
組織運営に携わる人事担当者や経営幹部の方、上司やリーダーの方より、

「行動が早すぎる部下」と「なかなか動けない部下」をどうマネジメントすべきか
という悩みをよく伺います。
いずれの特性も組織にとって必要でありながら、同じチームに配置されたとき、しばしば衝突や摩擦を生んでしまいますよね。
本記事では、行動派と慎重派の2つの行動特性を単なる性格の違いとして片づけるのではなく、組織の資源としてどう活かすかを考えます。
・すぐ動く部下の特性理解と育成
・慎重に考える部下の特性理解と育成
・両者を補完的に活用するチーム編成の工夫
の3点から解説いたします。
「できそう」と思える小さな工夫を紹介します。ぜひ最後までお読みくださいね。
すぐ動く部下の特性と育成のポイント
「すぐ動く」タイプの人材は、会議で決定したことをその日のうちに実行に移すほどのスピード感を持っています。
机上で長く検討するよりも、実際に動きながら学びを得るスタイルであり、現代の不確実なビジネス環境においては大きな推進力となる存在です。
ただし、行動派のすぐ動く特性が組織の仕組みやルールと噛み合わない場合、独断専行や手戻りの多さにつながりかねません。
そのため、行動を抑制するのではなく「行動の質を高める」工夫が必要な人材ともいえます。
高い質で行動していける人材を育てるためには、具体的には以下のようなアプローチが有効ですよ。
- 短い内省の習慣づけ
「30秒ルール」として、行動の前に「誰にどのような影響があるか」を考える時間を設けてみましょう。
30秒だけなら、待ってもらえる可能性が高いですよ。 - 失敗を学習機会として扱う
新しい挑戦による失敗は責めず、学びとして共有する文化を整えましょう。
「新しいことにチャレンジした結果の失敗」と「確認不足による失敗」を見極め、チャレンジの結果の失敗についてはどんどん褒め、学びとしていきましょう。 - 報告のタイミングを事前に決める
どんどん進んでいくタイプの人材には、あらかじめ報告時期のルールを決めましょう。
上司やリーダーも間違った方向に進んでいないか確認がしやすくなります。 - エネルギーの方向付け
すぐ動くタイプの人材はエネルギーが高い傾向にあります。
彼らのエネルギーを建設的な方向にあらかじめ設定することで、「やりすぎ」や失敗を防ぎやすくなりますよ。 - 成功体験の言語化を促す
成功した理由を振り返り、言語化してもらうようにしましょう。
「なんとなくうまく行った」ではなく、再現性ある成功へ昇華させることができますよ。
ぜひ上記の5つのポイントを念頭におき、関わってみてくださいね。
行動派の主体的な行動力はそのままに、組織のリスクをおさえた育成が可能になりますよ。
慎重に考える部下の特性と育成のポイント
すぐ動くタイプの人材がいる一方で、慎重に考えなかなか動けないタイプの人材は、周囲からは「動きが遅い」と見られがちです。
しかし、実際には複数のリスクを分析し、抜け漏れのない計画を立てようとしているものです。
品質や安全性が重視される領域では欠かせない存在であり、組織の安定を支える力といえますね。
ただし変化の速い環境では、慎重さがスピード不足と受け止められ、機会損失を生むこともあります。
慎重派の人材の分析力を活かしながら、すばやく次の行動につなげるアプローチを紹介します。
- 70%ルール
完璧を求める前に7割の完成度で一度アウトプットすることをルールにしましょう。
70%でも悪くない仕上がりであることも多いものですよ。 - デッドラインを細分化する
大きな締め切りを週ごとなどのマイルストーンに分け、進捗を明確化していきましょう。 - 思考を可視化する
頭のなかの分析を簡潔に共有することをルールにしましょう。
上司やリーダーだけでなく、周囲のチームメンバーなどにも「進んでいる」という安心感をもたらすことができますよ。 - 実験的アプローチの導入
「これはテストである」と明確化し、失敗への恐怖を下げて一歩を踏み出せる環境をつくりましょう。
「テストだから失敗しても大丈夫」と思ってもらえることで心理的安全性の確保につながります。 - 成功の定義を広げる
段階的評価を導入してみてください。
「情報収集ができたら成功」、「仮説を立てたら成功」のように、「完璧以外は失敗」では決してないことを明確に示すことで、慎重派の人材でも動きやすくなりますよ。
いろいろなアプローチを試していくことで、慎重派も小さな成功を積み重ねながら自信を持ち、より行動的に変化していきますよ。
心理的安全についてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてぜひお読みください。
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行動派と慎重派の両者を活かしたチーム編成
すぐ動く行動派と、じっくり考える慎重派。
この2タイプがチームにいた場合のポイントは、異なる特性を対立構造として扱うのではなく、補完関係として活かすことにあります。
例えば、
新規プロジェクトの立ち上げ期には「すぐ動く」人材に初期の試行を任せ、アイデアを素早く形にする。
一方で、事業が本格化する段階では「慎重派」にリスク管理や詳細設計を担ってもらう。
など、両者を補完関係として活かし合う構造にするのです。
さらに重要なのは、両者を段階的に交代させるのではなく、最初から協働させることです。
もちろん補完しあうプロセスだと摩擦が生じることもあります。
しかし上司やリーダーが両者の意見を橋渡ししながら統合していくことで、むしろ健全な議論が生まれ、結果として高い成果につながりますよ。
多様な思考スタイルを「資産」として扱う姿勢が、変化の激しい環境を生き抜く鍵となるのです。
まとめ
「すぐ動く部下」と「慎重に考える部下」。
一見すると相反するように見える2つの特性ですが、上司やリーダーのマネジメント次第で強力な補完関係となります。
重要なのは、どちらかを正しいと決めつけることではなく、それぞれの強みを理解し、適切な育成と配置を行うことです。
人事担当者や経営幹部に求められるのは、行動特性の違いを弱点ではなく資源と捉える視点です。
共通の目標を設定し、相互リスペクトの文化を整えることで、異なる特性を持つ人材が補い合うチームが生まれますよ。
違いを活かし合える組織こそ、変化に対応し続ける持続的な競争力を発揮できるのではないでしょうか。
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部下育成にお悩みの方や組織改善を目指している方は、どうぞお気軽にご相談くださいね。