

「誤りを指摘しただけなのに、部下がやる気をなくしてしまった。」
現代のビジネス現場において、部下育成は組織の命運を分ける重要課題です。
多くの人事担当者や経営幹部の方が、若手の早期離職や主体性の欠如に頭を悩ませていらっしゃることでしょう。
良かれと思って厳しく的確なフィードバックを行っても、部下が萎縮し、かえって成長が鈍化してしまう現象は、多くの職場で共通する悩みです。
本記事では、従来の「欠点是正」から脱却し、部下のなかに眠る「成功の種」を見つけ、成果へ繋げる具体的な手法を解説します。
最後までお読みいただくことで
・部下が自発的に行動を変え、成長するための技術
・個々の思考特性に応じた関わり方
を学んでいただけます。
組織全体のパフォーマンスを底上げし、活気ある職場を構築するために、ぜひ最後までお読みください。
欠点指摘が招く「防御モード」と学習能力の低下
上司が部下のアウトプットを確認する際、優れた点よりも改善点に目が向いてしまうことは少なくありません。
的確な指摘は一見正しく思えますが、否定的なフィードバックが連続すると、人間の脳は「防御モード」に入ることが指摘されています。
人間は否定されたと感じると、自己肯定感が低下し、挑戦意欲や学習能力が著しく減退します。
特に承認を重視する文化で育った現代の若手のような世代にとって、欠点ばかりを指摘される環境は

「自分の存在が認められていない」
という不安につながり、早期離職の引き金ともなり得ます。X世代などの上司層の方には、世代間ギャップを感じる点かもしれません。
心理学における強化学習理論が示す通り、失敗を正すより成功体験を肯定し、その行動を強化する方が学習効果は飛躍的に高まるのです。
強化学習理論:
「成功体験を強化」する方が「学習効果が高い」とする心理学の知見
リーダーに求められる役割は、部下の不足を数え上げることではなく、もし未熟な成果だったとしても「できている部分」を見つけ出し、光を当てることなのではないでしょうか。
成功を再現性に変える「3ステップ成功発掘法」
部下のできている部分を特定し、成果に育てるためには、以下の3段階の手順が有効です。
STEP1:微細な成功をみつける
目標が未達であっても、

「説明が明快でした」
「資料の配色がわかりやすかった」
など、部分的だとしても成功した箇所を意図的に探し出します。
日常の会話や1on1面談で、具体的なポジティブな事実を伝える習慣が、信頼関係の土台を築きますよ。
STEP2:なぜ成功したのかを言語化させる
良い点を確認した後に、

「なぜ今回はうまく進められたのでしょうか?」
「どうしてここができるようになったのでしょうか?」
と問いかけてみてください。
自らの工夫を言葉にしてもらうことで、無意識に行っていた適切な行動が意識化され、強みとして定着しますよ。
STEP3:成功パターンを他にも応用する
成功したパターンやそのための工夫を別の業務でも応用できないかを部下と共に検討してみてください。

「今後はこの方法をこちら仕事でも使ってみましょうか。」
という提案も有効です。
成功体験を他の場面でも再現できるよう具体的に促すことで、部下は「自分の強みがどう役立つか」を実感し、自律的に改善を繰り返すようになります。
3STEP成功発掘法 まとめ
・普段の会話やメモで小さな成功を拾う習慣をつける。
・毎回「何が良かったか」「どうやってできたか」を本人の言葉で語ってもらう。
・成功体験を明日からの具体的行動目標として他の仕事でも再現できるように促す。
思考スタイルにあわせたフィードバックの使い分け
部下の成長を加速させるには、一人ひとりの「思考スタイル」に合わせた関わり方が不可欠です。
同じ言葉でも、響く部下と響かない部下が存在するためです。
特性を見極める基準として、ぜひ「自分の内側に評価基準を持つ傾向」の強い人材と、「周囲の評価を重視する傾向」の強い人材の違いに着目してみてください。

「どんなときに仕事がうまくいったと思いますか?」
という質問への回答で、部下の傾向を把握できますよ。
「自分の感覚で納得できれば満足できます」と答える部下には、自己評価を促す問いかけが効果的です。

「自分ではどう評価していますか?
「どこに満足していて、どこを改善したいですか?」
などです。
一方で、「周囲に喜ばれたとき」に達成感を得る部下には、

「お客様からこんな評価をもらいましたよ!」
「チームメンバーから、あなたの仕事を参考にしたいと聞きました!」
など、第三者からの評価を具体的に共有することで、強い動機付けへとつながりますよ。
部下一人ひとりの特性を理解し、フィードバックを使い分けることが、成長速度を最大化させる鍵となります。
思考スタイルにあわせたフィードバックの使い分けのポイント
・思考スタイルによってフィードバックの効き方が違う。
・自分の基準に従う傾向が強い部下には自己評価を促す質問が効果的。
・他者の基準を尊重する傾向が強い部下には他者評価の共有が響く。
まとめ|強みを伸ばす姿勢が組織のパフォーマンスを最大化する
マネジメントの目的は間違いを正すことだけでなく、部下の強みを引き出し、育て、さらに組織の成果へ転換することにあります。
欠点の指摘に偏った関わりを改め、小さな成功を他の仕事でも再現できるように工夫していけば、人材は自らの可能性を信じて自律的に動くようになりますよ。
部下それぞれの特性を尊重し、強みを伸ばす視点を持つことは、多様性を活かす組織経営の本質といえるのではないでしょうか。
欠点を直すことだけでなく、強みを伸ばすことも念頭に置いて、マネジメントを実践してみてください。