原因追及が人を動かさない理由|ソリューションフォーカストアプローチで改善行動を引き出す

上司

「なぜ原因追及だけでは人が動かないのか?」

と悩む上司の方も多いのではないでしょうか。ミスが起きるたびに

上司

「なぜこうなった?」
「なぜ確認しなかった?」

と問い詰めても、部下の表情が固くなり、行動が変わらない経験は、皆様一度はお持ちかもしれません。
本記事では、原因追及一辺倒になったマネジメントから一歩抜け出し、部下の主体性を引き出しながら行動変容を促すための関わり方を整理しています。
読んでいただくことで

  • ミスが起きた場面で、部下を責めずに改善行動を引き出す問いかけのヒントが得られる
  • 若手が萎縮せず、早めに報告や相談をしやすい関係づくりの視点が得られる
  • 相手の思考スタイルに合わせて、最適なアプローチを選ぶ感覚がつかめる

ようになりますよ。日々の1on1や面談、会議の場面にもすぐに応用しやすい内容です。
ぜひ最後までお読みください。

原因追及が人を動かさない理由

若手がミスをしたとき、上司が面談の場で

上司

「なぜこうなった?」
「なぜ確認しなかった?」
「なぜ報告しなかった?」

と「なぜ」を三回続けて問いただしました。翌日から彼は出社しなくなってしまったそうです。
原因を明確にして再発を防ぎたい思いは、多くの上司や管理職と共通しているでしょう。実際、製造業では「なぜなぜ分析」が品質向上に大きく貢献してきました。

しかし、人材に対して問題への原因追及と同じ感覚で「なぜ?」を連発すると、受け手は「責められている」「責任を追及されている」と感じやすくなります
営業成績が伸び悩んでいる部下に「なぜ契約が取れない?」と聞いたときに、

部下

「市場環境が悪くて…」
「競合が強くて…」

といった言い訳に近い答えが返ってきて、話が前に進まない場面も起こりがちです。
原因を掘り下げるつもりが、結果として部下の「防御モード」を強めてしまい、挑戦や報告そのものを避ける方向に働いてしまうことがあるのが難しいところです。

上司が持つべき3つのアプローチ

管理職である上司は、無意識のうちに「理由を探す聞き方」に偏りやすいと言われます。
そこで役立つのが、3つのアプローチを道具箱として意識する考え方です。

道具1.「ルーペ」(原因追及型)

1つ目は「ルーペ」です。細かな原因まで拡大して見つける原因追及型のアプローチです。
システム不具合や機械故障、コンプライアンス違反、安全に関わる事故などでは不可欠な関わり方といえます。

道具2.「望遠鏡」(成功追及型)

2つ目は「望遠鏡」です。理想的な未来や成功イメージを大きく描かせる成功追求型のアプローチです。
営業成績の向上、新商品企画、チームビルディングのように、未来志向で考えたい場面で力を発揮します。

道具3.「ゴミ箱」(問題無視型)

3つ目は「ゴミ箱」です。あえて問題を脇に置き、深入りしない問題無視型のアプローチです。
一時的な感情的対立や、優先度の低い些細なミスなど、すべてに踏み込まない方が良いケースもあります。

日本企業では、伝統的に「ルーペ=原因追及型」に偏りやすい文化が形成されてきました。
一方で、若手や多様な人材が増えるなかで、ルーペだけでは人が前向きに動きにくい場面も確実に増えています。

