リモートワークが顕在化させる世代間ギャップ|課題と解決策を解説

リモートワークが当たり前となりつつある現在、多様な世代が共に働く職場において、新たな課題ともいえる世代間ギャップ。
世代間ギャップを放置してしまうと、従業員エンゲージメントの低下チームの一体感の欠如といった問題が組織全体に広がる可能性があります。
本記事では、リモートワーク環境が顕在化させる世代間ギャップの課題を掘り下げ、解消するための方法を具体的にご紹介します。
世代間ギャップを解消することで

・従業員エンゲージメントの向上
・チームとしての自己肯定感の向上

が期待できますよ。最後までお読みいただき、組織の改善にお役立てください。

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リモートワークが世代間ギャップを顕在化させる理由

リモートワークとは、テレワークとほぼ同義の意味で使われている言葉で、オフィスに出向くことなく、自宅やコワーキングスペースなど、別の場所で業務を行う形態をいいます。
総務省の定義では次のように説明されています。

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。

総務省|テレワークの推進

メリットの多いリモートワークですが、世代間ギャップを顕在化させ、職場のコミュニケーションに悪影響をもたらしてしまうケースもあります。
ここではリモートワークが世代間ギャップを顕在化させてしまう理由を解説します。

世代ごとの価値観の違いが明確化する

コミュニケーションの絶対量が少なくなりがちなリモートワーク環境では、もともと持っている価値観の違いが、働き方や日常の会話など、端々に現れやすいといえます。
その上、違いを解消するためのコミュニケーションも取りづらいという悪循環が起きてしまうのです。
まずは、各世代のリモートワークに対する意識や適応の仕方を解説します。

団塊世代(1946-1964年頃の生まれ)

FAXが登場するより前から、社会で働いていた方も多い団塊世代。
この世代は対面でのコミュニケーションや、オフィス文化を重視する傾向があります。
さらに、メールやチャットより形式的な文書や電話での伝達を好む方も多いのが特徴です。

X世代(1965-1980年頃の生まれ)

柔軟な働き方を求める一方で、特に人間関係の構築を重視する傾向のある方が多い世代です。
彼らはリモートワークの自由度を理解しつつ、成果評価やチームの連帯感に対する懸念を抱くことがあります。

ミレニアル世代(Y世代)(1981-1996年頃の生まれ)

デジタルツールに慣れているミレニアル世代は、リモートワークに馴染みやすく、場所に縛られない働き方を好む傾向があります。
成果や柔軟性を重視し、効率的なツールの活用に積極的です。

Z世代(1997年頃以降生まれ)

デジタルネイティブであるZ世代。
リモートワークを自然に受け入れますが、人間関係を重視し、職場でのつながりやフィードバックを求めることも多いです。

各世代の特徴についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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コミュニケーションが希薄になってしまう

リモートワーク環境では、オフィスなどに直接集まる機会が少ないためコミュニケーションが希薄化してしまい、心理的安全性が低下しやすいといわれています。

心理的安全性
チーム内で意見を述べたり、ミスを認めたりしても非難されないと感じられる状態

心理的安全性が欠けると、特に若手や新しいメンバーは、積極的に発言することをためらってしまう場合があります。

また、リモートワークの環境下では、上司や同僚と直接会う機会が少なくなることで、誤解や不信感が生じやすくなり、チームの連帯感が弱まることもあります。
その結果、孤立感や疎外感が増してしまい、従業員エンゲージメントの低下業務への意欲喪失につながるリスクもはらんでいるのです。
雑談や、直接の会話の中でなら発言しやすいことも、チャットなどで文字にすることはためらわれることなどは、皆さんにもご想像いただきやすいでしょう。

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世代間ギャップがもたらす課題

リモートワークの環境下に限らず、世代間の価値観のギャップはコミュニケーションや業務の進め方に影響を与えることがあります。
これらのギャップが放置されると、職場での生産性やチームの一体感が低下するリスクが高まります。
ここでは、世代間ギャップがもたらす課題の中でも、特にリモートワークの環境下で影響の強い3点をを解説します。

コミュニケーションのズレ

異なる世代間では、好むコミュニケーションスタイルが大きく異なります
例えば、団塊世代やX世代の多くは、電話やひな形の決まった文書などの形式的で時間をかけたコミュニケーションを好む傾向があります。
一方で、ミレニアル世代やZ世代は、チャットを活用し、短く効率的なやり取りを重視します。
オフィスでのコミュニケーションであれば、会話に次々に新しいメンバーが加わったり、誤解があっても明るく訂正したりできますが、リモートワークではそのようにいかない場合も多くありますよね。
リモートワーク環境では、好むコミュニケーションスタイルのギャップが、特に顕著になってしまうのです。

若手

「チャットで連絡すればいいのに、なんでわざわざ電話しなければならないのか……。」

また、リモート環境では、たとえビデオ会議であったとしても感情が伝わりづらく、会議の空気が悪くなってしまったり、誤解を招いてしまったりすることもあります。

世代間ギャップとコミュニケーションについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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好む働き方の違い

世代ごとに働き方に対する価値観や期待も大きく異なります
ベテランの多くは、「仕事は職場で行うもの」という固定観念が根強い場合があり、オフィスでの働き方を好む傾向があります。
対面でのやり取りやリアルな環境での進捗管理も重視するため、リモートワークに対して懐疑的になることもあります。
一方で、ミレニアル世代やZ世代は、リモートワークに対する柔軟性を歓迎し、場所や時間に縛られずに働けることを重視する傾向があります。
仕事の成果を評価の基準とする考えが強く、「出社すること自体にはあまり価値を感じない」と考える傾向があります。
リモートワークに対する考え方の違いから、

