

「管理職をやりたがらない中堅が多すぎる」
「優秀な部下に管理職昇進を打診したら、辞退された」
人事担当者の方や経営幹部の方であれば、上記のような状況に直面した経験があるかもしれません。
本記事では、管理職が「罰ゲーム」と捉えられやすくなった背景を整理し、
・優秀な人材が安心して力を発揮できる育成・配置の考え方
・管理職も専門職も輝ける新しい人材育成戦略
を紹介します。
管理職の負担を軽減しつつ、専門性も活かせる組織づくりのヒントとしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
「全員幹部候補」という育成思想が生むひずみ
日本企業では長年、「新卒は全員幹部候補」という育成思想が主流でした。
2-3年ごとのジョブローテーションを通じて営業・人事・経理などを幅広く経験させ、誰にでも管理職への道が開かれているという考え方です。
一見すると公平で理想的な制度に見えますが、専門性もマネジメント力も中途半端な状態で年次だけが進み、管理職になった途端に責任だけが重くなってしまうケースも少なくありません。
プレイヤーとして成果を上げてきた人材が、管理職に昇進した。
しかし、十分な準備や専門教育を受けないまま管理職になった結果、部下育成、評価、予算管理、労務対応といった業務を同時に背負い、メンタルダウンしてしまった。
上記のような例は、皆様も耳にしたことがあるのではないでしょうか。
結果として、責任だけが重くのしかかる管理職を「罰ゲーム」と感じる認識が広がり、若手の間でも昇進を避ける意識が強まってしまう場合があるのです。
管理職と専門職を分ける「複線型キャリア」の必要性
管理職が「罰ゲーム」と考えられてしまう課題への対応策の1つが、管理職と専門職を対等に位置づける複線型キャリアの設計です。
30歳前後で「マネジメントコース」と「スペシャリストコース」の2つの道を用意するのです。
- マネジメントコース
部下を持って組織を動かしていく道 - スペシャリストコース
技術や知識を極めていく専門家の道
重要なのは、マネジメントコースもスペシャリストコースもどちらも組織にとって欠かせない役割であり、報酬や評価の面でも同等に扱う姿勢です。
管理職だけが「正解のキャリア」ではないというメッセージを、制度と運用の両面で示すことが大切ですよ。
思考スタイルに応じた「複線型キャリアパス」が組織を強くする
人にはそれぞれ、物事の捉え方や考え方の違いがあります。
組織全体を俯瞰し、調整や意思決定に力を発揮する人材もいれば、一つの分野を深く掘り下げることで価値を生み出す人材もいます。
すべての人を同じ方向へ導こうとすると、適性と役割のミスマッチが起こりやすくなるものです。
その結果、本人の強みが発揮されず、管理職も専門職も疲弊する構造が生まれてしまうのです。
- 影響力を発揮したい人材にはマネジメントとして管理職を任せる。
- 一つのことをじっくり考え深めていく傾向のある人材には、エキスパート職として専門領域の裁量を与える。
上記のように、人材一人ひとりの思考スタイルにあわせ、管理職と専門職を選択できる複線型のキャリア設計を導入することで、人材のやる気が自然と引き出され、人材育成の精度を高める入口となりますよ。
「複線型キャリアパス」導入のポイント
・管理職とエキスパート職を同等の待遇にする
・それぞれに明確な評価基準と成長ステップを用意する
・相互転換も可能にして、柔軟性を持たせる
まとめ|管理職と専門職が共に活きる組織へ
管理職が「罰ゲーム」と捉えられる背景には、全員を同じ育成ルートに乗せてきた日本企業特有の構造があります。
人材一人ひとりの思考スタイルを尊重した「複線型キャリアパス」により、管理職も専門職も輝ける組織をつくることができますよ。
人材育成で大切なのは、人材一人ひとりの思考スタイルをしっかりと見極め、それぞれが活躍できる場をつくることです。
ぜひ明日、「マネジメントとエキスパート、どちらに関心がありますか?」と部下一人ひとりに問いかけてみてください。
その質問が組織改革と人材定着の第一歩になりますよ。