
仕事で失敗したり、少し厳しくされたりすると落ち込む部下
それも、かなり落ち込んでその感情を引きずる部下にはどう接したらいいですか?
こんな相談をよくいただきます。
上司からすると
「失敗から学ぼうよ」
「少し言われたくらいでへこたれるなよ」などと言った感情が生まれてしまうこともあるのではないでしょうか。
リフレーミングという技法を用いて、部下や社員が落ち込んでしまいマイナス感情からなかなか抜け出せないといった状況、つまり「ドツボ」から脱却する方法を解説します。
リフレーミングを使いこなせるようになると
・相手に共感でき、関係性が良くなる
・不得意を捉え直し、自分に自信がもてる
・不平不満を喜びの感情に変え、モチベーションが上がる
ことが可能になりますよ。ぜひ最後までお読みください。
リフレーミングとは
おそらく心理学を学んだことのある方であれば聞いたことがある「リフレーミング」という技法。言い換えると、枠組みを変えて捉え方を変えるということです。
リフレーミングをうまく使いこなせば、マイナスに囚われることから逃れることができたり、望む状態を手に入れることができたりします。
リフレーミングの身近な活用例
「枠組みを変える」といわれてもピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
でも、実は気付かぬうちに活用していたという方もいらっしゃるようなとても身近で活用しやすい技法ですよ。
例えば、体調不良で1週間ほど仕事を休まないといけなくなったとしたら、あなたは真っ先に何を思いますか?
「あぁ、最悪…!!大事な時期なのに仕事に遅れが生じてしまう。」と思ってしまうかもしれません。
でも、これを
「身体が悲鳴をあげていて、倒れる前に休め、というサインだ。」という捉え方をするとどうでしょうか。
また、以下のようなケースではどうでしょうか?
他のやり方もあるよ、とアドバイスをしても、決まった通りのやり方でしかやらない人に対して、
「あぁ!もぉー!」となるのではなく、
「この人、手順通りの仕事は得意なんだなぁ。」と捉え、この人には順を追って仕事の流れをきちんと伝えることで、意欲高く取り組んでもらえるようになった、などのケースです。
ポジティブシンキングとの違い
「リフレーミングはポジティブシンキングのことですよね」と言われることがありますが、違います。
ポジティブシンキングは、単に前向きに・積極的に物事をとらえる態度を指す一方で、リフレーミングは枠組みを切り替えて、捉え方を変える技法です。
ポジティブシンキングはある意味でシンプルなので、日頃から使いこなせている方や、性格や気質として常にポジティブシンキングが実践できている方も多くいらっしゃいます。
リフレーミングを日常で使いこなすには、物事の枠組みを変える意識をする必要があります。
リフレーミングの種類

リフレーミングには大きく「状況リフレーミング」と「内容リフレーミング」の二種類があります。
必要に応じて都合の良い方を選択して活用してみてください。
状況リフレーミング
状況リフレーミングとは、ものごとや人材などが置かれる状況や背景の枠組みを切り替えることをいいます。
例えば、新しいプロジェクトを立ち上げるとき、問題点ばかり指摘してくる人がチームにいたとします。
「それはわかるけど、やってみないとわかない……」といった発言や、
「ここは違いますよね」などと言われ、必要以上に粗探しばかりされているように感じてしまい、やりづらさを抱くことがあるかもしれません。
しかし、この方は保守点検やトラブルシューティングが必要なシチュエーションにおいては非常に重宝する行動特性を持っている方だともいえます。
上手くできていない箇所や、問題点を抽出することに貢献してくれるので、そういう仕事を与えるのも一つですね。
プロジェクトメンバーに問題点を指摘する人があまりいないという場合は、あえてこういった方に参加してもらうというのも良いのではないでしょうか。
現状のメンバーでは盲点となっているところを見つけてくれるかもしれないからです。
