
組織やチームで課題に取り組むとき、どこに注目するかによって解決策の導き方が大きく変わってきます。
「原因追求」よりも「解決に役立つリソースや成功事例」を探ることで、短期間で成果を引き出す解決法が「ソリューションフォーカストアプローチ」です。
本記事では、ソリューションフォーカストアプローチの定義や注目される背景、導入のメリットを解説します。
ソリューションフォーカストアプローチの定義と注目される背景
ソリューションフォーカストアプローチは、もともと心理療法として確立された問題解決方法の一つです。
現在は主にコーチングや組織改善などの分野で活用されることが多くなっています。
ソリューションフォーカストアプローチの定義
ソリューションフォーカストアプローチ(Solution Focused Approach)とは
過去の成功や資源に目を向け、短期間で解決策を見いだす問題解決方法
つまり、問題の原因や分析に重きを置くよりも、すでに存在している成功のパターンやリソースに注目し、そこから解決策を組み立てる手法です。
「なぜ失敗したのか」を深く追究するのではなく、「うまくいったときには何が要因だったのか」、「すでにある強みをどう活かせるか」を考えることで、前向きな方法を導き出すことができるのです。
ソリューションフォーカストアプローチが注目を集める背景
激しい競争環境や時代の変化に対応するため、組織やチームは迅速かつ柔軟な問題解決が求められています。
一方で、「問題の原因」を徹底的に洗い出そうとすると、時間や労力がかかりすぎる場合もあります。
限られたリソースや時間のなかで、ポジティブに課題へアプローチできるソリューションフォーカストアプローチが、実務の場で評価されてきているのです。
ソリューションフォーカストアプローチを導入するメリット
ソリューションフォーカストアプローチを導入するメリットを企業側・従業員側のそれぞれから解説します。
企業にとってのメリット
- 短期間で成果につなげやすい
過去の成功事例や強みに着目して進めるため、効率的に行動計画を立案しやすくなります。 - チームのモチベーション向上
問題点ではなく、成功やできる部分に注目することで、前向きな雰囲気が醸成され、メンバーの意欲が高まりやすくなります。 - イノベーションの促進
「実は既にある強み」を再認識し、新しい組み合わせや活用方法を試みる姿勢が、新たなイノベーションを生み出します。
従業員にとってのメリット
- ネガティブな検討を最小限に抑えられる
過去の失敗や原因分析にとらわれず、解決へのステップを踏み出すことで、精神的な負担が軽減されます。 - 自己効力感の向上
自分たちがすでに持っているリソースやスキルに気づくことで、「やればできる」という肯定的な感覚が高まります。 - 建設的な議論が促進される
メンバー同士が「何が可能か」「どのようにすればうまくいくか」を一緒に考え合うため、チームワークやコミュニケーションが円滑になります。
ソリューションフォーカストアプローチを成功させるポイント
- 強みや資源を意識的に洗い出す
「どんな小さな成功でも構わない」という姿勢で、チームがこれまでに上手くやってきた事例や、使えそうなスキルをリストアップしてみてください。
解決策のヒントが見えてきます。 - 目指すゴールを具体化する
具体的な目標や理想の状態を明確にすることで、チームは「どこに向かって行動すればよいか」をイメージしやすくなります。
小さなステップを設定しながら、前進を評価していくと効果的です。 - 質問と対話を重視する
「いつ、どんな場面が上手くいっていたか」、「どうすればもっと良くなるか」といった問いかけをメンバー同士で行い、お互いに対話を深めることが重要です。
未来志向の質問をして、ポジティブなアイデアを引き出していきましょう。 - アクションプランを短期的に回す
計画を立てたら、すぐに実行し、小さな成功体験を積み重ねるサイクルを回すことが大切です。
成功や進捗を共有し合いながら、ポジティブなフィードバックを続けると、チームのモチベーションも維持しやすくなります。
ソリューションフォーカストアプローチの成功事例
サービス業を営むW社では、顧客満足度の向上を目的にソリューションフォーカストアプローチを導入しました。
まずは現場スタッフから「これまでうまく対応できたお客様事例」を収集し、そこに共通する成功要因を分析。
その結果、新たな接客マニュアルや研修に活かすことで、顧客クレームが減り、スタッフの接客への自信が高まりました。
よくある質問(FAQ)
Q1:問題の原因を深く掘り下げないと、根本解決にならないのではないでしょうか?
A:原因追究が全く必要ないわけではありませんが、ソリューションフォーカストアプローチでは、限られた時間や資源を「解決に寄与する要素」に振り向けることで成果を早期に得る狙いがあります。
長期的視野で原因追究が必要と考えられる場合は、原因分析と組み合わせるケースもあります。
Q2:小さな成功や強みが見当たらない場合はどうすれば?
A:どんな組織やチームにも、何らかの形でうまく機能している部分があるものです。
また、業務が遅い=業務が丁寧である、など、短所と思っていた部分が長所の裏返しであるケースも少なくありません。
スタッフへのヒアリングや、過去のデータの参照を繰り返し、あらゆる視点から強みを探してみてください。
Q3:ソリューションフォーカストアプローチを現場に根付かせるコツはありますか?
A:リーダーや管理職が、普段の会話やミーティングで成功事例や強みに注目する姿勢を意識することが大切です。
質問やフィードバックにも「何がうまくいっているか」を常に探る姿勢を取り入れることで、自然と組織文化に浸透しやすくなります。
まとめ
ソリューションフォーカストアプローチは、問題の原因を深堀りするのではなく、すでにある成功事例や強みに注目しながら解決策を構築する手法です。
ネガティブな議論や過度な時間の浪費を抑えつつ、短期間でポジティブな成果を得やすいことが特徴ともいえるでしょう。
もし現場で同じ問題が長引きがち、あるいは原因究明に時間を取られすぎていると感じるならば、ぜひソリューションフォーカストアプローチを試してみてください。
前向きなアイデアを引き出しながら、チームの士気と生産性を一気に高めていきましょう。
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