
職場において、部下からの相談にどう対応すべきか悩む場面は多いのではないでしょうか?

「あんなミスをするなんて、自分は社会人失格だ」
「自分にはこの仕事が向いていないのではないか」
といったネガティブな相談を受けることもあるかもしれません。
答え方に困る質問を部下からもらったとき、上司としてどのように対応すれば、部下の成長を支え、組織の活性化につなげられるのでしょうか。
本記事では、人材育成の視点から、部下の自己認識を広げる関わり方について考えていきます。
部下の自己評価が「足りない部分」に偏る理由とは?
部下が自身の弱みや苦手な部分ばかりを気にしてしまうのは、決して珍しいことではありません。
人間の心理として「欠けている部分に焦点が当たる」傾向があるからです。
例えば、
・業務の80%をうまくこなしていても、残りの20%のミスにばかり意識が向いてしまう
・普段のうまくいっている人間関係よりも、「相手が自分をどう思っているのか」や、「なぜ指摘を受けたのか」など、ネガティブな側面に意識が集中してしまう。
ことなどは、皆さんにも心当たりがあるのではないでしょうか。
こうした心理は、仕事への責任感が強い部下ほど顕著に表れる傾向があります。

「もっとできるはず」
「このままではいけない」
と考え、必要以上に自己評価を下げてしまうのです。
上司ができること
部下が自己評価を下げてしまうとき、上司の役割として大切なのは否定せずに受け止めることと同時に、できている部分にも気づかせることです。
「足りない部分」ではなく「できている部分」にも焦点を当てるのです。
具体的なやり取りの例を紹介します。
部下が「自分はこの業務が苦手で、チームに貢献できていないのでは」と相談してきた場合、次のような対応を意識すると良いでしょう。
- 部下の思いを受け止める
「そう思っているんだね」「そう感じることがあるんだね」と共感を示すことで、安心感を与える。
すぐに「そんなことない」と否定せず、一度部下の気持ちを整理してもらうようにしましょう。 - できている部分を伝える
「でも、この業務ではこういう強みを発揮しているよね」
「この前の○○の対応、とても良かったと思うよ」 - 視点を広げる質問を投げかける
「この部分が難しいと感じる一方で、得意なことは何だと思う?」
「もし誰かにアドバイスをするとしたら、どんなことが言える?」
ステップバイステップで、部下の視野を広げる関わりを積み重ねることで、部下は「自分にはできることもある」と認識し、前向きに仕事へ取り組めるようになりますよ。
バランスを取ることが大切
「マイナス思考はダメ」と決めつけ、ネガティブな思考を否定するのではなく、バランスの取れた自己認識を促すことが重要です。
仕事を進める上で課題を振り返ることは必要ですが、人間は自然とマイナスな課題にだけ意識を向けがちなものです。
すると、やる気を失い、成長の機会を逃してしまうことになりかねません。
したがって、上司には「できている部分」にも光を当て、部下自身の成長を促す役割を担うことが求められます。
意識的にポジティブな部分にフォーカスすることで、部下はバランスの取れた自己認識を得ることができますよ。
また、組織全体としても社員が前向きに仕事に取り組める環境を整えることが、生産性やエンゲージメント向上につながるでしょう。
まとめ:足りない部分を見るだけでなく、部下の可能性を引き出す関わりを
誰もが自分の足りない部分ばかりを気にしてしまうのは、自然なことです。
しかし、上司としてその気持ちを受け止めつつ、「できていること」「成長していること」にも目を向けさせる関わりを意識することが重要です。
・部下の不安をまず受け止める
・できていることを具体的に伝える
・視点を広げる質問を投げかける
上記のような関わりを続けることで、部下はよりバランスの取れた自己認識を持ち、成長のチャンスを広げることができますよ。
組織全体で「不足している部分」だけではなく「できている部分」も大切にする文化を築くことで、より活気ある職場づくりを目指していきましょう。
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部下育成にお悩みの方や組織改善を目指している方は、お気軽にご相談ください。