

「同じ言葉がけでも、部下によって反応が全然違う。」
「この部下にはどんな言葉がけをすればいいのか。」
人事担当者や経営幹部の皆様にとって、組織全体のエンゲージメントを高めることは喫緊の課題です。
しかし、上司が良かれと思って発する励ましや指導が、部下にとっては

「自分のことを分かってもらえていない」
という不信感につながり、最悪の場合は離職のスイッチとなってしまうこともあるのです。
本記事では、メンバー一人ひとりの思考のクセに合わせた「影響言語」の選び方を解説します。
読み進めていただくことで、
・部下一人ひとりに合わせた最適な声掛けのスキル
・心理的安全性の高い、活気ある組織を構築するヒント
を得られますよ。
マネジメントの精度を一段高めるために、ぜひ最後までお読みください。
部下を離職に追い込む言葉選び
人はそれぞれ「認識スタイル」と呼ばれる、仕事に対する思考や行動に特有のクセを持っています。
自分自身の認識スタイルに合致した言葉=影響言語をかけられたとき、人は心地よさを感じ、意欲が湧いてきます。
一方で、自分の認識スタイルとは異なる言葉を投げかけられ続けると、たとえ内容が正論であっても、無意識のうちに疲弊や違和感を覚えるようになってしまうのです。
例えば、
目標達成に意欲を燃やすリーダーが

「高い壁にチャレンジしよう!」
と伝えても、リスク管理を重視する部下にとっては

「将来起こりうる問題が無視されている」
という不安材料になりかねません。上記のような小さなズレが積み重なると、部下は

「この上司に自分の考えを話しても無駄だ」
と心を閉ざし、組織のフィードバックサイクルが機能不全に陥ってしまいます。
上司が部下のことを思って伝えた言葉でも、部下の認識スタイルと異なる言葉を投げかけてしまうと、部下の心を蝕んでしまうケースもあります。
離職を防ぐためには、まず「全員に共通して響く魔法の言葉」など存在しないという事実を受け入れる必要があるのです。
認識スタイルの二大類型|目的志向型と問題思考・回避型
部下に響く言葉を見極めるためには、世界的に活用されているアセスメントツール「iWAM(アイワム)」で重要視されている「目的志向型」と「問題思考・回避型」という二つの対照的な認識スタイルを理解することが有効です。
目的志向型
明確な目標を設定し、達成に向かって突き進むことで意欲が高まる傾向の方が該当します。
目的志向の傾向が強い方は、「達成」「実現」「目標」「できる」など、プラスのゴールを示す言葉が強く響きます。
未来のビジョンを語ることで、主体的、かつ積極的に動き出す力が引き出されやすくなるケースが多いです。
問題思考・回避型
起こりうるリスクに敏感で、問題を未然に防いだり解決したりすることに意識が向く傾向のある方が該当します。
問題思考・回避型の傾向を持つ方には、目標を語るよりも、「解決する」「トラブルを回避する」「ミスを直す」「リスクを取り除く」などの言葉の方が、行動のスイッチが入りやすくなります。
例えば、
上司が「目的志向型」で、部下が「問題思考・回避型」の場合、目標ばかりを強調するコミュニケーションは部下にとっての「禁句」になり得ます。
部下は心のなかで

「その前にこのリスクをどうするのか」
と足踏みしてしまい、上司からは

「消極的でやる気がない」
と誤解されてしまうことがあります。
上記のような例は能力の問題ではなく、単なる言葉のミスマッチです。
しかし、上司からの言葉が部下に届かないと、信頼が崩れかねず、部下の離職につながってしまうことさえあるのです。
部下の能力を引き出す「影響言語」の実践
部下との信頼関係を再構築し、能力を引き出すためには、上司側が部下の認識スタイルに合わせて言葉を使い分けることが求められます。
以下の3つのステップを意識することで、コミュニケーションの質は劇的に変化しますよ。
STEP1:部下の考え・気持ちを聴く

「このプロジェクトについて、どう思いますか?」
と、部下の考えや気持ちを「ただ聴く」時間を設けてください。
最近の業務についてどう感じているかを問いかけ、話を遮らずに黙って待つことが大切です。
STEP2:部下の答えから認識スタイルを推測する
部下が発する言葉を注意深く観察し、

「目標を達成したい」
「この戦略を実現したい」
などの言葉が多ければ目的志向型の可能性が高いと推測できます。一方、

「ミスをしないようにしようと思います。」
「失敗したくないので、慎重に進めています。」
などの言葉を多用していれば問題思考・回避型と推測できます。
重要なのは、上司の価値観で相手を決めつけないことです。
STEP3:未来志向の承認と問いかけをする
目的志向型の部下には

「目標達成できたら、どんな成果が手に入ると思いますか?」
問題思考・回避型の部下には

「ミスをしないようにこんな工夫をしているんですね!」
「このリスクを未然に防ぐために、知恵を貸してもらえますか?」
などと、未来につながる問いかけをしてみてください。
相手の認識スタイルに合わせた言葉を使うことで、部下は

「上司は自分を理解してくれている!」
と安心感を抱き、自発的な行動へとつながっていくのです。
まとめ|一人ひとりに合わせた言葉選びが組織を強くする
マネジメントにおける言葉の力は、組織の命運を左右します。
全メンバーに同じ言葉で動機付けを図るのではなく、部下一人ひとりの認識スタイルを観察し、適切な影響言語を選択する姿勢こそが、真のリーダーシップなのではないでしょうか。
「自分の価値観を押し付ける言葉」を「相手が受け取りやすい言葉」へと変換するスキルを磨けば、組織内の心理的安全性が向上し、メンバーの主体性が自然と育まれます。
結果として、
・離職率の低下
・生産性の向上
という大きなメリットを組織にもたらすことができますよ。
ぜひ、小さなことから一歩一歩、チャレンジしてみてくださいね。
エナジーソースではiWAMを活用した認識スタイルに基づくマネジメント実践のお手伝いをしています。
どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。