
日々の業務の中で、部下が想定外の出来事に対応できず、焦ってしまう場面を見かけることはないでしょうか。
そのようなとき、上司として

「なぜこんな小さなイレギュラー対応ができないのか。」
と歯痒く思うこともあるかもしれません。
しかし、少し視点を変えてみると、その部下には別の強みがあることに気づくことができるのです。
人が皆、一人ひとりに違いがあるように、部下にもそれぞれ特性があり、誰もが万能ではありません。
マニュアル通りに進めることが得意な人もいれば、柔軟な対応が得意な人もいます。
どちらが優れているというわけではなく、適材適所の業務配分が重要なのです。
「若いうちはなんでもやれ!」といわれてきた、特に団塊世代やX世代の上司の方には、びっくりするような内容かもしれません。
しかし、部下の能力を活かすマネジメントは、上司ご自身にもメリットのある合理的な業務の進め方といえます。
本記事では、
・部下の特性を理解することの重要性
・特性に合わせた仕事の割り振りを行う方法とメリット
を紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、日常の上司としてのあり方を改めて考え直すきっかけとしていただければ幸いです。
部下の特性を理解することの重要性

業務の進め方には、人それぞれの個人差があり、やりやすい方法が一人ひとり違うことは、皆さんにも理解いただきやすいでしょう。
上司の皆さんは、ぜひ一人ひとりの違いを均質化しようとせず、生かすように考えていただきたいのです。
業務の進め方には個人差がある
業務には大きく分けて、決まった手順に沿って遂行するものと、イレギュラーな事態に柔軟に対応するものがあります。
たとえば、品質管理やデータ入力などの業務は正確性が求められ、マニュアル通りに進めることが重要です。
一方で、クライアント対応やトラブルシューティングのような業務は、状況に応じた判断力が必要になります。
部下の特性を見極め、それぞれに適した業務を割り振ることで、組織全体のパフォーマンスを向上させることができますよ。
2.人にはそれぞれ得意・不得意がある
心理学の「コンピテンシー理論」によると、人にはそれぞれの能力や強みがあり、特定の状況で最大限のパフォーマンスを発揮できることが示されています。
参考:ResearchGate「Testing for Competence Rather Than Intelligence」
規則を守りながら業務を遂行することに優れている人に、急な対応が求められる仕事を任せると、本人にとってもストレスが大きくなり、ミスの原因になりかねません。
上司は部下一人ひとりの得意分野を理解し、それに適した業務を任せることで、個々の能力を最大限に引き出すことができるのです。
部下の性格や特性を見極めることも、上司の重要な仕事です。
特性に合わせた仕事の割り振りを実践する方法

実際に部下の特性に合わせた仕事の割り振りを行う方法を紹介します。
現実的には、部下の苦手とする分野も業務で必須となることもあるでしょう。
その際の考え方や対処法も紹介します。
1.部下の業務適性を見極める
まず、部下の業務適性を見極めることが重要です。以下のような観点から、部下の特性を把握するとよいでしょう。
- ルーティン業務の遂行力:決められた手順通りに業務を遂行できるか
- 柔軟な対応力:予期せぬトラブルや変化にどれだけ適応できるか
- 判断力と主体性:業務において、自ら考え行動できるか
定期的なミーティングによるフィードバックや業務評価、そして何より日頃からのコミュニケーションを通じて、部下の業務適性を見極めましょう。
2.適材適所の仕事の割り振りを行う
部下の特性に合わせた業務配分を行うことで、組織の生産性を高めることができます。
- マニュアル通りに仕事を進めるのが得意な人→ルーチンワークや品質管理など、正確性が求められる業務を担当させる
- 柔軟な対応が得意な人→クライアント対応やトラブルシューティングなど、変化に適応する業務を任せる
など、適材適所を意識した業務配分を行うことで、部下がストレスを感じにくくなり、モチベーションも向上するでしょう。
3.業務のバランスを意識する
特定の業務ばかりを一人の部下に集中させるのではなく、一人ひとりの業務内容のバランスを適度に取ることも大切です。
たとえば、マニュアル通りに仕事を進めることが得意な部下にも、少しずつ柔軟な対応を求める業務を経験させることで、成長の機会を提供することができます。
一方で、柔軟な対応が得意な部下にも、基本的な業務手順を学ばせることで、幅広いスキルを身につけることができます。
部下一人ひとりがさまざまな業務にあたる機会を作ることで、組織全体の業務遂行能力が向上し、どのメンバーも安定して成果を出せる環境が整いますよ。
また、部下の苦手な分野であっても、職務上必ず行わなければならない業務がある場合もありますね。
その際は、段階的なサポートを行いながら業務にあたってもらう工夫が必要です。
具体的には、最初は簡単なタスクから始め、少しずつ難易度を上げていくことです。
負担を軽減しながらスキルを習得できるよう支援しましょう。
さらに、苦手な業務を得意とする部下同士でのペアワークやOJTを取り入れることで、学びやすい環境を提供し、組織内の協力体制を強化することも有効ですよ。
まとめ:部下の特性を活かして組織の生産性を向上させる

部下にはそれぞれ得意・不得意があり、上司はその特性を理解しながら適切な業務を割り振ることが求められます。
また、業務のバランスを意識しながら、部下が新しいスキルを身につける機会を提供することも忘れないでください。
部下にとって苦手な分野の業務でも、チャレンジしていくことで成長が促され、組織全体の成長を促すことができますよ。
適材適所の業務配分を実践すれば、
・部下のモチベーションを高める
・組織全体のパフォーマンスを向上させる
ことにつながります。
「そんな過保護な……」とおっしゃっていた上司の方からも

「成果につながりやすく、思いのほか効率がいい!」
とお話しいただけるマネジメント法です。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
エナジーソースでは、部下育成や組織の成長を支援しています。
部下育成にお悩みの方や組織改善を目指している方は、お気軽にご相談ください。