

「なぜあの部下は毎日だらだらと残業を続けているのか。」
働き方改革が叫ばれる昨今、多くの上司の方が部下のだらだら残業に頭を抱えているのではないでしょうか。真面目な部下ほど終わりのない作業に時間を費やしてしまっていることもありますね。実は非効率な残業の原因は、単なる業務過多や部下の能力不足の問題ではないケースが多いのです。
本記事では、
・非効率な残業を招く心理要因
・上司が使える精神論に頼らないマネジメント手法
を解説します。最後まで読むことで、組織全体のタイムマネジメント能力を向上させ、生産性の高いチームへと変革していくことができるでしょう。ぜひ最後までお読みくださいね。
だらだら残業の3つの構造要因
だらだら残業は一見すると、個人の処理能力や業務量の問題に思えます。しかし、非効率な残業の原因を探ると組織特有の行動パターンやルールの欠如が原因になっている場合があります。
特に注意すべきは、以下の3つの構造的要因です。
1. 予定を立てないまま動いている
多くの現場で見受けられるのが、出社と同時にメールチェックや目の前のタスクに追われ、気づけば夕方になっているパターンです。1日のスケジュールを組まずにスタートすると、終わりが見えなくなってしまいまかねません。

「今日終わらせる仕事はこの3つですね」
など、ぜひ朝のうちに部下に1日のスケジュールを予め認識してもらい、考えてもらうのがおすすめです。
2. 予定のズレを放置する組織の文化がある
例えば、30分で終わる予定の会議や作業が、90分かかったとします。問題なのは時間がかかったことではなく、大幅な時間遅延に対して誰も修正をかけず、「まあ仕方ない」と流してしまう組織の文化にあります。
予定遅延を防ぐためには、「中間時点のチェックの習慣化」をおすすめします。例えば午後3時の時点で

「今日はあと何が残っていますか?」
などを確認すると、予定のズレを放置しない意識だけでなく、予定を立てる力(かかる時間の見通しを立てる力)も育っていくでしょう。
3. スケジュールの再設計を行っていない
突発的なトラブルや業務の遅延が発生した際、「それでも今日中にすべて終わらせよう」と無理を続けていませんか。すべての業務をこなそうとした結果、スケジュールが後ろ倒しになることが繰り返されると、構造的な残業が状態化してしまいます。
当初の状況から変わった時点で、上司自身が

「今日はAは一旦置いておいて、Bを優先しましょう」
「Cは明日に回しましょう」
など、優先順位の再設計(リスケジュール)を行うことがおすすめです。部下も「絶対に今日中に終わらせなくては」という気持ちから解放され、目の前の業務に集中できますよ。
だらだら残業の放置は人材流出を招く
非効率な残業を「本人のやる気があるから」と黙認するのは、経営視点で見ても危険です。だらだら残業の放置が、人材流出につながる理由を解説します。
1.ミスの誘発や生産性の悪化を招きやすくなる
非効率な残業や慢性的な長時間労働は、集中力と判断力を低下させ、ミスを誘発しやすくなります。疲弊した頭で仕事をしても、生産性は下がる一方です。せっかく長い時間とコストをかけた業務でも、成果の質は上がらないでしょう。
2.努力の基準が時間になりかねない
長い時間働くことが状態化すると、がんばっているかどうかが時間ではかられてしまうようになってきます。遅くまで残っている社員を「がんばっている」と評価すると、効率的に仕事を終えて帰る社員が損をする構造が生まれてしまうのです。
特に、タイムパフォーマンス(タイパ)を重視するZ世代などの若手の優秀層は、「成果ではなく時間で評価される組織」に未来を感じず、静かに離職を選びやすくなるでしょう。
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だらだら残業を回避するための具体的アプローチ
非効率な残業が続く構造を変革するための3つのアプローチを紹介します。部下自身が時間をコントロールする力を養うための方法をぜひ実践してみてくださいね。
アプローチ1:上司が残業をさせないスタンスを明確にする
上司だけでなく、メンバーにも時間を使う責任を自覚してもらうよう、以下のようなアプローチで時間に対する認識を変えていきましょう。
- 「残業は例外」という方針を全員に伝える
- 仕事が溢れた場合は上司が優先順位の再設定をサポートする
- 「今日は終わらない」と判断した時点で報告を義務化する
人間は時間を区切られた時ほど、集中力が上がりやすいものです。上司が終了時間や判断基準を明確化すれば、メンバーも時間を使う責任を自覚していきやすくなりますよ。
アプローチ2:残業の事前報告をルール化する
どうしても残業が発生する場合は、さらなる残業が発生しないよう問ないかけを行いましょう。
- なぜ残業が必要なのかをメンバーの言葉で伝えてもらう
- 上司は詰めるのではなく問いかける
- 次回以降の行動改善を一緒に考える
などの問いかけが大切です。

(①なぜ残業が必要なのか)
「Aの資料が想定より1時間押しているので、残業が必要です。」

(②上司の問いかけ)
「どこで読みがずれましたか?」

「情報収集に時間がかかってしまいました。」

(③次回以降の行動改善)
「情報収集はBを参照すると早いかもしれません。」
「情報収集はぜひ今回のように丁寧に行ってほしいので、次回は想定時間を1時間のばしてもいいかもしれませんね。」
などです。
このサイクルを回すことで、部下やメンバー自身の自分で時間を設計する意識が芽生えていきますよ。残業に対する意識も次第に変わってくるでしょう。
アプローチ3:残業の費用対効果を考えてもらう
残業代を具体的な金額(コスト)として認識してもらうことも有効です。

「この残業の1時間には●円のコストがかかっています。それに見合う成果が出せそうですか?」
と問いかけてみてください。時間を投資対効果で考える視点を持ってもらうことで、漫然とした作業を減らし、価値ある業務に集中する意識ややるべき業務を見極める力が芽生えますよ。
まとめ|時間の使い方を主体的に設計できる部下を育てる
だらだら残業の解消は、単なる労働時間の短縮ではありません。メンバー一人ひとりが自らの時間を主体的に設計し、限られた時間のなかで価値を生み出すための能力開発でもあります。
1.予定を立てる
2.予定のズレを放置しない
3.状況を鑑み、必要に応じてスケジュールを再設計する
上司が優先順位の判断をサポートし、時間をコスト捉えて大切にする文化を醸成することで、だらだら残業は少しずつ解消されていくでしょう。
まずは明日から、「朝ののスケジュール設計」と「午後の中間チェック」を取り入れてみてはいかがでしょうか。小さな習慣の積み重ねが、組織全体の生産性の向上につながっていきますよ。
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