

「なぜ、言われたことしかやらないのか」
「もっと自分で考えて動いてほしい」
指示待ちの若手を前に、もどかしさをを感じている経営幹部や管理職の方は少なくないでしょう。
指示を出しても期待通りに動かない部下を見ると、どうしても「本人の能力不足」や「やる気の欠如」を疑ってしまいがちです。しかし、若手は決して「考えていない」わけではありません。上司からの指示に曖昧さを感じ、

「何を基準に判断すれば良いのか」
「失敗して評価を下げるのが怖い」
などの不安をおぼえ、考えすぎて動けなくなっているケースもあるのです。
若手が自ら考え自律的に行動するためには、根性論ではなく「判断の物差し」が必要です。本記事では、
・若手が「指示待ち」になってしまう理由
・若手が自律的に動けるようになるための判断基準」の設計
について解説します。曖昧な指示を明確な基準に変えるだけで、部下の迷いを断ち切り、心理的安全性の向上、そして組織の生産性とエンゲージメントの向上につながりますよ。ぜひ最後までお読みください。
若手が「指示待ち」になってしまう理由
上司が何気なく口にする「自分で考えて動いて」という言葉。上司にとっては「裁量を与えている」つもりでも、判断基準を持たない部下にとっては

「どうやって考えたら良いのかわからない」
「動き方は教わっていても、考え方については教わっていない」
と不安と恐怖を抱えてしまいかねません。
判断基準が不明確な状態で考えるように言われても、部下は正解のない問いに悩み続け、失敗を恐れて行動できなくなってしまうだけでなく、上司の顔色を伺って無難な選択しかしなくなってしまうことももちろんあります。
特に、キャリアや自己成長を重視するZ世代にとって、成長の座標軸が見えない環境は、組織への不信感につながりかねません。
世代間ギャップやZ世代の特徴についてはぜひこちらの記事もご参照ください。
「若手の考えが理解できない。」「気弱な若手とどう付き合えばいいかわからない。」こんなお悩みを、現場の管理職層の方からよく伺います。団塊の世代、X世代、ミレニアル世代、そしてZ世代といった異なる世代が同時に働いている[…]
「Z世代は何を考えているのかよくわからない。」「注意をしただけなのに、Z世代からハラスメントといわれた。」Z世代(1997年頃以降の生まれ)が次々と参入する現代の職場。彼らはデジタルネイティブとして育ち、これまでの世代とは[…]
「Z世代はすぐに帰ろうとする。」「Z世代がなんでもチャットで連絡してくる。」Z世代の存在感がますます高まる現代の職場。Z世代は1997年頃以降に生まれ、インターネットやスマートフォンなどのデジタル技術とともに育った「デジタ[…]
自律型人材を育てるための判断基準の設計
指示をされても動けない若手のなかには、業務のゴールと許容範囲が曖昧になっているケースが多く見受けられます。若手が安心して自律的に行動するための3つのステップを解説します。
ステップ1:基準の「見える化」と「線引き」
まず、曖昧な期待値を具体的な数値や状態で定義します。
- 「迅速に対応して」ではなく、「顧客からの問い合わせには1時間以内に一次返信をする」
- 「質の高い資料」ではなく、「結論から始まり、データによる根拠が3つ以上ある資料」
などです。
量、質、期限、時間などで明確な線引きを行うことで、部下は

「この仕事はここまでやればOK」
「この業務はこれ以下はNG」
などの判断軸を持つことができ、迷う時間を削減できます。上記と合わせて「なぜその基準なのか」という意図もセットで伝えることで、納得感はさらに高まりますよ。
部下が自分で安心して判断できることは、職場の心理的安全性の向上に直結します。
ステップ2:「行動の答え合わせ」の仕組み化
基準を示すだけでなく、部下が実際に動いてみた結果、その判断が正しかったのかを確認するフィードバックの場が必要です。おすすめは週に1回10分程度で良いので、上司と部下で「あのときの判断は基準に照らしてどうだったか」を振り返る時間を設け、定期的に続けていくこと(経験学習モデルを回すこと)です。
定期的な答え合わせを通じて軌道修正を行うことで、部下は

「あのときの自分の判断は間違っていなかった!」
と自信を積み重ね、次からは一人で決断できるようになっていきます。
ステップ3:若手を「基準の作り手」に巻き込む
最終段階は、与えられた基準を守るだけでなく、基準そのものを進化させるフェーズへ移行させます。

「今の基準は現場の実態に合っていますか?」
「もっと成果が出る新しい基準はありますか?」
と問いかけ、部下に改善案を出してもらいます。月1回程度、基準を見直す場を設けるのも効果的です。部下自身が基準のつくり手になっていけば、次の動きにつなげやすく、いずれ自律的な動きに変わっていくでしょう。
まとめ|判断基準を設け、部下の心理的安全性につなげる
「部下が自分で考えて動けない」という現象は、部下の能力不足ではなく、組織の構造的な課題です。上司が担う役割は、叱咤激励ではなく、部下が安心して行動するための基準を設けることなのではないでしょうか。
・基準の「見える化」と「線引き」
・「行動の答え合わせ」の仕組み化
・若手を「基準の創り手」に巻き込む
紹介した3ステップの実践で、若手の判断の迷いは消え、心理的安全性が担保されていきます。それはつまり組織全体の生産性とエンゲージメントの向上につながるでしょう。
まずは明日、部下に任せている仕事の一つについて、基準の見える化を決めることから始めてみてはいかがでしょうか。透明な基準こそが、若手が自律的に動くように変わっていく鍵となるでしょう。