ここで有効になるのが、問題の原因よりも「望ましい未来」と「うまくいく例外」に光を当てるソリューションフォーカストアプローチです。

ソリューションフォーカストアプローチの実践ステップ

ソリューションフォーカストアプローチとは、問題の原因を徹底的に掘り下げるのではなく、「これからどうしたいか」「何がうまくいきそうか」に焦点を当てる関わり方です。

例えば、営業で失注した若手に対して、次のようなステップで問いかけます。

ステップ1:未来に視点を向ける問い

上司

「次に似たような案件があったとき、どんなアプローチを試してみたい?」

ステップ2:うまくいった経験を掘り起こす問い

上司

「これまでにうまく契約につながったときは、どんな点が今回と違っていた?」

ステップ3:理想のイメージを一緒に描く問い

上司

「理想的な結果になっているとしたら、顧客との会話や提案の流れはどんな状態になっている?」

上記の流れを踏むと、部下は「どこが悪かったか」より「どうすればうまくいくか」に意識が向きやすくなります。
さらに、部下は問われることで自分なりの改善策を考え始めるため、行動変容につながりやすくなります

もちろん、すべての場面で原因分析を手放すわけではありません。事故や法令違反など、原因の究明が不可欠なテーマもあります。
大切なのは、「ルーペ」・「望遠鏡」・「ゴミ箱」の3つの道具を「場面に応じて使い分ける」ことです。

ソリューションフォーカストアプローチを取り入れた企業のなかには、心理社会的な問題の改善、ヒヤリハット報告の増加、小さなミスの早期相談の活性化などの変化が生まれた事例も報告されています。
「報告しても責められない」という心理的安全性の確保が、現場からの情報量を増やしていきますよ。

ソリューションフォーカストアプローチについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてぜひお読みくださいね。

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思考スタイルに応じてアプローチを変える

同じアプローチでも、相手の思考スタイルによって効果は変わります。
ここでは、目的志向問題回避志向の2つの傾向がヒントになります。

目的に向かって進みたいタイプ(目的志向)への関わり方

新しいプロジェクトの話をした際に、「このプロジェクトで何を実現できるか?」と可能性を語り始める人は、目的に向かって進もうとする傾向が強いと言われます。
目的志向のタイプの部下には、望遠鏡を活かした未来や成功イメージをもてる問いかけが有効です。

上司

「このプロジェクトで、一番実現したいことは何?」
「それが実現したとき、チームや顧客にどんな良い影響が出そう?」

目指したい未来を一緒に描いていきましょう。

問題を避けたいタイプへ(問題回避志向)への関わり方

目的志向の人材がいる一方で、「リスクは何か」「どこが問題になりそうか」を真っ先に考える人材もいます。
問題回避志向タイプの部下には、まずルーペで不安やリスクに丁寧に光を当てると安心しやすくなります。

上司

「この計画で、特に気になっているリスクはどこ?」
「そのリスクを防ぐために、どんな対策が必要だと思う?」

といった問いを通じて不安を言語化し、そのうえで

上司

「対策がうまく機能したとしたら、どんな成果が期待できる?」

と未来につなげてみてください。

大切なのは、相手の思考スタイルを観察し入り口の問いを変えながら、最終的には未来志向の行動へ橋渡しすることです。
相手の思考スタイルについてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。

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まとめ|原因追及から未来志向の対話へ

原因追及ばかりをするマネジメントから、部下の主体性を引き出しながら行動変容を促すためのポイントを解説してきました。

  1. 上司は「原因追及・成功追求・問題無視」という3つのアプローチを持っており、場面に応じた使い分けが重要である。
  2. ソリューションフォーカストアプローチ=未来志向の対話を取り入れることで、主体的な改善行動が生まれやすくなる。
  3. 目的志向と問題回避志向の思考スタイルを踏まえ、相手に合った問いの入り口を選ぶことで、よりスムーズに前向きな行動へつなげやすくなる。

こうした視点を日々のマネジメントに取り入れていただくことで、
ミスやトラブルを「責任追及のきっかけ」ではなく、「成長と改善の出発点」として扱える組織に近づいていくはずです。
明日から、部下がミスをした場面で、あえて一呼吸おき、まずは

上司

「次はどうしたらうまくいくと思う?」

と問いかけてみてくださいね。小さな問いの変化が、チームの空気と行動を少しずつ変えていくきっかけになりますよ。

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部下育成にお悩みの方や組織改善を目指している方は、どうぞお気軽にご相談くださいね。

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