

「面接では良かったのに、現場では思ったように動かない」
せっかく採用したのに、人事や経営の立場から見てこのようなお悩みを抱えてしまうようなケースは少なくないのではないでしょうか。
3年以内離職率が約3割といわれるなか、1人あたり約400万円とも言われる採用・育成コストが失われることを考えると、採用時の見極めの精度は大きな経営課題といえます。
本記事では、iWAM(アイワム)というアセスメントの考え方を手がかりに、人が動きやすい条件を「性格」ではなく「思考と行動のクセ」として捉え直し、
・採用・配置でミスマッチを減らす視点
・上司と部下のズレを言葉のレベルで調整する視点
を整理します。
組織づくりに活かせるヒントとして、最後まで読んでいただければ幸いです。
人が動かない理由は性格ではなく「思考の構造」にある
履歴書の内容や面接の受け答えは問題なく、印象も良い。
それにもかかわらず、入社後には主体性が見られなかったり、任せたい場面で動きが鈍かったりすることがあります。
現場からは

「想定と違う」
「性格が合わない」
「最近の若手は我慢が足りない」
といった言葉で説明されがちです。
しかし、皆さんにも想像していただきやすいと思いますが、同じ人材であっても、場面や環境によって急に動けなくなることがあります。
つまり、人材が動けなくなる理由はその人特有の性格や人格ではなく、その仕事環境でどのような考えをし、行動していくのかという「思考と行動の癖」が関係しているのです。
iWAMが可視化する「認識スタイル」とは
従来の適性検査や性格診断は、人材そのもののタイプを大まかに捉えることが中心であり、その人材がどのような環境や言葉で力を発揮しやすいかまでは見えにくい面があります。
iWAMは、無意識に働く「思考のフィルター」を、48種類の「認識スタイル」という切り口で測定するアセスメントツールです。
例えば、
同じ出来事が起きたときに、「チャンス」と考える人材と「リスク」と考える人材がいる
この違いが「思考のフィルター」です。
認識スタイルは、固定的な性格ではなく、状況や環境で切り替わる思考パターンです。
iWAMは人材の思考パターンをまるでレントゲン図のように透かし、数値で定量化・可視化するツールなのです。
マネジメントのズレを生む代表的なスタイルの違い
48種類ある認識スタイルのなかから、本記事ではマネジメント場面でズレを生みやすい代表的な軸を3つ紹介します。
方向性の違い:目的志向型と問題思考・回避型
目的志向型
目的志向の傾向が強い人の特徴は、目的に焦点をあて、明確な方向性をもつ点です。
「目標」、「達成」、「成果」、「成長」といった言葉に反応しやすく、理想の状態を描くことでエネルギーが高まります。
問題思考・回避型
問題を回避する傾向が強い人の特徴は、問題を発見し、回避・解決することに焦点をあてる点です。
「リスクを減らす」、「ミスを防ぐ」、「トラブルを避ける」といった点を重視します。
上司が目的志向型の傾向が強く、部下が問題思考・回避型である場合、上司の

「挑戦して成長しよう」
というメッセージに対して、部下は失敗したときのリスクを先に考え、

「こういう問題があると思います・・・」
と、慎重な発言が増え、なかなか動き出すことができないこともあります。
その結果、目的志向型の上司からは

「部下がネガティブで動かない!」
「やる気がないのか?」
という評価につながってしまい、軋轢が生まれてしまうこともあるのです。
選択理由の違い:オプション型とプロセス型
オプション型
オプション型傾向が高い人は、複数の方法や選択肢を探すことを好み、裁量や自由度の高い環境に魅力を感じやすいタイプです。
「選択肢」、「可能性」、「別の方法」、「多様性」、「チャンス」などの言葉が響きやすいです。
プロセス型
プロセス型の傾向が高い人は、手順やスケジュールに沿って動くと安心する傾向があります。
「手順に従って」、「順を追って」、「確実に」、「計画通りに」といった言葉を好み、決まった枠組みのなかだと安心して動きやすいです。
オプション型の上司が

