

「優秀な若手が突然退職届を出してきた。」
「離職理由は、全員一様に「キャリアアップ」だ。」
組織の将来を担う優秀な若手が、ある日突然「キャリアアップ」を理由に辞意を示してきた。
そんな経験のある管理職や人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
突然の離職の背後には、職場での上司との関係性や、「居心地の悪さ」が隠れているケースが少なくありません。
本記事では
・部下が本音を閉ざしてしまう心理的なメカニズム
・形骸化した「心理的安全性」を脱却する方法
・攻めと守りのバランスが取れた組織を構築する具体的な手法
を紹介いたします。
紹介する手法を実践することで、若手の離職率改善だけでなく、現場のアイデアが自発的に集まる活気ある組織への変革が可能になりますよ。
人材の流出を防ぎ、組織の活力を最大化させるために、ぜひ最後までお読みください。
「静かな拒絶」が部下の無力感を加速させる
部下が新しい提案をした際、即座に

「実現は難しい。」
「前例がない。」
と却下してはいないでしょうか。あるいは、

「厳しく指導するのも期待の裏返しだ」
という大義名分の下、部下の意見を否定し続けてはいないでしょうか。
こうした関わりが続くと、部下は

「何を言っても無駄である」
と学習し、対話を放棄するようになってしまいかねません。
こうした状態は、心理学において「サイレントトリートメント(沈黙の処罰)」や「ガスライティング」といわれる行為で、好ましくない影響を職場に与えかねません。
サイレントトリートメント:
相手に対して意図的に沈黙や無視で反応を拒むことで、心理的に支配・操作しようとする行動
ガスライティング:
相手の感覚や記憶を否定し、混乱させることで支配しようとする心理操作
存在の無視(サイレントトリートメント)や、感覚の否定(ガスライティング)は、人間に強い精神的ダメージを与えるものです。
上司に悪意がなかったとしても、部下の相談に対して

「気にしすぎだ」
「みんな通る道だ」
と安易に片付けることは、部下の抱く違和感や苦しみの否定につながり、深い無力感を植え付けてしまいます。心理学では「学習性無力感」と呼ばれる状態です。
重大なミスだとしても、連絡をしないことが自分を守るための最善策だと部下が学習してしまったとき、信頼関係は静かに崩壊し、離職につながるのです。
心理的安全性を再構築する
近年、注目されている「心理的安全性」ですが、現場では「何をしても怒られない、ぬるい職場」と誤解されているケースが散見されます。
単にミスを許容するだけの環境では、かえって連携不足や無責任な行動を招き、組織の規律を乱しかねません。
本来の心理的安全性とは、成長に必要なチャレンジやミスをオープンに議論でき、必要なときに必要なサポートを得られるという「安心感」と「責任」が両立した状態を指します。
心理的安全性:
チーム内で自分の意見やミスを安心感をもって表明できる状態を指す心理的概念
特に、上司と部下の間で、慎重に物事を進めたい「守り」の思考と、新しいことに挑戦したい「攻め」の思考が衝突すると、心理的安全性のバランスが崩れやすくなります。
思考の傾向のずれを解消し、現場で挑戦を促すために、以下の3つのフェーズで心理的安全性を再構築することが有効です。
- 実験フェーズ
期間、予算、目的を明確に設定し、その範囲内であれば「失敗しても良い」と明言して挑戦を促します。
部下は安心して動け、上司はリスクをマネジメントしやすくなりますよ。
「失敗OK」と明確に言葉にすることで、挑戦する心理的ハードルを意図的に下げるのです。 - 検証フェーズ
実験の結果、どのような成果があり、どのようなリスクが顕在化したかを客観的なデータや周囲のフィードバックを基に分析します。
個人の思い込みを排除し、透明性を持って振り返るプロセスが重要です。 - 展開フェーズ
検証結果に基づき、その手法を組織全体に広げるべきか、あるいは再修正が必要かを判断します。
上記のように心理的安全性を保ったうえで、挑戦のプロセスを明確にすることで、メンバーが安心して仕事に向き合うことができ、挑戦できる土壌が整っていきますよ。
まとめ|個性と強みを活かす組織変革への第一歩
部下の突然の離職を食い止めるためには
・存在や感覚の否定を排除する
・健全な心理的安全性を土台とした挑戦の仕組みを構築する
ことが重要です。
マネジメントの本来の役割は、部下の欠点を直すことだけではなく、一人ひとりの強みや思考の傾向を理解し、その個性を組織の成果へとつなげることではないでしょうか。
今回ご紹介した手法を組織運営に取り入れることで、メンバーが安心して本音を語り、失敗を恐れずに挑戦できる風土が醸成されていきますよ。
結果として、優秀な人材が定着し、変化の激しい市場環境においても力強く成長し続ける組織へと進化を遂げることができるでしょう。
ぜひ、小さな一歩から始めてみてくださいね。