このように、人材の行動特性を把握し適切な仕事を与える=枠組みを変えることで、当人だけでなくチーム全体のモチベーション低下を防ぎ、より良い結果を仕事で導き出すことができるのです。
内容リフレーミング
内容リフレーミングとは、ものごとの意味を多角的に考える方法で、出来事の意味や解釈に対しての感情やその感情の枠組みを切り替えることをいいます。
同じものごとでもその意味や解釈を切り替えるという点で、意味のリフレーミングと呼ばれることもあります。
例えば、ある人材が会議で発言しないという出来事で考えてみましょう。
もしかしたらその人は
「自分が発言することで言い合いをしたくない」と感じているかもしれません。
だとすると「和を重んじる」や「協調性がある」人だという捉え方もできますよね。
次に、ある人材がいつも自分で決断できないという出来事ではどうでしょうか。
これを「自分の考えを押し通さず、いろんな視点を探しているのかな?」と考えることができたとしたら、「他人の意見を尊重できる」や「広い視野を持っている」人だという捉え方もできます。
このように、起きた出来事に関しての意味や感情を切り替えることで、マイナスの囚われから逃れ、落ち着いた感情を手に入れられるのです。
リフレーミングを日常で使いこなす方法

リフレーミングについて理解しても、日常ですぐに使いこなすのはなかなか難しいものです。それは意識して物事の枠組みを捉え直すことは容易ではないからです。
ここからはリフレーミングを日常で活用するための練習方法を2つご紹介します。
リフレーミング日報をつける
リフレーミング日報とは、1日の仕事を終えてからその日あった出来事をリフレーミングしていく記録のことです。
自分の中であまり処理できなかったことを中心に書いていき、それを一つずつ、丁寧にリフレーミングしていくのです。
・片方のページにあった嫌な出来事、処理できなかった出来事
・もう片方のページに状況リフレーミングや内容リフレーミング
を書いていきましょう。
意識して枠組みを変えることは簡単ではないので最初は時間がかかるものですが、まずは一つずつ挑戦していきましょう。
マジックフレーズを唱える
マジックフレーズ「それは丁度いい!」を意識的に使ってみるのが第二の練習方法です。
何か嫌なことや、自分では処理しにくいできごとと出会ったら、「それは丁度いい!」と心の中で唱えるのです。すると不思議と、その答え=ちょうどいい理由を自分の中で考え始めるのです。
「あぁ…、クレームだ!」と思った時に
「それは丁度いい!」と唱えてみてください。
不思議と「何故ちょうどいいのか?この機会にお客様の要望をちゃんと把握しよう、ということ?」といったようにその答えを考え始めるのです。
意識して「それは丁度いい!」と唱えることで、既存の枠組みを変える練習になりますよ。
リフレーミングを使いこなすにはどれくらい練習が必要?
落ち込むときやうまくいかないときは、日常のふとした瞬間に訪れるものです。
リフレーミングを意識せずとも行えるようになるまで、どれくら練習が必要なのでしょうか。
答えは「コツコツと継続し、意識しなくても無意識的にできるようになるまで」ではないでしょうか。
人が変わるのには「衝撃」と「継続」の2つのきっかけあるといわれています。
「衝撃」は欲するときにいつでも起こせるわけではない一方、「継続」は誰にでもできます。
上記の二つの練習法を毎日続けてみてください。確実にあなたの力になりますよ。
まとめ
状況リフレーミングと内容リフレーミングを適切に活用すれば、不得意や不満をプラスに捉え直すことができることをご紹介してきました。
リフレーミングを日常で使いこなす練習として
・リフレーミング日報
・マジックフレーズの活用
も紹介しました。ぜひ、日常ですぐに使えるよう、練習を継続してみてくださいね。
リフレーミングをうまく使いこなせば、部下や組織への不満を共感にかえ、職場の関係性をよりよくすることができます。 |
自己啓発や人材育成・部下との関係性についてだけでなく、業務改善や商品開発、経営戦略などの場面でも応用してみてください。