

「部下からの相談に取り合っている時間はない。」
日々の業務に追われるなかで、部下からの相談を後回しにしてしまった経験はないでしょうか。
あるいは、気づいたときには優秀な人材が手紙一通を残して職場を去っていた、という苦い経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
人事担当者や経営幹部の皆様にとって、組織の離職率低下とエンゲージメント向上は常に重要な課題です。本記事では、
・上司が業務の優先順位をミスしてしまう心理的背景
・部下からの信頼を取り戻すための具体的な解決策
ご紹介します。実践することで、組織内の信頼関係が再構築され、人材一人ひとりが自発的に動く強いチームへと進化するきっかけを掴めるはずです。
ぜひ最後までお読みくださいね。
業務の優先順位をミスしてしまう心理的背景
多くの上司の方が、重要だと理解しているはずの仕事を後回しにしてしまっている現実があります。
特に、部下とのコミュニケーションや育成などの「人」に関わる時間は、目に見える成果がすぐに出にくいため、つい優先順位が下がってしまいがちですよね。
重要だと理解していても後回しにしてしまうのには、2つの心理的な要因が関係しています。
達成感バイアスの影響
人間は、短時間で終わるタスクを完了させることに快感を覚える「達成感バイアス」をもっています。
達成感バイアスそのものが悪いわけではありません。
しかし、すぐに終わるタスクばかりを優先してしまうと、コミュニケーションなど人間関係への投資が削られてしまうことが多く、結果として部下が

「上司が話を聞いてくれない。」
「信頼されていない。」
と感じてしまうケースがあるのです。
責任感の罠
責任感の強い上司ほど、顧客からの依頼や突発的なトラブルなど、すべての業務を緊急かつ重要だと捉えてしまいがちです。
しかし、物理的な時間は限られており、何でも受け入れてしまう姿勢も、大切な人間関係への投資を削ることにつながりかねないのです。
優先順位を整理し、信頼につなげる
優先順位を整理するための有効な手法として、アメリカのアイゼンハワー大統領が用いていたとされる「緊急度×重要度マトリクス」があります。
業務を以下の四つの領域に分類する考え方です。
- 第一領域(緊急かつ重要): クレーム対応、期限直前の案件 など
- 第二領域(緊急だが重要ではない): 突発的な会議、過剰な報告書の作成 など
- 第三領域(重要だが緊急ではない): 部下との対話、業務の仕組みの改善 など
- 第四領域(緊急でも重要でもない): 過度なSNSチェック、惰性のルーティン など
組織の成長において鍵となるのは「第三領域(重要だが緊急ではない)」です。
緊急性は高くない一方で重要である第三領域は「結果を生む未来型の仕事」の領域であり、信頼と成果の源泉となります。
しかし、緊急性がないために、意識的に時間を確保しなければ第一領域や第二領域に押し流されてしまうのです。
「時間が空いたら部下と話そう」ではなく、最初から「毎週木曜の15時は部下との対話時間」としてスケジュールをブロックする意思が、上司には求められるのではないでしょうか。
現場でよくある優先順位のズレとして、
- 部下から上司への報告書づくりに時間をかけすぎている
- トラブル対応で1日が終わる
などがあります。
どちらも上司としては、部下の成長を促したり、業務を手助けしたりしていると感じがちですが、結果として部下とのコミュニケーションの時間を失い、信頼を失っているとも捉えられます。
優先順位のズレは、怠慢ではなく誠実の方向性のミスなのです。
「iWAM(アイワム)」から紐解く優先順位の付け方のクセ
優先順位の付け方には、個人の思考や行動のクセも影響します。
「iWAM(アイワム)」というアセスメントを用いると、仕事における思考や行動のクセ=認識スタイルを可視化することが可能になります。
仕事における優先順位の付け方には「目的志向型」と「問題思考・回避型」の二つの傾向があります。
「目的志向型」の傾向が強い方は、理想のゴールや目的に焦点を当てるため、比較的「第三領域」の重要性を理解し、取り組もうとする姿勢がみられます。
一方で、「問題思考・回避型」の傾向が強い方は、リスクや問題を発見して解決することに意識が向きやすいです。
目の前のトラブル対応(第一領域)に全力を注ぎやすく、長期的な「再発防止策を練る」という重要な時間を確保しづらい傾向があります。トラブルが一段落したあとに「再発防止の仕組み化のためのミーティング」をセットするなど、意識的に「重要事項」へ意識を向ける工夫が大切です。
どちらが良い・悪いではなく、自身や部下の傾向を知り、対策することが重要です。
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まとめ|優先順位とは信頼の管理である
優先順位を付けることは、単なるタスク管理の技術ではなく、組織における「信頼の管理」そのものです。

「この上司は忙しいなかでも、自分のために時間を割いて話を聞こうとしてくれている!」
と部下が感じたとき、組織の心理的安全性が高まり、離職のリスクは大幅に軽減されます。
部下とのコミュニケーションの小さな積み重ねが、将来的に大きなトラブルを未然に防ぎ、チームの自律性を育みます。
本記事で紹介した
・「緊急度×重要度マトリクス」の活用
・自身や部下の認識スタイルの理解
の実践で、「緊急度」ではなく「重要度」で時間を使う、真の信頼を生むマネジメントを行っていただければ、これほど嬉しいことはありません。