「自由に進めてね」
と伝えた場合、プロセス型の部下は

「どういうプロセスで物事を進めたらいいかわからない」
「どこから手をつけていいのか分からない」
と感じ、動きが止まってしまうことがあります。
その状態だけを見て

「この部下は使えない」
と判断してしまうのは早計です。職場のトラブルにつながりかねませんので、注意が必要です。
視野の違い:全体型と詳細型
全体型
全体型の傾向が高い人は、物事の全体像を素早く把握し、大枠を描く傾向があります。
「全体像」、「大枠」、「本質」、「ポイント」、「ざっくりと」といった言葉が響きやすいです。
詳細型
詳細型の傾向が高い人は、細部の情報を丁寧に追い、物事を性格に遂行する傾向があります。
「具体的に」、「詳細」、「正確」、「データ上は」、「細部まで」といった言葉や情報を重視します。
チームに大枠の方向性を決めたい全体型のメンバーばかり集まると、詳細が決まらず結果としてチーム全体が動けなくなってしまうことがあります。
一方で、細部を詰めたい詳細型のメンバーばかりが集まると、細かすぎて全体像が見えないという結果になりかねないのです。
重要なのは、
- 全体型も詳細型も、どちらかが正解というわけではないこと
- 役割やタイミングによって必要な視点が変わること
- 特に上司は、自分の傾向を部下や他のメンバーに押し付けないよう十分注意するべきであること
の理解です。
iWAM®が変える採用・育成・配置
iWAMの考え方は、採用・育成・配置の各場面で、判断の精度を高めるための有効な手がかりになります。
仕事における思考と行動の癖を可視化することで、以下のような活用が期待できます。
採用:ミスマッチを未然に防ぐ材料を得る
面接では、準備された模範的な受け答えが高い評価につながりやすく、応募時点での「見えやすい姿」だけで判断すると、入社後に現場の期待と応募者の本当の姿との間でミスマッチが生じることがあります。
このミスマッチが早期離職につながりかねません。
iWAMは、回答内容そのものではなく「どう答えたか」や、「どのような影響言語で答えたか」を分析するツールです。
つまり、応募者が無意識のうちに使用する言葉のパターンから、思考の癖や働きやすい環境を把握する手がかりを得られるのです。
応募者の思考と行動の癖を採用段階で見抜くことで、ミスマッチを事前に減らしやすくなります。
育成:一人ひとりに適した関わり方を見極める
応募者の認識スタイルが見える化されることで、
- どのような言葉が行動のスイッチになるのか
- どのような関わり方で安心しやすいのか
といった育成の核心がより明確になります。部下それぞれの特性をiWAMを通して見極めることで、上司は部下一人ひとりとベストな関わり方ができるのです。
「上司が正しい方法を教える」のではなく、「部下が動きやすい条件を整える」育成へと転換しやすくなり、行動の再現性も高まりやすくなります。
配置・チーム設計:相乗効果を生む組み合わせを見つける
iWAMを通して仕事における思考と行動の癖を前提にチーム内のメンバー同士の相性を確認することで、
- 互いの強みが補完し合う組み合わせ
- 同じ盲点を共有してしまう組み合わせ
などを可視化できます。
認識スタイルを活かしたチーム設計により、多様な視点が自然に補い合える環境をつくることができ、組織全体の推進力を高めることにもつながります。
まとめ|「人が動く条件」を理解することは経営の責任
人が期待どおりに動かない背景には、性格では説明しきれない「仕事における思考と行動の癖」が存在します。
iWAM®は、認識スタイルという観点から思考の構造を可視化し、どのような環境や言葉で力を発揮しやすいかを理解するための有効な手がかりになります。
また、認識スタイルを採用・育成・配置の場面に反映することで、ミスマッチや早期離職のリスクを減らし、チームパフォーマンスの向上にもつながります。
上司と部下の違いを「やる気」や「価値観の衝突」と捉えるのではなく、思考の構造の違いとして理解し、適切な言葉がけや関わり方を選ぶことで、行動変容も生まれやすくなりますよ。
相手の見えない思考パターンを理解する姿勢は、単なる優しさではなく、組織の可能性を引き出すための重要な経営責任の一つです。
人が動きやすい条件を丁寧に捉え、働く環境に反映させる取り組みこそが、これからの組織づくりにおいて大きな力を発揮していくのではないでしょうか。