

「部下に仕事を任せたら、丸投げだと不満が上がった」
組織の持続的な成長には、次世代を担う部下への適切な権限移譲が欠かせません。
しかし、上司が良かれと思って「任せた」仕事が、部下の視点では「無責任な丸投げ」と受け取られてしまうケースは後を絶ちません。
「任せた」と「丸投げされた」のあいだの認識の齟齬は、現場の士気を低下させるだけでなく、優秀な人材の離職を招くリスクも孕んでいます。
本記事では、部下に負担感を与えず、かつ自発的な行動を促すための
・絶妙な任せ方の3ステップ
・一人ひとりの性格に合わせた効果的な任せ方
を詳しく解説いたします。
この記事を通じて、管理職が本来注力すべき戦略的な業務に集中できる環境を整え、組織全体のパフォーマンスを向上させるスキルを習得していただければ幸いです。
自律型組織への第一歩として、ぜひ最後までお読みくださいね。
「任せる」を「育てる」に変える3つのステップ
上司が部下に業務を「任せる」ことと、「手放す」ことの区別が曖昧になっているケースがあります。
特に、上司自身が専門外である分野を部下に担当させる場合、

「詳細は専門性の高いあなたに一任しますね。」
という建前のもと、事実上の放置状態に陥るケースも見受けられます。
一方で、業務を依頼された部下は、

「一任って‥‥そんなの丸投げでは?」
「相談しても無駄だな」
上司からの関心が失われたと感じ、孤独感や過度な責任感に苛まれるようになってしまうのです。
上記のケースで再認識すべき点は、任せる対象はあくまで「業務」であり、最終的な「責任」は常に上司に留まり続けるという原則です。
任せ上手な上司は、業務を手放すのではなく、適切な距離感を保ちながら支援を継続する姿勢を持っているのではないでしょうか。
業務を任せる3つのステップ
適度に業務を任せるための具体的な3つのステップを紹介します。
1.状況の可視化
週に1度程度、短時間の進捗確認を行うなど、業務の現在地を共有する仕組みをつくりましょう。
進捗を一緒に確認する姿勢をみせることが重要です。
2.支援を引き出す関わり方の実践
上司側から何か協力できることはあるか問いかけ、部下が相談しやすい雰囲気をつくりましょう。
一緒に考える姿勢を見せることも大切です。
3.結果を成長の機会として振り返る
結果の成否だけでなく、そこに至るまでの工夫や学びを肯定的に評価しましょう。
成果が出たときは賞賛し、うまくいかなかった場合はどんな学びがあったかを振り返るのです。
上記ステップの習慣化で、部下は

「見守られている!」
と安心感を抱き、失敗を恐れずに自律的な挑戦ができるようになります。
部下が安心して挑戦できる関わり方こそが「任せる」を「育てる」に変える関わり方なのではないでしょうか。
思考スタイルにあわせて支援の形を最適化する
人材には一人ひとり判断の基準が存在します。
一律のマネジメント手法では、部下全員の意欲を引き出すことは難しいものです。
「自分なりの判断で進めたい」傾向の人材と、「明確な基準や指示があることで安心する」傾向の人材が存在するからです。
判断の基準については、こちらの記事でも詳しく説明しています。
部下が迷っているとき、「こうすればいい」と答えを与えたくなるのは自然な行為です。特に時間がない場面では効率的に見えますが、日常から正解を示す習慣が続くと、部下が自分で判断する力を失い、組織全体の成長機会を逃すことにつながりかねませ[…]
自身の判断を軸に置く部下に対し、細かな指示を与えすぎると「信頼されていない」という不満をうみかねません。彼らには、

「基本は任せますが、必要なときにはいつでも相談にのりますよ」
と、裁量権を尊重した伝え方が望ましいでしょう。
反対に、周囲の意見や基準を大切にする部下に「自由にやっていい」と突き放すのは、正解のない海に放り出すようなものです。彼らには、

「この資料が参考になりますよ」
「この件については曜日を決めて15分だけ面談しましょう」
など、判断の目安となる資料を提示したり、週に複数回の短い面談を設けたりすることで、安心感を与えることが成長への近道となりますよ。
「任せ方」の3つの工夫
どんな思考スタイルを持った部下にも、現場ですぐに実践できる「任せ方の3つの工夫」を紹介します。
重要なことは、最初に任せ方の希望を確認したうえで、現在の課題を共に解決し伴走していくパートナーとしての立場を示すことです。
上司と部下の信頼関係はより強固なものへと進化させるため、ぜひ実践してみてくださいね。
工夫①:任せ方の希望を確認する

「どんなサポートがあったら進めやすいですか?」
と、任せる前にぜひ聞いてみてください。
自分の判断を重視する傾向が強い人材には基本は任せるとしたうえで、必要なときはいつでも相談して欲しいと伝えましょう。
他者の判断基準を参考に動く傾向が強い人材には判断の基準や資料はこれですと提示し、困ったらすぐに質問するよう伝えるとよいでしょう。
部下は

「自分の考えを尊重してもらえている!」
と感じ、安心して動けるようになりますよ。
工夫②:進捗確認は指導ではなく共有で行う
進捗確認の際は、終わったかどうかの確認ではなく

「今、どのあたりまで進んでいますか?」
「工夫したことはありますか?」
と聞いてみてください。上司が監視するのではなく、伴走しているような印象になりやすいですよ。
また、相手の傾向に合わせて確認する頻度を変えるのも効果的です。
自分の判断で動きたい人材には週1の10分程度の軽いミーティングで十分です。
一方で他者の判断を参考にしたい人材は必要に応じて週2回などの短い間隔で確認タイムを設けてみて下さいね。
工夫③:本人の言葉で振り返る
仕事が終わったあとは、上司が評価を一方的に伝えるのではなく、

「今回1番うまくいったと思うところはどこですか?」
「次に生かしたい点はありますか?」
などと、本人の言葉を引き出してみてください。
自分の判断に動く傾向のある人材は、判断基準を掘り下げていくと、うまくいった方法を別の仕事でも活かしやすくなっていくでしょう。
他者の基準を参考に動く傾向の人材には、次も同じようにうまくできそうな点はあるか聞いてみると、今回の成功をよりよく理解でき、自信につながっていきますよ。
まとめ|部下の成長を促すマネジメントの実践を
部下に仕事を任せる目的は、単なる業務の分担ではなく、部下の成長の支援にあります。
任せるときは、今回ご紹介した
・状況を可視化する
・困りごとを引き出し必要なタイミングで支援をする
・共に振り返る
サイクルを徹底することで、部下は確実に自律的なプロフェッショナルへと育っていきますよ。
また、部下それぞれの判断基準や思考の傾向に寄り添ったコミュニケーションを取り入れることで、結果として部下からの「丸投げ」の不満は消え、管理職自身も本来のミッションに集中できる理想的な体制が実現していきます。
まずは明日、部下に「最近、何か困っていることはない?」と、優しく声をかけることから始めてみてくださいね。
小さな積み重ねが、組織の未来を明るく照らす大きな変化につながりますよ。