上司

「職場で対面で話した方が、仕事が楽に進められるのに。どうして若手はリモートワークにこだわるのか。」

といった不満が引き起こされる場合もあります。

ツールの習熟度のギャップ

リモートワークでは、ビデオ会議やプロジェクト管理ツールなどのデジタルツールの利用が不可欠です。
しかし、世代によってツールに対する習熟度や適応のスピードが異なります
若い世代は、新しいツールを直感的に操作できる場合が多いですが、ベテランの世代ほど慣れるまでに時間を要することがあるのは、皆さんにもご想像いただきやすいでしょう。
たとえば、ミレニアル世代やZ世代は、オンラインでのファイル共有に慣れていることが多いですが、ベテランの世代はメールに添付して欲しいと思うケースが多いようです。
このようなギャップは、タスクの進行速度や情報の共有効率に影響を与える可能性があります。
ツールの使い方やリテラシーについては、悪意がなくとも自分の常識を当たり前のように他者に押しつけてしまうケースも多いので、上司は注意していく必要があります。

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世代間ギャップを埋めるための取り組み

世代間ギャップを生かし合うためには、各世代の特性を理解し、それに応じた取り組みを行うことが重要です。
ここでは、職場のコミュニケーションや雰囲気作りの観点と、従業員教育の観点から解説をします。

共通のコミュニケーション基盤を築く

リモートワーク環境では、組織全体で共通のツールやルールを定め、共通のコミュニケーション基盤を構築することが重要です。
例えば、チャットとメールの使い分けを標準化し、それぞれの使用目的やそこでの表現の方法を明確にすることで、混乱を防ぎやすくなりますよ。
さらに、フィードバックの方法やリアクションまで、あらかじめルールを明文化しておくと、後のトラブルが減りやすいです。

・このチャットルームでは、報告のみを送信し、確認したメンバーはグッドボタンで既読を通知する。

といったルールは、実際に企業で運用されています。

また、ビデオ会議を開催する際は、あらかじめリアクションの方法を共有しておくことも大切です。

・「このビデオ会議では、いいと思ったら拍手をしましょう。同意する際は、グッドサインとともに、その意思を発言しましょう。それでは練習してみましょう。」

などと、ビデオ会議の最初に共有するだけでなく、実際に練習してみるのがおすすめですよ。

心理的安全性を高める環境をつくる

心理的安全性とは、チーム内で失敗を恐れずに意見を述べたり、新しいアイデアを提案したりできる状態を指します。
心理的安全性を高めるためには、上司が率先してオープンなコミュニケーションを実践するだけでなく、定期的な1on1ミーティングなどの機会を設けることが大切です。
部下が抱える課題や不安を共有しやすい場を提供しましょう。
このような対話を重ねることで、従業員が「自分の意見が尊重されている」と感じやすくなりますよ。

また、リモートワークでは、顔が見えない状況が続くため、特に若手社員が孤立感を抱きやすい傾向があります。
これを防ぐには、チーム全体でカジュアルな交流を意図的に行うことが効果的ですよ。
例えば、仕事の進捗確認だけでなく、雑談や非公式な会話の場を設けることで、心理的な壁を取り除くことができます。
オンライン開催だと話しづらさを感じる方がいらっしゃるようですが、ブレイクアウトルームなどを利用し、工夫していきましょう。
その中で、ぜひ上司から積極的に過去に自分が犯した失敗やリカバリーの方法を共有していきましょう。
失敗は責められるものではなく、次の成功に向けた学びなのだと、若手に知ってもらうことも、心理的安全性を高める重要な要素です。

トレーニングや研修を実施する

リモートワーク環境下での世代間ギャップの解消には、全世代の従業員がツールを使うのに必要なスキルを均一に持つことが重要です。
そのために、スキルのトレーニングの場を設けることは非常に効果的です。
リモートワーク環境ではテクノロジーの活用が不可欠ですが、特にベテランにとっては新しいツールへの適応が課題となることがあります。
例えば、若手がベテランにオンライン会議のツールやプロジェクト管理のツールの基本的な使い方をわかりやすく教えるワークショップを開催することがおすすめです。
若手とベテランの双方が心を開きやすい機会となりますよ。

さらに、世代間の相互理解を深めるための研修も効果的です。
お互いの働き方や価値観を共有する場を設けることで、誤解や偏見を減らし、協力しやすい環境を作ることができます。
こうした取り組みは、組織全体のスキルギャップを埋めるだけでなく、信頼関係の構築にもつながりますよ。
エナジーソースが提供する世代間ギャップ研修については、こちらのページをご覧ください。

世代間ギャップ研修

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まとめ

リモートワークの導入は、働き方や価値観の違いがより明確になることで世代間ギャップが顕在化しやすい一方、従業員相互の信頼醸成の機会でもあります。

・共通のコミュニケーション基盤の構築
・心理的安全性を高める取り組み
・トレーニングや研修の実施

などは、世代間の違いを調和させ、組織全体の成長を変える鍵となるでしょう。

世代ごとの強みを尊重しつつ、共通の目標に向けて力を合わせることは、チームとしての自己効力感の向上させるだけでなく、従業員エンゲージメントのアップにもつながります。

ぜひ、できることから世代間ギャップの解消に着手してみてください。

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