

「自分は正しい基準で指導している」
その自信が、もしかすると実は部下の成長を止める「壁」になっているかもしれません。決断力や規律などのリーダーとしての強みは、時として周囲の才能を覆い隠すフィルター(アンコンシャス・バイアス)に変わることがあります。
本記事では、思考特性分析ツールiWAM(アイワム)の視点を用いて
・自身のアンコンシャス・バイアスに気づき、対処する重要性
・代表的な認識スタイルとマネジメントの注意点
を解説します。ぜひ最後までお読みくださいね。
自身のアンコンシャス・バイアスに気づき、対処する重要性
人は誰しも、物事を判断する際に重視するフィルターを持っています。iWAM(アイワム)では、人が判断するときのフィルターのことを「認識スタイル」と呼びます。リーダーとして優秀な方ほど特定のスタイルが強く表れる傾向があり、「無意識の偏り(アンコンシャス・バイアス)」を生む原因となるといわれています。
アンコンシャス・バイアス:
自分では気づかないまま、無意識の思い込みや偏見によって判断や行動が左右されること。
上司「最近の若者は我慢が足りない」そう思っている管理職の方や、人事担当者の方も少なくないでしょう。過去の経験から物事を瞬時に判断する「無意識な思い込み」をもってしまうのは、人間の特性といえます。しかし無自覚な評価の偏り[…]
例えば、
自分のなかに確固たる基準を持つ上司や、成功パターンを部下に教えることが上手い上司は、部下から見ても頼もしく、ついていきたくなる上司といえるでしょう。しかし一方で、上司自身の基準や成功パターンを部下に強要してしまっては、部下の多様な才能を見落とし、意欲を削いでしまう結果になりかねません。
上司のアンコンシャス・バイアスが、部下の伸び代を見逃してしまったり成長を止めてしまったりすることがあるのです。
アンコンシャス・バイアスによって気づかぬ間に部下の成長を止めてしまっていては、当然マネジメントはスムーズにすすみません。上司は自身のアンコンシャス・バイアスに気づき、適切に対処していく必要があるのではないでしょうか。
代表的な認識スタイルとマネジメントの注意点
iWAM(アイワム)では認識スタイルには48種類あるといわれています。
そのなかから、マネジメントに影響を与えやすい代表的な認識スタイルとそのスタイルを持つ方の陥りやすいバイアスと対策を紹介します。
人材育成に“認知の深堀り”を。iWAM(アイワム)がもたらす、新しいアセスメントの視点本ページの内容は、iWAM®プロフェッショナルズのガイドラインに沿って作成しております。■ なぜ思ったように育た[…]
1.内的基準型の傾向が強い方のマネジメントの注意点
【特徴】物事を決定する際に自身の判断基準を最優先する傾向があります。
【強み】内的基準型の傾向が強いリーダーは、決断力があり、自信を持ってチームを牽引できることが多いです。
【陥りやすいバイアス】自分の感覚や基準を信じすぎるあまり、「自分と異なる意見は間違っている」と感じてしまう「確証バイアス」に陥りやすい側面があります。
【対策】ぜひ、正解を手放す勇気を持ちましょう。ご自身の判断に自信があるからこそ、あえて「正しさ」を脇に置くトレーニングがおすすめです。「自分がどう思うか」ではなく「他の人ならどう考えるか」を常に意識し、口に出してみてください。

「私にはこう見えますが、あなたはどう思いますか?」
「他の視点だと、どうでしょうか?」
長くリーダーや上司を務めている場合、部下は「上司の意見で決まる」と諦めている可能性があります。自身の意見を言う前に

「正解はわからないけれど、皆さんはどう思いますか?」
と、あえて隙を見せるアプローチもおすすめです。絶対的な正義を手放し、多様な意見を受け入れる姿勢を見せることで、部下は

「自分の意見も尊重される!」
と感じ、主体性を発揮し始めるでしょう。
2.自分型の傾向が強い方のマネジメントの注意点
【特徴】仕事の進め方において、自分のやり方やルールを重視する傾向があります。
【強み】成功パターンを持っており、部下に明確な方向性を示せる頼もしい存在です。
【陥りやすいバイアス】自分のやり方を重要視するため、異なるアプローチをする部下を「やり方が間違っている」「指示に従わない」と否定的に捉えてしまうケースが多いです。結果として部下の主体性を奪ってしまうリスクがあります。
【対策】自分のやり方が絶対的正解であるとは限らないということを理解し、ルールを強要する前に仕事の背景や目的を共有する練習をしてみましょう。そのうえで、部下から仕事のやり方を募ってみてください。

「この仕事の目的は●●です。どんなやり方がいいと思いますか?」
などの問いかけがおすすめです。部下のアイデアが自分と異なっても、まずは

「なぜそうしようと思ったのですか?」
と部下の思考プロセスに関心を寄せてください。「自分とは違うが、その方法もありだ」と認める寛容さが、部下の考える力を育てますよ。
3.遵守型の傾向が強い方のマネジメントの注意点
【特徴】組織のルールや既存の手順を重んじる傾向がます。
【強み】誠実で安定感があり、組織の秩序を守る要となります。
【陥りやすいバイアス】ルールを守ろうとしすぎると、前例のない新しい挑戦や柔軟な対応を「リスク」と見なして排除してしまう「現状維持バイアス」に陥りやすくなることがあります。
【対策】ルールや手順に固執しそうになったとき、「このルールは何のためにあるのか?」と立ち止まって考える習慣をつけましょう。手段と目的を切り離して考えることで、

「目的が達成できるなら、別のルートでも問題ありません。」
と、柔軟な態度で部下に接することができますよ。部下からも、

「その目的のためであれば、こういう方法もあるのではないでしょうか。」
など、活発な意見が出てくるようになるでしょう。上司としての信頼は、決まりを厳守させることではなく、組織の目的を達成するために部下を正しく導くことで得られるのではないでしょうか。
まとめ|アンコンシャス・バイアスは適切に「扱う」
アンコンシャス・バイアスは、人間の脳が持つ機能の一部であり、完全になくすことはできません。バイアスを消そうとするのではなく、「自分には偏った見方があるかもしれない」と自覚し、適切に「扱う」ことが大切です。
iWAM(アイワム)の視点を取り入れると、行動と思考の癖・認識スタイルを知ることができ、意識して対策していくことが可能になります。
小さな努力の積み重ねが、人を正しく評価する力となり、強固な信頼関係を築く土台となるでしょう。ぜひ明日からのマネジメントでご自身の判断傾向を一歩引いて観察することから始めてみてはいかがでしょうか。