

「問題解決のため、改善を積み重ねなくては」
多くの組織で改善活動が行われていますが、改革のつもりが混乱を生み、成果につながらないケースも見られます。
順調だった部署に新システムを導入した結果、生産性が落ちてしまった例や、良質だった研修を効率化したところ満足度が下がった例など、現場では「改善疲れ」が起きることもあります。
本記事では、改善が逆効果になりやすい理由と、改善の良し悪しを判断する3つの原則、さらに一人ひとりの思考スタイルに応じた改善の進め方を整理しています。
読み進めていただくことで、
- 改善すべき場面と現状維持が適切な場面を判断できる
- 不必要な改革を避け、現場の強みを守りながら改善を進められる
- 思考スタイルに合わせた関わり方で改善への抵抗を減らせる
ようになりますよ。改善活動をより確実に進めたい管理職の方に役立つ内容です。
ぜひ最後までお読みください。
改善が逆効果になる理由|「改善=善」という思い込み
改善を進める立場にある管理職ほど「変えれば良くなるはず」と考えがちですが、当然現場では抵抗感が生まれることがあります。
ある製造部門では、新しい管理システムへ切り替える際、ベテランが慣れるまでに時間がかかり、不良率が上昇した例がありました。
若手との習熟度にも差が生まれ、作業の空気が悪くなった。
営業部門では、安定していたチームに新手法を導入したところ、逆に数字が落ちてしまった。
などの例もあります。
問題の背景には、改善バイアスと呼ばれる変化を起こさなければならない、改善しなければ仕事をしていないように感じるといった間違った心理があります。
改善バイアス:
問題がなくても改善を求めてしまう心理傾向。結果的に良好な部分まで変えてしまい、現場の生産性や士気を下げるリスクがある。
改善を成功に導く「改善の3原則」
必要な改善活動を整理するうえで役立つのが、ソリューションフォーカストアプローチを基盤にした「改善の3原則」です。
この原則では、問題の原因よりも、うまくいっている部分を活かす姿勢を重視しています。
第1原則:壊れていない取り組みは維持する
成果が安定している取り組みには、不要な手を加えない姿勢を持つことが大切です。
第2原則:うまくいった経験がある場合は再現する
過去の成功パターンは積極的に再利用し、仕組み化して広げます。
第3原則:成果が出ていない場合はまったく違う方法を試す
何度続けても結果が変わらない場合は、新しいアプローチに切り替える判断が必要です
判断の3原則の使い分け方としては、まずは現状の分析シートを作成し
KPIが達成できている YES→第1原則を活用
NO↓
過去に成功事例がある YES→第2原則を活用
NO↓
現在の方法で改善の見込みがある NO→第3原則を活用
と判断してみてください。
すべての原則を活用する必要はもちろんなく、まずは現状を冷静に分析し改善が必要かどうか、および必要ならどのように改善するべきか、を考えてみてくださいね。
・すべてを改善する必要はない
・3つの原則を状況に応じて使い分ける
・現状分析が改善判断の出発点
ソリューションフォーカストアプローチについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてぜひお読みください。
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改善への感じ方は思考スタイルによって違いがある
改善活動に対する捉え方は人によって異なり、心理学では変化への対応スタイルとして整理されています。
代表的な3つの傾向は次のとおりです。
同一性を重視する傾向(同一性重視)
安定や現状維持を大切にするタイプで、大きな変化には慎重です。
→ 第1原則が適合しやすい傾向があります。

「このやり方の良さを守りながら、必要最小限の調整をしましょう。」
と改善を提案すると受け入れやすいケースが多いです。
進展を重視する傾向(進展重視)
段階的な改善を求めるタイプで、過去の成功例を基準に「もう少し良くする」思考を取ります。
→ 第2原則との相性が良いと言われます。

「この前はこの方法で成功したから、段階的に改善していきましょう。」
と提案してみてください。
相違を重視する傾向(相違重視)
革新的な変化を求め、現状を一新する発想を好みます。
→ 第3原則が効果的に働きます。

「思い切って新しい方法を試してみましょう!」
と提案すると、一気に改善が進みますよ。
部下に改善を求めた際、どんな反応をするかでぜひ傾向を見極めてくださいね。
- 「現状で問題ない」と語る場合は同一性重視
- 「少し変えれば良くなる」と語る場合は進展重視
- 「一度すべて見直したい」と語る場合は相違重視
と考えると判断しやすいです。
一つの問題の改善でも、一律の進め方では抵抗が生まれやすいものです。
思考スタイルに合わせてアプローチを変えることが、改善活動を円滑に進める鍵になりますよ。
そして多様な思考スタイルを受け入れる組織こそ、VUCAの時代を生き抜ける強い組織なのではないでしょうか。
・人によって変化への対応スタイルが違う
・それぞれに適した改善原則がある
・ チーム全体では多様性を活かした配置が重要
まとめ──“選択する改善”が組織の強さをつくる
改善活動を効果的に進めるためには、改革そのものを目的化せず、状況と人に応じて選択的に取り組む姿勢が欠かせません。
- 「改善の3原則」を判断基準として活用する
- 個々の思考スタイルに合わせて改善アプローチを調整する
「3つの原則」をおさえることで、変えなくてよい部分と変えるべき部分が明確になります。まずは現状分析を冷静に行なってくださいね。
また、改善への向き合い方は人材によって異なります。
それぞれの特性に即した関わり方を選ぶことで、抵抗を生みにくく、前向きに改善を進めやすくなりますよ。
まずは現在の取り組みを3原則に照らして整理し、メンバーそれぞれの思考スタイルを観察するところから取り組んでみてくださいね。
改善の質が高まり、組織全体の成果にも良い影響が生まれていきますよ。
エナジーソースでは、組織の成長を支援しています。
部下育成にお悩みの方や組織改善を目指している方は、どうぞお気軽にご相談くださいね。