきを示すことで、納得感が高まりやすいタイプです。

「あなたのこの取り組みのおかげで、目標達成につながりました。」
と、貢献度を具体的に説明してみてください。
部下の日常の言動を観察し、部下が何に喜びを感じているかを見極めたうえで、承認の言葉を選ぶことを、ぜひ意識してみてくださいね。
ポイント
・部下の仕事における価値観をしっかり観察して見極める
・価値観に応じて承認の言葉を変える
・相手が大事にしていることを承認する
人材一人ひとりの傾向(認識スタイル)については、ぜひこちらをご参照ください。
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まとめ|承認は部下の成功を再現可能にする技術
褒め言葉が響かない背景には、期待のかけ方や承認の視点にズレが生じている可能性があります。
・承認の本質はできている点を広げ、成功を再現可能な力へと変えること
・相手の仕事価値観に応じた承認の使い分けを実践する
ことで、部下の安心感と成長意欲は高まりやすくなりますよ。次回の1on1や評価面談では、成果の評価に加えて、努力や工夫を言語化する承認を試してみてくださいね。
承認の質が変わることで、部下の表情や行動に少しずつ変化が現れ、組織全体の定着率やパフォーマンス向上にもつながっていきますよ。