アンコンシャス・バイアスがもたらすマネジメント不全|部下のやる気を奪う無意識の偏りを是正する

上司

「最近の若者は我慢が足りない」

そう思っている管理職の方や、人事担当者の方も少なくないでしょう。過去の経験から物事を瞬時に判断する「無意識な思い込み」をもってしまうのは、人間の特性といえます。しかし無自覚な評価の偏りが、職場での言動として現れた場合、チーム内の他のメンバーの才能を埋もれさせ、チームの成長を止めてしまう恐れがあります。
本記事では、悪気のない評価の偏りを放置する危険な構造と、現状から脱却するための方法について解説します。本記事を読み進めていただくことで、

・自分のもつアンコンシャス・バイアスを理解できる
・自身の行動を冷静に振り返りマネジメントに活かせる

ことが可能になりますよ。ぜひ最後までお読みください。

アンコンシャス・バイアスとは

上司

「最近の若手は忍耐力が足りない」
「主体性がない部下が多い」

人材育成の現場に限らず、若手社員のいる職場で、上記のような言葉を耳にすることはないでしょうか。一見、現場の実感を語っているように聞こえますが、実はこの言葉は若手の成長を止めてしまう場合があります。
「最近の子は我慢強さがない」などの無意識のうちの思い込みをアンコンシャス・バイアスといいます。

アンコンシャス・バイアス:
自分では気づかないまま、無意識の思い込みや偏見によって判断や行動が左右されること。

人間は誰しも、過去の経験や知識に基づいて、無意識のうちに物事を判断する「脳のクセ」を持っています。例えば、

  • 自分に似ている部下を優秀だと思う
     ↔︎ 自分に似ていない部下は優秀でないと思う
  • 意見をはっきりいう人ほど主体的だと感じる
     ↔︎ 意見を言わない人は主体的でないと感じる

など、アンコンシャス・バイアスが原因で根拠のない評価が生まれてしまうことがあります。上司や人事担当者が自身のバイアスに無自覚なまま評価や指導を行うと、部下の本来の能力を見落とし、気づかないうちに部下のモチベーションを著しく低下させてしまう恐れがあります。
無意識の思い込み=アンコンシャス・バイアスを放置していると

・人材育成が形骸化してしまう
・評価の信頼が崩れる
・チームの成長スピードが鈍化してしまう

恐れがあるのです。

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アンコンシャス・バイアスがもたらす、若手が育たない職場

実際に職場で、上司のアンコンシャス・バイアスが部下の成長を阻害してしまった例を紹介します。

慎重に物事を進めたい傾向のある部下が、きちんと確認してから業務に取り掛かろうとしていたとしていた。部下の慎重な確認に対して、スピードを重視する上司は

上司

「また指示待ちをしている」
「主体性がない」

とネガティブな評価を下してしまった。しかし、部下は上司の指示が曖昧で不安を感じており、正確性を期すために情報を整理しているだけで、決して指示待ち状態の多い主体性がない部下というわけではなかった。

1on1を行ったとき上司は、積極的に話す部下はよく話してくれて積極的な姿勢があるだと感じる一方、控えめな部下にはやる気がないように感じてしまう。
しかし控えめな部下は単に静かな傾向があるだけで、活発ではないが慎重に動く傾向が強いだけであった。

上記のように、上司自身の価値観のみで部下を判断すると、部下の多様な才能が埋もれやすく、上司の評価に対する信頼が揺らぎかねません
結果として、組織全体のエンゲージメントが低下し、若手が育たない職場が形成されてしまう恐れがあります。

マネジメントの現場で起こりやすい3つの代表的バイアス

人事評価や日常のマネジメントで、特に注意が必要な代表的な3つのバイアスを紹介します。

  1. 親近効果バイアス
    自分と共通点がある相手や、自分と似た行動特性を持つ相手に対して、無条件に好感や信頼を抱いてしまう心理。脳が「自分と同じ=安心・信頼できる」と感じる同一化反応のこと。
  2. 確証バイアス
    一度「できない」と思い込むと、「できない」理由や仮説を裏付ける情報ばかりを無意識に集めてしまう心理。「自分の判断は正しい」と思いたい心理的防衛本能といえる。
  3. ステレオタイプ・バイアス
    「若手は根性がない」「女性はリーダー向きではない」などの思い込み。脳が過去のパターンや一般的なイメージに当てはめ、早く結論を出そうとする「省エネ思考」の一種。

人のキャリアや人生を左右する立場にあるリーダー層の皆様は特に、アンコンシャス・バイアスがチームの停滞を招く要因の一つになることを認識しておいた方がよいでしょう。

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アンコンシャス・バイアスが原因で起きる職場の不和を防ぐ方法

実際にアンコンシャス・バイアスが原因で起きてしまう職場でのトラブルを防ぐ方法を紹介します。

  1. バイアスに気づく
    自分が持っているバイアスを書き出して、常に様々な場面で「バイアスがかかっていないか」を見直しましょう。バイアスがかかっている瞬間に見抜くのは難しいものの、後から行動を見直して当てはまる部分があれば、自分のバイアスに気づきやすくなるでしょう。
  2. 立ち止まって考える
    プロジェクトの前後や部下との会話の前後で、自分のもっているバイアスを立ち止まって考え、自分の行動を見直すことも大切です。
  3. 多様な視点を取り入れ
    「自分はこう思うけど、他の方はどうか?」と考えて自分自身を客観視することもおすすめです。

しかし、バイアスは無意識に行われている判断であり、自分自身だけで気づくことには限界があります。そこで重要になるのが、自分の判断のクセを可視化するアプローチです。

例えば、iWAM(アイワム)のような認識スタイルを分析するツールを活用すると、自分が仕事において何を重視し、何を無視しやすいかの傾向を客観的なデータとして把握できます

上司

「自分は全体像を重視する傾向が強いから、詳細を気にする部下にイライラしやすいのだ。」

などの自己認識があれば、感情的な評価を避け、一歩引いた冷静なマネジメントが可能になりますよ。

まとめ

アンコンシャス・バイアスは、誰にでも存在します。重要なのは、アンコンシャス・バイアスをなくそうとすることではなく、「自分にもアンコンシャス・バイアスがあるかもしれない」という前提に立ち、自分の判断のクセを理解しようとする姿勢です。リーダーが自己認識を深め、冷静な振り返りを行うことは、公正な評価と心理的安全性の高い組織づくりへの第一歩となります。
ぜひ「自分の当たり前」が「部下の当たり前」ではないという視点を持ち、ご自身のマネジメントスタイルを客観的に見つめ直すことから始めてみてくださいね。

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