

「部下に新しいプロジェクトを任せても、理由を並べて引き受けようとしない」
「やる気がないわけではなさそうなのに、行動に移らない」
などの悩みを抱える管理職の方は少なくありません。
しかし、表面上は消極的に映る部下の行動の背景には、単なる意欲の欠如ではなく、問題を避けようとする行動特性=問題思考・回避型が隠れていることがあります。
問題思考・回避型は決してネガティブな特性ではなく、組織にとって必要不可欠な視点でもあるのです。
本記事では、部下の「やらない理由」を正しく理解し、真の力を引き出すための3つのポイントを紹介します。
今まで「消極的」、「やる気がない」と見えていた部下が、実は組織にとって貴重な存在だったことに気づけますよ。
ぜひ最後までお読みくださいね。
問題思考・回避型の仕組みと見分け方
問題を避けようとする行動特性、つまり、問題思考・回避型をもつ人材は、「何を達成できるか」よりも「どのような問題を未然に防ぐか」に関心を持ちやすい特徴があります。
例えば、
新しいシステムを導入する際に、目的志向型の人材が

「この仕組みで業務効率が3割改善する!」
と期待するのに対し、問題思考・回避型の人材は

「セキュリティ面は大丈夫か」
「既存システムとの互換性に問題はないか」
と懸念点を洗い出すことに注力します。
実際に、ある金融機関の新商品開発プロジェクトでは、多くのメンバーが「売れる可能性」に着目していた一方で、問題思考・回避型の人材が税制上のリスクを指摘しました。
結果、重大な法的問題を回避でき、組織は大きな損失を免れました。
問題思考・回避型が組織を守ったといえますね。
問題思考・回避型の見分け方としては、次のような特徴が挙げられます。
- 言葉の使い方
・「防ぐ」「避ける」「守る」といった表現を頻繁に用いる
・「しかし」「ただし」など、逆接から会話を始める傾向がある
・リスクや問題点を具体的に列挙する - 行動パターン
・新しい取り組みの前に、入念な検証や準備を求める
・過去の失敗事例をよく覚えていて、参考にする
・慎重で、石橋を叩いて渡るタイプ - 目標設定の特徴
・「売上を伸ばす」より「損失を防ぐ」
・「新規開拓」より「既存顧客の維持」
・「革新」より「安定」
ここで忘れてはいけないのは、問題思考・回避型は性格ではなく、あくまでも思考スタイルであることです。
状況によって変化する柔軟なものであるので、「いつもこう!」、「この人はこう!」と決めつけないでくださいね。
「何を恐れているのか」へ視点を転換する
多くの管理職の方は、行動しない部下に対して

「なぜやらないのか」
と問いがちな傾向があります。
しかし、「なぜ」と理由を確認する問いかけは、問題思考・回避型の人材にとって

「自分は問題のある存在だ」
と感じさせてしまいやすく、防御的に理由を並べる結果を招きやすくなるケースが多いのです。
問題思考・回避型の部下に動いて欲しいときに有効なのは、

「何が心配ですか」
「どの点にリスクを感じていますか」
と問いを変えることです。
実際、ある製造業で新システム導入を渋る人材に対して問い方を変えたところ、

「新しい仕組みで自分の役割がなくなるのでは」
と、本音が明らかになりました。
表面的な反対意見の裏側には、失敗や変化、責任、未知といった恐れが隠れている場合が多いのです。
恐れの代表的なパターンには以下があります。
- 失敗への恐れ
「評価が下がる」「迷惑をかける」「自分の能力不足が露呈する」 - 変化への恐れ
「今までのやり方が通用しなくなる」「新しいことを覚えるのが大変」「既存の人間関係が変わる」 - 責任への恐れ
「失敗の責任を取らされる」「期待に応えられない」「プレッシャーに耐えられない」 - 未知への恐れ
「何が起こるか分からない」「コントロールできない」「予測できないリスクがある」
恐れを理解し、一緒に解消したいという姿勢を示すことで、信頼関係が生まれ、行動への一歩を踏み出しやすくなりますよ。
問題思考・回避型を強みに変えるマネジメント
問題思考・回避型をの人材を「消極的なスタッフ」と捉えるのではなく、組織の「強み」として活用するマネジメントの方法を紹介します。
ポイントは、問題思考・回避型と目的志向的思考のバランスを取ること、つまり、「アクセル役」と「ブレーキ役」の両方が要ることの理解と実践です。
目的志向型の人材が推進力となり、問題思考・回避型の人材が安全装置となる。
両者のバランスが整ったチームこそ、変化に強い健全な組織といえるでしょう。
1. 役割の再定義
問題思考・回避型の人材を「ブレーキ役」ではなく「品質保証役」「リスクマネジメント担当」と再定義してみてください。問題思考・回避型が評価対象になりますよ。
あるIT企業では、新サービス開発チームに「リスク指摘担当」という役割を設けた結果、慎重なエンジニアが自信を持って発言し、品質が大幅に向上した。
2. セーフティネットの構築
失敗しても許容される範囲を明確にし、バックアッププランをあらかじめ設定することで、安心感が生まれますよ。
「3か月間の試行期間を設け、うまくいかなければ従来の方法に戻す」仕組みを設けた結果、組織の挑戦へのハードルが下がり、今まで挑戦してこなかった人材が挑戦するようになった。
3. 段階的なステップ設計
大きな目標を小さなステップに分け、都度評価しながら進めていくことも有効です。
「新規事業を立ち上げる」という大きなプロジェクトを
Step1: 市場調査をする(リスク分析込み)
Step2: 小規模なテストマーケティング
Step3: 限定的なパイロット版リリース
Step4: 段階的な規模拡大
と分解してみたところ、各ステップでチームでリスクを確認しながらプロジェクトを進められ、問題思考・回避型の人材も安心して参加できた。
まとめ
部下が行動に踏み出さない背景には、意欲不足ではなく「問題を避けたい」という問題思考・回避型の思考スタイルが存在する場合があります。
問題思考・回避型は、品質向上やリスク管理の観点から組織に欠かせない資質です。
管理職や人事担当者が行うべきは、「なぜやらないのか」と問い詰めるのではなく、「何が心配なのか」と理解を深めることではないでしょうか。
恐れを受け止め、安心できる環境を整えたうえで、ぜひ問題思考・回避型の慎重さを強みとして評価してくださいね。
アクセルを踏む人とブレーキを踏む人、両方がいるからこそ組織は健全に前進できます。
消極的に見える部下に潜む「問題思考・回避型」を理解し活かすことで、組織の持続的成長につながりますよ。
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部下育成にお悩みの方や組織改善を目指している方は、どうぞお気軽にご相談くださいね。